自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆熱病と飢え、ミサイル発射は断末魔の叫びか

2022年05月13日 | ⇒ニュース走査

   北朝鮮では「原因不明の熱病」が大流行しているようだ。NHKニュースWeb版(13日付)によると、北朝鮮は12日、4月下旬以降、発熱の症状があった人が全土で35万人余りに上り、これまでに18万人以上が隔離されたり治療を受けたりしていると明らかにした。12日だけで全土で1万8000人が発熱した。

   北朝鮮の労働新聞Web版(13日付)をチェックすると、「경애하는 김정은동지께서 국가비상방역사령부를 방문하시고 전국적인 비상방역상황을 료해하시였다」との見出しで、金正恩総書記が12日、国家緊急防止司令部を訪れ、感染状況について報告を受けたと伝えている。熱病によってこれまで6人が死亡しているが、うち1人から新型コロナウイルスが確認されたとしている。金氏は、首都圏の周辺で感染が同時に広がっていることから、これまでの予防体制に落ち度があったと認め、「最大非常防疫態勢」に移行すると発表。すべての市や郡などを封鎖するよう指示した。

   今ごろなぜと思うと、妙に納得できた。先日テレビのニュースでやっていた朝鮮人民革命軍の創設90周年記念の軍事パレード(4月25日)には大勢の人民が動員されていた。4月下旬から感染爆発ということなので、ひょっとしてそれはパレードの準備や練習で「三密」状態になり、感染拡大が一気に進んだのではないか、と推測した。

   北朝鮮は人口が2500万人とされる。これまでのニュースでも報じられているように、2年以上にわたって国境を封鎖し、食糧は限られていて多くの人々は栄養失調の状態にある。医薬品も不足し、医療制度そのものも貧弱とされる。最悪のケースを想定すると、ロックダウンによって多くの人々が自宅で瀕死の状態に追い込まれる可能性さえある。

   その一方で不穏な動きもある。北朝鮮はきのう12日午後6時28分ごろ、半島の西岸付近から3発の弾道ミサイルを東方向に向けて発射した。最高高度は約100㌔で、350㌔ほど飛翔し日本のEEZ(排他的経済水域)外に落下した(12日付・防衛省公式サイト「報道資料」)。今月10日に韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が発足して初めての発射となる。さらに、韓国の聯合ニュースWeb版(13日付)によると、韓国大統領室はきょう日、北朝鮮が7回目の核実験を行う可能性に関連し「核実験の準備はできているようだ。ただ、核実験の前に各種ミサイルの発射実験を行う可能性もあるのではないか」との見解を示した。

   国内では新型コロナウイルスとも推測される原因不明の熱病でパンデミックが起き、さらに飢えが広がる。そして、核実験と弾道ミサイルの発射だ。核・ミサイル開発に対する国連安保理の制裁により貿易制限はさらに続く。かの国の断末魔の叫びのようにも思える。

(※写真は、マスクをした金正恩総書記が12日、国家緊急防止司令部を訪れた様子=13日付・CNNニュースWeb版)

⇒13日(金)夜・金沢の天気    あめ


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