空をみながら

 地球規模、宇宙規模で考える。死角のない視野の獲得。憲法9条を守ろう。平和のための最高の武器だと思う。

「帝国軍人」の微笑

2007年03月08日 22時33分36秒 | 思考試行
 覚悟はしていたつもりだが、やはり、眠りは浅く、少し変だ。しかし、仕事はドンドンこなしておかないと、気持ちが落ち着かない。なんとか、片付け病院へいくと、医師が待ち構えていて、説明をしてくれた。採血の結果、尿の量が少ないことから、人工透析のレベルまで悪化している。全身に汚れたモノがたまってくる。細菌の巣と化した肺の片方が、ついにその機能を閉じた。次々と数値化されたデータが開示される。ついに、今まで口にしなかった、見通しを聞いてしまう。

 待っていたように、医師は、アッサリと、いった。早いと、今晩、2ないし3日間ぐらいと思われるとの診立てである。しかし、意識はクリヤであり、酸素濃度をあげていることもあって、息苦しさはない状態で、とてもそうは思えないでしょうけど、という。徐々に全身のバランスが、悪化していく道中とはとても思えない、表情をしている。

 兄弟や、孫たちが次々と病室を訪れ、本人もある種の覚悟をしている風情がみられるようになってきた気がする。毎回、じゃまた明日くるわ、というと、即座にオーといっていたのが、ジーット見て、少し間があった。そして、すばやく右手を肘で折り曲げ、敬礼のポーズ。一瞬、ホンモノの「帝国軍人」がみえた。命をかけさせられた、戦争に参加した人の姿である。演技ではない。別れの挨拶をうけた気がはっきりした。

 そして、今日は、家族を病院へ送り届け、急ぎの仕事をこなしていく、朝、出かけるときに、「どこへいくのか」と質問、具体的に仕事の内容をこたえる。復唱する。嫁ぎ先の関東から帰ってきている妹はおどろいている。

 そして、夕方弟も仕事をぬけて、病室にきていた。私のことをまだか、と聞いていたという。日頃、病院への付き添いにきていたし、今回の入院に関しても、最初から、一日も欠かさずきているのは、私だけだから、当然といえば、そうだが、みんなに、ちょっとしたヤキモチをやかれる始末である。そして、なんともいえぬ微笑をうかべた。弟が、こんな顔はみたことがない、インプットされた、とさわぐ。

 恥ずかしいぐらいに、確かにいい顔である。絵がかけたら、将来描きたいと思う。モチーフができた。昨日の「帝国軍人」が「菩薩」になっている。危ない、人前でなきそうになる。私ももういわば老人だぜ、と言い聞かせなければならない。

 冗談にまぎれて、一日つきあっていた家族を連れ帰らなきゃね、と、じゃ明日また、というと、はっきりと、明るく即座にオーとこたえた。ドラマみたいな、演出だぜ。