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「蝉」の声が、しきりです

夏の季節を感じさせる物は幾つもありますが、鳴き声で夏を感じさせるものと云えば、「蝉」でしょう

暑さが増すにつれ、朝に夕べに、「蝉」の声が最近しきりに聞かれます

今年初めて蝉の声を聴いたのは、先月中旬頃でした

その年初めて聞いた蝉の声・即ち「初鳴き」の記録を地図に書き込むと桜の開花前線同様に、蝉初鳴き前線図ができるようです…これらは「生物季節前線図」と呼ぶそうです

 この「初鳴き」に対して、「遅鳴き」と云う言葉があり、これはその年の一番最後に聞いた日を言いますが、「初鳴き」に比べて「遅鳴き」の見極めはなかなか難しいように思えます

夏と言えば、欠かす事が出来ないのが「蝉」で、そんな「蝉」の代表選手が時期が代わって登場してきます

夏の初め・一番手は「ニイニイゼミ」です

体長は、2~2.5cmほどで、身近な「蝉」の中では最も小型です

「ニイニイセミ」の鳴き声は、雄が翅を半開きにして「チー…ジー…」と繰り返し鳴きます

鳴き声の紹介を見ると、『鳴き始めは「チー」が数秒、急に音が高く大きくなって「ジー」、数秒~10秒ほどで緩やかに「チー」へ戻り、数秒後に再び「ジー」となり、鳴き終わりは「チッチッチ…」となります』と書かれていました

「ニイニイゼミ」が鳴きだすと、夏の始まりを感じます

初鳴き的には、梅雨明けと同時位でしょうか!?

     塀によじ登っている「ニイニイゼミ」を見つけました ・・・ にらめっこです 

 

暑さが増すと共に、鳴きだすのは「アブラゼミ」です

マイ庭のジャングルでも、今やわがもの顔に鳴いてます

体長は、5~6cm位で、その鳴き声は、「油で揚げるような」という形容がぴったりのような鳴き方で、昼下がり夏の暑さを増幅するような響きがあります

「アブラゼミ」という和名もここに由来しているようです

鳴き声は、「ジー…」と鳴き始めたあと、「ジジジジジ…」とも「ジリジリジリ…」とも聞こえる鳴き方が、15~20秒ほど続き、「ジジジジジー…」と尻すぼみで鳴き終わります

夏、樹木などにへばりついて、何匹も一斉に鳴きだすと、猛暑を感じます…この状況を「蝉しぐれ」と云うそうですが、こういうと涼しさを感じさせてくれます

こんな句をネットで見つけました

   「  せみしぐれ 図書室でたる 一歩より  」        ( 岡 輝好 )

万葉の頃から、アブラセミは鳴いていたようです

   「  石走る 滝もとどろに 鳴く蝉の 声をし聞けば 京師(みやこ)し思ほゆ  」     (大石蓑麿)『万葉集』

     玄関横のヤマボウシで鳴く「アブラセミ」

今朝明るくなり始めた頃、「ツクツクホウシ」の声が聴こえました

これが鳴くと、そろそろ夏が終わり始めると云いますが、まだまだ暑い日が続いています

この辺りでも、近年「蜩(ひぐらし)」の声を聞くことができます

「ヒグラシ」が聴けたら秋近しでしょう

「ヒグラシ」を詠った万葉歌を見つけました

   「  ひぐらしは  時と鳴けども  恋ふらくに  たわやめ我(あれ)は  定まらず泣く  」  (作者不明 万葉集 巻十 一九八二)

   意味: 「 ヒグラシは時を決めて鳴くけれども、恋のせいでか弱い私は、時を定めず泣いてばかりいます 」

「ヒグラシ」の鳴き声は、「カナカナカナ・・・」とか「ケケケケケッ・・・」と聞こえ、聞く人に涼感や物悲しさなどを感じさせます

松尾芭蕉が、「蝉」を詠んだ句が沢山あります

何「蝉」を詠んだものか…黙って鑑賞です

     閑かさや   岩にしみ入る   蝉の声   (  芭蕉  「奥の細道」より  )

    やがて死ぬ  けしきは見えず 蝉の声   (  芭蕉  「猿蓑」 より   )

    いでや我   よきぬのきたり 蝉衣    (  芭蕉  「あつめ句」より  )

    撞鐘も    ひゞくやうなり 蝉の声   (  芭蕉  「笈日記」 より  )

 

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