自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆放送と通信、ライトな融合

2005年06月14日 | ⇒メディア時評
   ニッポン放送の経営権をめぐって争ったライブドアとフジテレビが業務提携を模索しているが、12日付の朝日新聞によると、具体案が出たらしい。それによると、フジが撮影した事故や災害現場の映像素材を、ライブドアが来月から東京都内で始める無線LANのインターネットを利用して送受信する。フジは社内通信用だけでなく、視聴者からの映像提供も受け付ける。ライブドアがあす15日に開くこの無線LANの記者会見にフジの役員も出席するという。

   放送と通信が提携することで日本のメディアの有り様が大きく変わる。今回、映像素材の送受信だけの業務提携ならインパトに欠ける。ただし、ライブドアがたとえば「東京ハザード」と銘打った、一般からの動画の投稿サイトをつくり、東京で起きた事件・事故の映像をフジと連携してアーカイブしていくというのであれば価値がある。災害映像をフジが一網打尽にでき、地上波で番組化もできる。果たして業務提携の第1号はどのような内容になるのか。
                 
   フジテレビ系列の福井テレビジョン放送(FTB)はITを使った画期的な番組を制作している=写真=。夕方の情報ワイド「おかえりなさ~い」は、ケータイ・インターネットなどで視聴者にクイズに応募してもらい、その正解者の中から当選者を選び、賞品をプレゼントする。スタジオを見学させてもらったきのう13日は、賞品の目玉が韓国焼酎30本とショットグラス10個だった。韓国焼酎がブームとあって、視聴者から1036件ものアクセスがあった。アクセスの8割は携帯電話から。同じクイズの募集でも従来の「はがき」だったら、人口87万人の福井県だと多くて300枚だろう。ケータイで、視聴者の番組への参加意欲を最大限に取り込んでいるのだ。

   画期的なのは、毎週月曜から木曜までのレギュラー企画であること。視聴率にもよいで影響が出て、「視聴率が底堅くなって、夏場も数字が落ちていない」(杉山一幸制作部長)という。このクイズ参加のシステムは、金沢市のソフト開発会社「FIXインターメディア」との提携で構築。インターネットを介して送られた視聴者からのデータをリアルタイムでグラフ化(円、棒など)に処理し、放送画面に送出する仕組みだ。

   ケータイはテレビを見ながら操作できるので相性がいい。ブロードバンドを使った放送と通信の「ヘビーな融合」が放送コンテンツのビデオ・オン・デマンドだとすると、ケータイとテレビを使った番組参加の放送モデルは放送と通信の「ライトな融合」と言えそうだ。FTBがその最先端を走っているのは間違いない。

⇒14日(火)午前・金沢の天気  晴れ    
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