世界最高速と名高かった中国の上海リニアに乗ったのは2008年1月だった=写真・上=。最高時速430㌔の車窓からの風景がコマ送りの状態で見えたのが印象的だった。上海浦東国際空港から終着駅・龍陽路まで距離にして30㌔、時間にして7分20秒だった。その上海リニアが2020年2月から最高時速300㌔に減速。新型コロナウイルスの感染拡大で浦東国際空港の利用者数が減少が影響しているようだ(Wikipedia「上海トランスラピッド」)。
リニアだけでなく、中国では全長4万2000㌔にもおよぶ高速鉄道網が整備されている。幹線ルートでは最高時速350㌔で走行し、そのほかの路線では時速300㌔で運転している。この「中国版新幹線」は日本の新幹線の13倍にもおよぶとされているが、人口が少なく需要が見込めない地方都市にも延伸を重ねていて、赤字路線が多いとされる。
日経新聞Web版(5月2日付)によると、高速鉄道を運営する国有企業「中国国家鉄路集団」は2022年12月期の最終損益が695億元(約1兆3800億円)の赤字となり、21年12月期(498億元の赤字)から悪化した。売上高は0.4%減の1兆1272億元だった。新型コロナウイルスの抑え込みを狙った「ゼロコロナ」政策の影響で旅行・出張客が減った。さらに、同社が公表している財務資料によると、22年末の負債総額は6兆1068億元(約121兆円)で前年末比で3%増えている。中国のGDPの5%に相当する大きな額だ。
無軌道な拡大で不採算路線が増え、足元の負債が膨らんでいるにもかかわらず、「景気底上げを目指す政府の意向をくみ、2035年に路線を現在より7割増やす方針」(22年7月5日付・同)ようだ。このニュースを読んで中国の経済リスクの感じ取った。横に伸びる高速鉄道、縦に伸びる高層マンション。国家的な金融リスクが誘発されるのではないだろうか。(※写真・下は、浙江省で撮影したマンション群=2012年8月)
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