自在コラム

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★WHOへ1億㌦の太っ腹、1千万㌦の「なぜ」

2020年02月07日 | ⇒ニュース走査

           マイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツ氏の慈善財団が新型コロナウイルスの対策のために1億㌦を寄付することがニュースになっている。さっそくホームページ=写真=にアクセスすると、以下のプレスリリースが掲載されていた。

   「The foundation will provide up to $100 million to improve detection, isolation and treatment efforts; protect at-risk populations in Africa and South Asia; and accelerate the development of vaccines, drugs and diagnostics.」(財団は、検出、隔離、治療の取り組みを改善するために最大1億㌦を提供します。アフリカと南アジアのリスクのある人々を保護します。ワクチン、薬、診断薬の開発を加速します)

   1億㌦の寄付、日本円で109億円になる。寄付の先は感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)などにワクチンや治療薬の開発資金として最大6000万㌦、ウイルス拡散防止にWHOやアメリカ疾病管理予防センターなどに最大2000万ドル、さらに中国など複数の国家公衆衛生局にも支援を予定しているようだ。発表文では、「This response should be guided by science, not fear」(対策は恐怖ではなく、科学によって導かれるべきである)というゲイツ氏の言葉が添えられている。

   この言葉はどこかで聞いたことがあると思ったら、WHOが先月30日に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言したときに記者会見したテドロス事務局長の言葉だ。「This is the time for facts, not fear.This is the time for science, not rumours.」(恐怖ではなく、事実の時。これは噂ではなく科学の時です)

   ということは、テロドス事務局長がゲイツ氏に寄付を要請する「営業」をかけたのではないかと察した。おそらくこの言葉を用いて、ワクチンや治療薬の開発資金を提供してほしいとゲイツ氏に直接懇願したのだろう。営業はゲイツ財団だけではない。なんと日本政府にも働きかけている。WHO本部で6日開かれた記者会見で、
テドロス事務局長は資金面での協力を呼びかけに日本政府が1000万㌦の拠出を表明したと述べている(7日付・NHKニュースWeb版)。

   新型肺炎のまさに当事者である日本政府に資金拠出を要請するこの感覚は何だろう。緊急事態宣言に名を借りた寄付集めではないか、と考え込んでしまう。それにしても、金を出す日本政府も政府だ。クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の船内に今月3日から乗客と乗員全員3600人を横浜港沖に停めおいて、その経費はだれが負担するのか。WHOへの1000万㌦、これが果たして国民が納得できる税金の使い方なのだろうか。

⇒7日(金)午後・金沢の天気    くもり時々ゆき


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