自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆これは大学の構造的な問題なのか

2021年12月11日 | ⇒ニュース走査

          なぜ記者会見が3ヵ月余りも開かれなかったのか。むしろ取材する側のメディアはそのことをなぜ指摘してこなかったのか。東京地検特捜部はことし9月に日本大学に強制捜査に入った。当時の理事が付属病院の設計監理業務と医療器具の納入に関して4億2000万円の損害を与えたとして背任罪で逮捕した。さらに、取引業者からリベートなど所得1億2000万円を隠していたとして、田中英寿理事長を所得税法違反容疑で先月29日に逮捕した。大学側はこれまでなぜメディアを通じて説明責任を果たさなかったのか。大学のガバナンスどころか、存在そのものが揺らぎかねない。

   大学側が東京地検特捜部の捜査について初めてコメントしたのは9月10日付のホームページだった。「INFORMATION(お知らせ)」のコーナー。「報道にありました件については、現在、東京地方検察庁が捜査しており、事実関係を把握していないことから、コメントは差し控えさせていただきますが、今後、東京地検の捜査に全面的に協力してまいります」。これだけである。

  その後。9月13日付で学長名でコメント。「学生、生徒等、保護者の皆様、そして教職員の方々には、大変ご心配をおかけし、誠に申し訳なく存じます。現在、東京地方検察庁が捜査中であり、本学も捜査に全面的に協力してまいりますのでご了解ください。なお、授業等については、これまでどおり実施してまいりますので、安心して学生生活をお送りいただきたくお願いいたします」。160字ほどの文章。学長名でたったこれだけの内容だ。学生や保護者、OB・OGは納得しただろうか。以降、きのう10日に初めて会見に臨むまでに、ホームペ-ジで12回簡単なコメントを発している。

   きのう(10日)の会見の様子をテレビのニュースで視聴したが、理事長を兼務することになった加藤直人学長が「田中前理事長と永久に決別する」と述べていた。違和感を感じた。先月29日に田中理事長が逮捕された段階ですでに「永久決別」は確定している。むしろ、大学の再建計画を示すことが発言の本筋ではなかった。「日本大学再生会議」を来年1月に立ち上げると述べていたが、遅い。むしろ、会議のメンバー表をこの日、メディアに配布するくらいのスピード感がなければ、関係者は納得しないだろう。

   また、「再生会議」と同時に「内部調査チーム」を立ち上げるべきではないだろうか。田中前理事長は2008年から5期13年にわたって理事長を務めた。どのような経緯で今回の不祥事に至ったのか、客観的に検証する必要があるのではないか。これは大学側の構造的な問題なのだろうか、ワンマン経営者がなぜ居座ることになったのか、そもそも大学の理事会は機能していたのか。

⇒11日(土)夜・金沢の天気     くもり


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