自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆北の「地政学リスク」

2017年08月09日 | ⇒メディア時評
  いよいよ北朝鮮のICBMが株価を左右する事態になってきた。きょう9日の東京株式市場で日経平均株価は前日比257円の大幅安となった。株価にインパクトを与えたのはアメリカのワシントン・ポスト紙(WEB版)だと日経新聞夕刊で解説されていたので、さっそくネット検索。確かにこの記事を読めば、投資家の心理が冷え込むのは無理はない。以下、ワシントン・ポストの記事=写真=を引用する。

  North Korea has successfully produced a miniaturized nuclear warhead that can fit inside its missiles, crossing a key threshold on the path to becoming a full-fledged nuclear power, U.S. intelligence officials have concluded in a confidential assessment. (北朝鮮は、弾道ミサイルの内部に収まる小型の核弾頭の生産に成功し、本格的な核弾道への搭載が可能になったと、アメリカ情報当局は機密分析をまとめた)

    さらに記事を読むと、北朝鮮はすでに最大で60発の核弾道を有していて、多くの専門家の間で予測していたよりもはるかに核開発技術が急速に進んでいることに、軍事的脅威に対する懸念が深まっている、と深刻な内容だ。

  ワシントン・ポストは別の見出しで North Korea threatens Guam, the tiny U.S. territory with big military power(北朝鮮は、大きな軍事力を持つ小さなアメリカ領のグアムを脅している)と。北朝鮮がアメリカに重大な警告を送るとして、ICBMでグアム島付近へ包囲射撃作戦案を検討中と声明を出した(9日・韓国中央日報)。これにアメリカ側が敏感に反応したものだ。

  アメリカ国内のメディアがこれだけ強烈に報じると、当然、世界の投資家も敏感に反応する。ドルを売って円を買う動きが出て円高ドル安(109円)に、さらに「地政学リスク」が高まって国内でも全面的に売りが進んだ(一時330円安)。最近よくメディアに報じられる、この地政学リスクとは、北朝鮮のこうした強硬な出方が近隣諸国の政治的、経済的、社会的な不安を高めさらに、世界経済全体の先行きをも不透明にするリスクと解釈できるだろう。

  日本海側に住んでいると、この地政学リスクという言葉の意味が実感として伝わってくる。表現が適切か定かではないが、このリスク実感を共有できてこそ、恐らく世界史に残るであろう近未来の歴史の一コマも互いに見えてくる。

⇒9日(水)夜・静岡県下田市の天気    くもり
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