自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆数字は踊る、気になる、「一番」に弱い

2020年11月17日 | ⇒ニュース走査

   あさ起きると数字が踊っていた。16日のニューヨーク株式市場で、ダウ平均株価の終値が前週末比で470㌦高の2万9950㌦となり、今年2月につけた終値としての最高値2万9551㌦を更新し、初の3万㌦突破も迫っているとメディア各社が報じている。アメリカの株高を好感して、きょう17日の東京株式市場で日経平均株価が前日比100円を超える上昇、一時、2万6000円台をつけた(午前9時10分現在)。2万6000円台の回復は終値ベースで1991年5月以来29年ぶりととか。

   「一番」という数字には目が向く。理化学研究所と富士通が開発したスーパーコンピューター「富岳」が、17日に公表された計算速度を競う世界ランキングで首位を維持した。富岳が世界一になるのは今年6月に続いて2期連続(11月17日付・日経新聞Web版)。世界ランキングは毎年6月と11月に公表され、富岳は1秒あたり44.2京(京は1兆の1万倍)回の計算速度を達成した。2位のアメリカの「サミット」(同14.8京回)をさらに引き離した(同)。「富岳」を製造している富士通ITプロダクツは石川県かほく市にあり、地元の多くの人たちが製造に関わり、地域の誇りでもある。

   ここで思い出す。2009年11月、民主党政権下に内閣府が設置した事業仕分け(行政刷新会議)で蓮舫議員が、次世代スーパーコンピューター開発の要求予算の妥当性について説明を求めた発言。「(コンピューターが)世界一になる理由は何があるんでしょうか。2位じゃダメなんでしょうか」だった。科学者やスポーツ選手では当たり前と思われてきた世界一(金メダル、ノーベル賞)への道だが、政治家にはこの目標がない、正確に言えば「政治の世界ナンバー1」という尺度がないのだ。その尺度がない政治家が「世界一になる理由は何があるんでしょうか」と言う資格は本来ないだろう。ひょっとして政治家の多くは「オリンピックは参加することに意義がある」と今でも思っているのかもしれない。

   世論調査の数字も気になる。朝日新聞が今月11月14、15日に行った世論調査によると、「菅内閣を支持しますか。支持しませんか」の問いでは、「支持する」が56%で前回(10月17、18日)より3ポイントアップ。「支持しない」は20%で前回より2ポイント下げた。国会で論戦にもなった「日本学術会議」問題で、菅総理が学術会議が推薦した学者の一部を任命しなかったことについて、「あなたはこのことは妥当だと思いますか。妥当ではないと思いますか」の問い。「妥当だ」34%(前回31%)、「妥当ではない」36%(同36%)、「その他・答えない」30%(同33%)だった。三つ巴の様相だが、「菅総理の国会での説明に納得できますか。納得できませんか」の問いでは、「納得できる」が22%、「納得できない」49%となる。

    民意はどこにあるのだろうか。「菅さん、国会答弁は口下手だけど、やっていることはそう間違ってはいない。東京オリ・パラもあるのでなんとか頑張って」ということだろうか。

⇒17日(火)午前・金沢の天気    はれ


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