自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆両陛下、12日再び能登に 被災地に丁寧な足運び

2024年04月10日 | ⇒ドキュメント回廊

  先月22日に天皇、皇后両陛下が能登半島地震で被災した人々を見舞うため輪島市と珠洲市の避難所を訪れた。その様子をテレビを視聴していた。午前中に能登空港に到着し、両陛下は黒のタートルネック姿だった。そして、現地に負担をかけないようにと、昼食は東京から持参された。240棟が焼け、多くの犠牲者が出た輪島の朝市通りでは両陛下が黙礼をされた=写真、宮内庁公式サイト・4月2日付「被災地お見舞い」より=。避難所を訪れ、膝をついて被災者と対話する丁寧な所作に、被災者に寄り添う気持ちが感じられた。その両陛下はあさって12日に再び能登の被災地を見舞いに訪れると、メディア各社が伝えている。

  当日は午前中に羽田発の特別機で能登空港に。自衛隊のヘリコプターで穴水町に向かい被災者を見舞うほか、災害対応に当たる関係者をねぎらう。その後、ヘリで能登町に移り、津波の被害が大きかった地域など訪れ、被災者と面会する。夜に帰京する。穴水町では20人、能登町では8人が震災で亡くなっていて、被害が大きかった奥能登4市町をすべて見舞われることになる。被災者と対面する所作だけでなく、被災地域にまんべんなく足を運ばれる丁寧さには敬服する。

  一方で腑に落ちない国の動きもある。きょうの新聞メディアの記事によると、財務省は9日、税制制度等審議会(財務大臣の諮問機関)の分科会を開き、能登半島地震の被災地の復旧・復興は「将来の需要減少や維持管理コストも念頭に置き、住民の意向を踏まえ、十分な検討が必要だ」と訴えた。「被災地の多くが人口減少局面にある」ことなどを理由に挙げた。復興が本格化する中、無駄な財政支出は避けたいという立場を明確にした(10日付・北陸中日新聞の記事を要約)。

  うがった見方をすれば、そもそも能登は人口減が続いていて人がいなくなる地域なので、そんなところに無駄な財政を注ぎ込むことはない。と言っているようにも読める。記事では、分科会終了後に会長代理の増田寛也氏(日本郵政社長)が「家の片付けが進んでない地域に将来の議論をしようと言っても難しい」と指摘した、という。

  この指摘は言い得て妙な感じもするが、中央の権力者の発想ではないだろうか。地域行政が怠慢だと指摘して、そんな能登に財政を投下する価値はない、と言っているのか。地方消滅論を訴えた増田氏だけに、「消えるべき地域はさっさと消えろ」とでも言っているのか。増田氏をはじめ税制制度等審議会の分科会メンバーには一度、能登に足を運んでほしいものだ。       

⇒10日(水)午後・金沢の天気   はれ   


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