自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★呆気にとられる

2021年12月03日 | ⇒ニュース走査

   このところ呆気にとられるニュースが多い。以下いくつか。18歳以下の子どもたちに10万円相当を給付する事務経費に1200億円を要すると報道されていた。所得制限は設けるものの、18歳以下の国民を対象に5万円の現金給付に加え、5万円分のクーポン券を来春までに配布する。現金給付にかかる事務費は300億円で、クーポン券での給付によって900億円の追加費用がかかるとのこと。政府、与党は「ばらまきにしないための必要経費」との立場だが、まさに「愚策」ではないか。

   そもそも、クーポン券に有効期限を設定することで、消費喚起という意味で現金よりもムダのない給付が可能としているが、もともと使う予定だった現金が貯蓄に回ることになるので、現金給付でもクーポン券配布でも消費喚起の効果はまったく同じだ。900億円のムダ。呆気にとられる。

   北陸に住んでいると配置薬の「富山の薬」はありがたい。ただ、その薬が信用できなくなると話は別だ。医薬品製造販売の「廣貫堂」(富山市)がこのほど自主回収を始めた14製品のうち、4製品で製造販売承認書の記載と異なる添加物を使っていたことが、独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」が公表した資料で明らかとなった。さらに4製品は品質検査の承認規格に適合しておらず、1製品は原薬の受け入れ試験記録が見つからないため試験を実施したかどうかも確認できないなど、ずさんな製造だった。「廣貫堂」は「薬の富山」のトップメーカーだ。同じ富山市のジェネリック医薬品製造「日医工」もことし3月、品質試験の際の記録の不備などが発覚し、高血圧薬など75製品を自主回収している。

   「薬クソ売」という少々下品な響きの言葉がある。効き目のない薬を高く売ってボロ儲けしている業者を皮肉る意味で使う。さらに、「薬九層倍」という四字熟語がある。薬の売値は原価に比べて非常に高く、利益が多いことから、巨大な利益を得ることのたとえ(三省堂「現代新国語辞典」)。呆気にとられる。   

   日本大学の前理事長が脱税の疑いで逮捕されるなど、私立大学のガバナンスが問われている。理事長だった田中英壽容疑者は1億2000万円の所得を隠し、5300万円を脱税した疑いで先月29日に逮捕され、東京地検特捜部と東京国税局は改めて前理事長の自宅を捜索するなど捜査を進めている(12月3日付・NHKニュースWeb版)。

   ことし9月に東京地検による理事への強制捜査が始まって3か月近くにわたっているものの、大学側による記者会見が一度も開かれていない(同)。この報道には呆気にとられた。ホームページではコメントを掲載しているが、記者会見を実施してない。これでは、大学組織としての説明責任を放棄しているに等しい。組織そのものが機能不全の状態に陥っているのではないか、という見方もできる。大学運営は今後どうなるのか。

⇒3日(金)夜・金沢の天気   あめ

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