自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★安保法成立

2015年09月19日 | ⇒メディア時評
安保保障関連法をめぐる与野党の攻防が19日午前零時すぎ、法案採決の本会議が始まった。特別委員会で強行された可決を委員長が報告し、与野党が討論した。民主党の議員は「立憲主義、平和主義、民主主義。戦後70年の日本の歩みにことごとく反する法案を、数の力におごった与党が通過させる。申し訳ない。戦いはここからスタートする」と反対意見を、また、自民党の議員は「日米同盟がより強固になり、戦争を未然に防ぐ。我が国の能力に応じ国際社会で責任を果たす。政治の責任で我が国の安全保障のあり方を決めないといけない」と賛成意見を述べた。

  午前2時すぎに記名投票が始まった。壇上の野党議員は「戦争法案反対」などと叫びながら、法案反対の青票を掲げていた。与党議員は賛成の白票を積み上げていた。午前2時18分。野党議員が「憲法違反」と叫ぶ中、賛成多数で同法は可決した。中谷防衛大臣が議長と議場に向かって頭を3回下げた。賛成148票、反対90票だった。

  午前2時すぎだったので、新聞の朝刊はごく一部の地域を除いて、きょう(19日)付の朝刊一面の大見出しは「安保法成立へ」だった。そこで午後から普段は購読していない夕刊を金沢市内のコンビニで買い集めた。夕刊の見出しを比較すると、読売新聞は「安保法成立 集団的自衛権行使 可能に 防衛政策 歴史的転機」だった。北陸中日新聞は「安保法 未明に成立 平和主義転換、米支援拡大」、地元紙の北國新聞は「安保法が成立 集団的自衛権可能に 戦後政策の大転換」だった。北陸に輪転工場がない朝日新聞、毎日新聞の各紙はコンビニでは売っていない。

  ここで見出しから各紙を比較すると、「安保法で平和主義の転換」と位置づけするのか、「安保法で防衛政策の転機」とするのかで解釈が分かれる。「平和主義の転換」の論拠は平和憲法の根本の拠り所である9条のなし崩しによる転換となろう。一方、「防衛政策の転機」は従来の憲法解釈では認められなかった集団的自衛権の行使が可能になったことで、安全保障政策が転機を迎えたという意義付けである。

それにしても、ちょっとドキリとした写真と見出しがあった。19日付朝刊の北陸中日新聞の社会面の見出しは、「戦場 いつか」で、その写真が迷彩服を着た自衛隊員の後ろ姿だった。はやとちりか、自衛隊員がさっそく戦闘行動を始めたような印象なのだ。記事を読むと、関東・東北で被害を出した茨城県常総市で行方不明者を捜索する自衛隊員の後姿。記事を読むと、自衛隊員に救助された主婦が感謝の言葉で、戦場に行ってほしくないという内容なのだ。主婦は実名でない。迷彩服の自衛隊員のバックショットの写真が異様に大きいので違和感を感じるのだ。

  今後の政治とメディアはどのように動くのか。いよいよ来夏の参院選など国政選挙が面白くなってきた。18歳以上の若者も参政する選挙である。今回の安倍政権の一連の行動を国民がどう判断するのか。

⇒19日(土)夜・金沢の天気    くもり

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