自在コラム

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☆いまだに続く総理公邸の都市伝説

2021年12月13日 | ⇒メディア時評

   やはりこの質問かと思わず笑った。岸田総理は13日午前、東京・赤坂の衆院議員宿舎から引っ越したばかりの総理公邸で「幽霊」を見たかどうかを記者団に問われ、こう答えた。「今のところ、まだ見ておりません」(13日付・産経新聞Web版)。記者の質問も冗談めいての質問だろうが、政権交代のときに公邸に住む住まないで記者から質問される都市伝説ではある。   

   総理官邸と公邸は、同じ敷地内に建てられている。官邸は総理の仕事場で、公邸は住まいだ。現在の公邸はかつて官邸として使われた。1932年、海軍の青年将校を中心とするクーデター「5・15事件」で犬養毅総理が官邸で殺害された。その後、陸軍の皇道派青年将校らが起こした1936年の「2・26事件」では官邸で高橋是清大蔵大臣らが殺害された。その後、「犠牲者の幽霊が出る」との噂さが絶えなかった。

   有名な話がある。公邸に居を移さなかった当時の安倍総理が「公邸に住んだ森(元総理)さんが在任中に公邸で就寝直前に寝室の外から複数の軍靴が近づいてくるような足音を耳にしたとの話を聞いた」と出演したテレビ番組で明かしたことがある(2013年6月1日)。これが安倍氏が公邸に住まない理由ではないかと議員の間でも評判になった。番組でのこの話のきっかけは、ある野党議員が内閣に提出した質問主意書だった。「旧総理大臣官邸である総理大臣公邸には、二・二六事件等の幽霊が出るとの噂があるがそれは事実か。安倍総理が公邸に引っ越さないのはそのためか」(2013年5月15日)と。これに対して、政府は「お尋ねの件については、承知していない」とする答弁書を閣議決定した。

   この質問をしたのは当時の民主党の加賀谷健議員だった。質問の主旨は公費が使われている公邸が十分に活用されていないのではないかという趣旨だが、公邸と幽霊が国会の場で初めて取り上げられ、閣議決定にまで上った稀有なケースとなった。その話を安倍総理が番組で紹介してさらに広がり、すっかり都市伝説となった。岸田総理は冒頭の記者団の質問に「(公邸で)ゆっくり眠れた」と笑顔で語った(同)。公邸に入居するのは野田元総理以来9年ぶり。今のところ幽霊は登場していないようだ。(※写真は、首相官邸公式ホームページより)

⇒13日(月)夜・新潟市の天気   あめ


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