自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆まもなく梅雨入り 能登の被災地に二次災害の不安

2024年06月01日 | ⇒ドキュメント回廊

  能登半島地震の発災から5ヵ月が経った。きのう31日、能登町小木(おぎ)に出かけた。関わってまもなく10年になる一般社団法人「能登里海教育研究所」の定時総会に出席するためだった。同町小木地区はイカ釣り漁業が盛んで、地域の生業(なりわい)や漁業について、子どもたちが小学校の頃から学んでいる。特徴的なのは、小学校が独自の「里海科」というカリキュラムを持っていて、文科省の特例校に指定されていている。たとえば、5・6年生ではそれぞれ35時間使って、イカ釣り漁の仕事やイカを使った料理、海の生物多様性と海洋ごみなど幅広く学んでいる。

  能登里海教育研究所はそうしたカリキュラムをつくった町教委と連携して支援しようと、金沢大学の教員や研究員、地域の有識者が構成メンバーとなり、日本財団からファンドを得て設立された。研究所の海洋教育は地元小木だけでなく、県内外の中学、高校、そして大学へと展開している。

  定時総会の席上で提案したことがあった。能登半島地震は死者260人(うち災害関連死30人)、重軽傷者1201人、避難所での生活者3206人=5月28日時点・石川県危機対策課まとめ=の大きな災害をもたらした。次世代に震災の記憶を伝えるために、教育と研究の視点で論文や書籍などでまとめてはどうか、と提案した。他の参加者からも、賛同があった。被災地の人々の心情は「忘れてほしくない」という言葉に尽きる。しかし、災害に対する一般の人々の思いは一時的な道徳的感情でもあり、心や記憶の風化は確実にやってくる。研究所の存在価値はそのギャップを埋める作業ではないだろうか。

  その後、小木地区の被災地を個人的に見に行った。小木地区はリアス式海岸で山と海が入り組んだ場所だ。湾岸沿いの道路が海に陥没し、漁船が沈没している現場があった=写真・上=。この地区にある金沢大学の臨海実験施設では、裏山が崖崩れとなって、巨大な岩石が施設のすぐそばまで転げ落ちていた=写真・下=。あと数メートル転がっていたら建物にも大きなが損害が出たに違いない。梅雨入りの大雨で二次被害が出るのではないか、当事者ではないがそんなことを不安に思いながら現場を後にした。

⇒1日(土)夜・金沢の天気   くもり


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