自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★能登半島地震 地域再生は可能か~3 どうなる地元経済

2024年03月27日 | ⇒ドキュメント回廊

  黄砂がやって来る。気象庁の「黄砂情報」によると、北陸を黄砂が覆うのはあさって29日午後から30日にかけてで、能登半島では両日とも「やや多い」濃度の予測が出ている=29日午後3時の予想図=。奥能登の被災地では多くの支援ボランティアの人たちが倒壊した家々のがれきの撤去など作業を行っている。黄砂そのものはアレルギー物質になりにくいとされているが、黄砂に付着した微生物や大気汚染物質がアレルギーの原因となり、鼻炎など引き起こすとされる。また、黄砂の粒子が鼻や口から体の奥の方まで入り、気管支喘息を起こす人もいる。

  黄砂は何かと悪者扱いされがちだが、黄砂にはミネラル成分が含まれていて、それが日本海に落ちて植物プランクトンの発生を促し、それを動物プランクトンが食べ、さらに魚が食べる食物連鎖が生まれて日本海の漁業資源は保たれているとの研究もある。

  話は変わる。奥能登の能登町に本店がある「興能信用金庫」は、今回の地震を受け、取引先の事業者に連絡を取って状況の聞き取り調査を進めている。以下、北陸中日新聞(今月26日付)の記事を引用する。調査は2月中旬から始め、奥能登(輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)で直接被害を受けた事業者向けローンの融資先401社を対象に調査をし、これまで半数弱に当たる193社から回答を得た。残りの208社は事務所が全半壊して経営者に会えないなど未回答で、引き続き調査を進める。

  回答を得た社のうち、すでに事業を再開しているのは融資先(401社)のうちの3割強、事業を再開する意向なのは1割弱に当たり、1割弱は再会するかどうかまだ分からないという状態だった。調査途中の段階だが、信金の理事長は再開済みや再開の意向を持つ融資先の割合について、「思っていたよりも多い」との印象を語った。しかし、未回答の各社が半数以上あり、回答した社より事業再開が厳しい状況にあると予想され、「安堵はできない」とも話した(26日付・北陸中日新聞記事)。

  調査途中とは言え、地域の金融機関としても辛い数字ではないだろうか。奥能登は2050年までに住民が半減すると推計された過疎地だ。震災によって予測を上回るスピードで人口減少が進む恐れがある。これが地域の経済を疲弊させることになりかねない。一方で、国や県、自治体が大規模な予算措置で復旧・復興を進め、短期的ではあるものの、「震災特需」がもたらされるに違いない。また、個別には住宅の再建なども広がっていくだろう。地元の経済の行方を見つめていきたい。(※写真は、被災した輪島市河井町の商店街。営業している店は見当たらなかった=2月5日撮影)

⇒27日(水)夜・金沢の天気    はれ


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