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自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆震災とマスメディア-7-

2011年04月01日 | ⇒メディア時評
 2007年3月25日の能登半島地震では、被災者110人にアンケート調査をお願いした。その中で、「メディアに対する問題点や要望」を聞いた。手厳しい意見があった。紹介しておきたい。「朝から夕方までヘリコプターが飛び、地震の音と重なり、屋根に上っていて恐怖感を感じた」(54歳・男性)、「震災報道をドラマチックに演出するようなことはやめてほしい」(30歳・男性)、「特にひどい被災状況ばかりを報道し、かえってまわりを心配させている」(32歳・女性)。

         被災地に向けて情報をフィードバックすべき

 こうした被災者の声は誇張ではなく、感じたままを吐露したものだ。そして、阪神淡路大震災や新潟県中越地震など震災のたびに繰り返されてきた被災者の意見だろうと想像する。

 震災時のメディアへの意見は、今回の東日本大震災でも散見される。被災地からはメディアはどのように見えているのだろうか。「週刊現代」(4月2日号)で、仙台市在住の作家、伊集院静氏はこのように述べている。「まだ孤立して飢えと寒さに震えている子供がいるのに厚化粧して被災地のレポートをする女子アナ」、「テレビのキャスターの一人が『あの波が押し寄せる光景はまるで映画を見ているようです』と口にした。これほどの人々を呑み込んだ津波を、まるで映画を見ているような、とは、ナンナノダ? 君にとってこの惨事は劇場の椅子にふんぞり返って眺めるものなのか。言葉の間違いというより、人としての倫理の欠落、無人格以外のなにものでもなかろう。日本人はここまで落ち果てたか。」。視聴者はテレビを見ているのではない。伝え手であるメディアを見ているのだ。

 誰しもが一瞬にして「情報弱者」になるのが震災である。被災者にどう情報をフィードバックしていくか、メディアが問われている。現実は、メディアは被災地から情報を吸い上げて全国に向けて発信しているが、被災地に向けたフィードバックが少ない。

 避難所の様子を映したテレビ画面を見て気づいた。大人も子どもも携帯電話のワンセグ放送でニュースをチェックしている姿だ。災害情報を得るための防災グッズといえば、携帯ラジオが定番となっていたが、様変わりした。いま手元のメディアツールは携帯電話のワンセグ放送なのだ。これだったら、車載のカーナビゲーションでも受信できる。2008年4月に放送法が改正され、ワンセグ放送の独立利用が可能になった。ワンセグ放送を災害復旧に役立てない手はない。被災地のための臨時放送局をテレビ各社が共同運営してはどうだろうか。

 また、新聞社は協力して避難住民向けのタブロイド判をつくったらどうだろう。決して広くない避難所でタブロイド判は理にかなっている。メディア同士はよきライバルであるべきだと思うが、災害時には協力して被災地に向けて情報をフィードバックすべきだ。

⇒1日(金)朝・金沢の天気  はれ

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インフラの再考を (岩田秀樹)
2011-04-04 00:16:51
今回の震災は方向を見失ったこの国を映し出しているようでなりません。残念ながら今回の震災で一番役に立たなかったのは政治家、そしてマスコミであったように思います。もちろん官僚たちは存在感さえ感じられないのです。
マスメディアもしかり、自分たちが営営と築き上げてきたものを壊したくないあまり、被災者を勇気づけることすらできてはいないのです。提言のあったタブロイド版の発行はすばらしいアイデアだと思います。すぐにでも取り掛かれることだったにもかかわらず、特ダネ主義に走っているだけにしか見えません。本当の自分たちの役割を日頃から全く意識してはいなかったといいうことでしょうか。国土交通省、総務省が自慢たらたら豪語しながら張り巡らした国道の光ファイバー網はずたずたになり、何の役にも立たなかったのです。今の時代に孤立集落を出現させたことだけでも、情けない話。その時の再考と思えるものも、もしそれがダメなときは、のシステムが全く考えられてはいないのです。わたくしも以前にそのような提案、第2次、第3次のインフラを考えるるべきだという提案をしたこともあるのですが、鼻で笑われたことを覚えています。パソコンが万能でなく、ブロードバンドが万能ではない、ことが理解あれなかったのです。好きな言葉ではないものの「IT関連」の仕事をしているものから見ても、国民のためのシステムにはなっていないのでしょうね。この際もう一度自分たちの国のための、国民のためのシステムを作り直す必要があるのではないでしょうか。以下次回に
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