ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [3月15日(金)~3月17日(日)]

2019-03-19 23:51:34 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸昨日(18日)、懸案だった「バハールの涙」「グリーンブック」を観てきました。どちらも期待通りで、オススメ! しかし、ともに社会的なテーマを扱っていますが、感触は全然違います。「グリーンブック」の方は基本的にエンタメで、ラストは(お約束の)感動が待っています。これは決してケチをつけるのではありません。半世紀前にはアメリカの南部では「ごくふつうだった」目に見える差別(黒人は拒否される店がある等々)が今はなくなり、目に見えない差別も少なくなって、差別否定が(たぶん?)一般常識になったから基本エンタメの感動作が作られ、アカデミー賞を獲って多くの観客を集めているということ。もしこのような映画が1960~70年頃に作られれていたとしたらどうだったか? ・・・と考えると、「そんなことはありえない」という答えが即座に返ってきます。「反発が大きすぎる」、いやそれ以前に「作っても儲からない」。そんな時代が徐々に変わってきて、今ここまで来たのですね。その点は近年とくに多いLGBT映画等と同様今は「無難な社会派映画」になったということで、それはそれでけっこうなことではあります。もっとも、現今のトランプ政権下の「気になる状況」がある中で、「現実的にも」とても意味のあることだと思いますが・・・。なお、観客としては物語になることもなく差別社会の真っただ中で不幸な人生を生きなければならなかった数多くのアフリカ系アメリカ人のことを忘れてはならないでしょう。とくに、かつてはそんな差別社会の中で暮らしながら差別を当然視していた人たち。もし観客の中にいたら今どう考えるのかな? 私ヌルボ、60年代に雑誌だったかで、日本人のライターによる記事の中で、南アフリカだかで「日本人は<名誉白人>という待遇を受けた」と書かれた一文を見た時の「何かイヤな感じ」を今も憶えています。

▸一方、「バハールの涙」は観ていて心が落ち着かない感じでした。イラクのクルド人自治区の町がある日ISに襲撃され、女性弁護士だったバハールは夫を殺され息子を連れ去られます。その後「いろいろあって」彼女はクルド人女性武装部隊のリーダーとして銃を持ってISの戦いに身を投じる・・・という話で、かなりドキュメンタリー風。「心が落ち着かない」というのは、こういう映画を安全な日本で缶コーヒーを飲みながら「鑑賞していていいのか!?」という自問が湧いて来ざるを得ないので・・・。この作品でバハールと共に主人公といっていいマチルドという女性戦場記者がそんな(ヌルボのような)読者をさめた目で見つつも、危険な場所で取材を続ける使命感といったものを語っていたのが印象的。(日本での例の<自己責任>論議のなんとナサケナイことか・・・。)
 ISは襲撃した町の男たちを皆殺害し、女たちは性奴隷に・・・。その数は数千人で、少女も多い。この映画の女性武装部隊の隊員たちもバハールを含めてそこから逃げてきた女性たち。関連記事は→コチラ。今<慰安婦問題>でやり合っている日韓両国の人たちは、このようなIS関係の性奴隷や、脱北したものの中国で性奴隷状態に置かれている多くの女性たち等、現代世界の性奴隷の方にもっと目を向けるべきだと思います。

▸韓国映画史上の注目作イ・チャンドン監督の「ペパーミント・キャンディー」(1999)と「オアシス」(2002)のデジタルリマスター版を渋谷と吉祥寺のアップリンクで上映中。キネカ大森でも22日から。

         ★★★ NAVERの人気順位(3月19日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(4)KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-
       I プロローグ×ユキノジョウ×タイガ(日本)  9.74(50)
②(1) 詩人おばあちゃん(韓国)  9.62(133)
③(2) グリーンブック  9.62(4,533)
④(3) カペナウム  9.60(2,362)
⑤(-) ヒッチハイク(韓国)  9.50(12)
⑥(6) ボヘミアン・ラプソディ  9.43(38,966)
⑦(8) アンダードッグ(韓国)  9.38(1,368)
⑧(9) ヒックとドラゴン3  9.26(3,600)
⑨(10) スパイダーマン:スパイダーバース  9.23(5,021)
⑩(-) 漆谷の少女たち(韓国)  9.23(320)

 ⑤「ヒッチハイク」が今回の初登場です。昨年の第5回なら国際映画祭のインターナショナルコンペティション部門で上映されたミニシアター系の韓国映画です。16歳のジョンエ(ノ・ジョンイ)は末期がんの父と2人暮し。どうしても幼い時に家を出て行った母を探し出したいと思っています。またジョンエの親友のヒョジョン(キム・ゴウン)は名前しか知らない父の存在を確かめたい。ある日、母親から1通の手紙が届いたのを契機にジョンエはヒョジョンと共に何の計画もなく旅立ちます。しかし帰れなくなってヒッチハイクをしている途中に拉致されます。そこで偶然ヒョジョンの父らしい(?)警察官ヒョンウン(パク・ヒスン)に出会い、彼の家に滞在することに。ジョンエは病床の父とは対照的な彼にひかれますが、自宅一帯が大火事に見舞われていることを知ります・・・。原題は「히치하이크」です。

     【記者・評論家による順位】

①(1) ROMA/ローマ  8.80(5)
②(2) スパイダーマン:スパイダーバース  8.25(8)
③(3) 女王陛下のお気に入り 8.20(10)
④(5) ミニスキュール 2  7.67(3)
⑤(6) 映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ(日本)  7.50(6)
⑥(7) コールド・パシュート  7.50(2)
⑦(8) アリー/ スター誕生  7.43(7)
⑧(9) 顔たち(韓国)  7.40(5)
⑨(10) カペナウム  7.33(9)
⑩(-) グリーンブック  7.29(7)

 今回新登場の作品はありません。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績3月15日(金)~3月17日(日) ★★★
           初登場の「キャプテン・マーベル」早くも300万人を突破

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・キャプテン・マーベル ・・・・・・・・・3/06・・・・・・・・・1,012,089・・・・・・4,599,329 ・・・・・・41,152 ・・・・・・1,779
2(新)・・エスケープ・ルーム ・・・・・・・・・・3/14 ・・・・・・・・・・313,588 ・・・・・・・389,591 ・・・・・・・3,504・・・・・・・・850
3(新)・・金(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/20 ・・・・・・・・・・・58,597 ・・・・・・・・75,465・・・・・・・・・665・・・・・・・・375
4(新)・・運び屋 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/14・・・・・・・・・・・51,408 ・・・・・・・・64,314・・・・・・・・・549・・・・・・・・472
5(2)・・抗拒:柳寛順物語(韓国) ・・・・・・・2/27・・・・・・・・・・・41,744・・・・・・1,128,778 ・・・・・・・9,097・・・・・・・・453
6(5)・・極限職業(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・1/23・・・・・・・・・・・27,375・・・・・16,243,246 ・・・・・139,494・・・・・・・・348
7(4)・・証人(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/13・・・・・・・・・・・26,525・・・・・・2,519,114 ・・・・・・20,365・・・・・・・・379
8(新)・・森の中の王国のミツバチ女王・・3/14・・・・・・・・・・・17,336 ・・・・・・・・18,306・・・・・・・・・146・・・・・・・・372
9(3)・・サバハ[娑婆訶.そわか](韓国)・・・・2/20・・・・・・・・・・・16,978・・・・・・2,389,671 ・・・・・・19,941・・・・・・・・289
10(6)・・グリーンブック・・・・・・・・・・・・・・1/09・・・・・・・・・・・11,696 ・・・・・・・394,381 ・・・・・・・3,364・・・・・・・・・84
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は2・3・4・8位の4作品です。
 2位「エスケープ・ルーム」は、アメリカのホラー。巨額の賞金がかかった部屋脱出ゲームに招待された6人。性別、年齢、出身もすべて異なる彼らは、ただ招待だけを持って 世界最高の部屋脱出ゲーム会社<ミノス>に集まります。しかし、招待者は現れず、予告なしにゲームは開始されます。瞬く間に焼け死ぬほど熱く部屋の温度が上昇し、6人の参加者たちは脱出の手がかりを探し始めます。死の恐怖の中、間一髪次の部屋に移った参加者たちは、オーブン室、アイス室、さかさま室、ポイズン室、イリュージョン室、クラッシュ室を経て、これが普通のゲームではないということを知ることになります・・・。韓国題は「이스케이프 룸」。日本公開は未定のようです。
 3位「金」は、韓国のクライム。ひたすら金持ちになりたいという夢を抱いて汝矣島(ヨイド)証券に進出した新米の株式ブローカー、チョ・イリョン(リュ・ジュニョル)。コネもなく、(口利き)手数料Oウォンの彼はすぐに解雇直前の境遇に追い込まれます。危機の瞬間、ベールに包まれた神話的な作戦の設計者<番号票>(ユ・ジテ)に出会い、莫大な利益を取りまとめることができる取引への参加を提案されます。
危険な提案を受け入れた後、瞬く間に大金を稼ぐようになったイリョンですが、勝利の余勢をかって疾走する彼の前に<番号票>の後を追っていた金融監督院の猟犬ハン・ジチョル(チョ・ウジン)が現れ、彼を締めつけ始めます・・・。原題は「돈」です。
 4位「運び屋」は、クリント・イーストウッド監督の新作。日本では6日早く公開。韓国題は独自に「라스트 미션(ラスト・ミッション)」とつけています。
 8位「森の中の王国のミツバチ女王」(仮)は、フランスのアニメ。日本でも何冊も刊行されているフランスの絵本作家アントゥーン・クリングスの絵本シリーズ<にわの小さななかまたち>が原作で、TVアニメも放映されてきた作品です。物語の舞台は森の中の虫たちの王国。そこでは特別パーティーが予定されていました。ところがミツバチの女王マーガレットがいなくなった!? コオロギの魔術師と仲間たちは、事件を解決に乗り出しますが・・・。はたして王国の平和を取り戻すことができるでしょうか? 韓国題は「숲속왕국의 꿀벌 여왕」です。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・グリーンブック・・・・・・・・・・・・・・・・・1/09・・・・・・・・・11,696 ・・・・・・・394,381 ・・・・・・・・・3,364 ・・・・・・・・・84
2(2)・・天才作家の妻・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/27・・・・・・・・・・3,024 ・・・・・・・・33,917・・・・・・・・・・・265 ・・・・・・・・・44
3(新)・・303・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/14・・・・・・・・・・1,624 ・・・・・・・・・2,296・・・・・・・・・・・・20 ・・・・・・・・・43
4(4)・・カペナウム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1/24・・・・・・・・・・1,235 ・・・・・・・137,564 ・・・・・・・・・1,146 ・・・・・・・・・19
5(3)・・彼ら/Loro・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/07・・・・・・・・・・1,130 ・・・・・・・・・7,181・・・・・・・・・・・・58 ・・・・・・・・・32

 3位の「303」(仮)が新登場です。ドイツのドラマ&ロマンス。「ベルリン,僕らの革命」(2004)のヤンとハンス・ワインガルトナー監督作品です。誰かとの出会いを求めてそれぞれ旅に出た大学生男女のヤン(アントン・スパイカー)とユル(マーラ・エムデ)。ヤンは出発当日カップルで予約をし、偶然出会ったユルにすぐさま「一緒に行きますか?」と提案します。目的地が違うのに、ベンツ303を改造したキャンピングカーに乗って出発します。そしてお互いの傷とも出会った2人の目に、あまりに違う互いの姿が次第に彩りを帯びてきます・・・。韓国題は「에브리타임 룩 앳 유(エブリータイム・ルック・アット・ユー)」です。


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