ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績 [5月9日(金)~5月11日(日)]

2014-05-13 18:10:45 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 先週書いたようにずっとシリアスな映画ばっかり観続けだったので、ここらでハハハと笑える映画を、ということで観に行ったのは「WOOD JOB!~神去なあなあ日常~」。長澤まさみも西田尚美も優香も実に久しぶり。「若々しさ」という聖衣が脱ぎ去られた後、地の魅力が出てくるなー、なんて言ったら、「まだ」若い長澤まさみに失礼?
 その後11日に「南部軍」を観るつもりで渋谷まで行ったところで、その日の上映が「南部軍」ではなく「南営洞1985」だったことに気づき、まだそこまでゲンキになってないと思ってユーロスペースの「シンプル・シモン」に急遽変更。しかし、客の入りは予想以上。80人以上いたのでは?
 で、上記2作で元気になったかというと、まあちょっとだけ。
 「WOOD JOB!~神去なあなあ日常~」を楽しく観た人でも、「じゃあアナタ、あそこで働ける?」と問われて「はい!」と答える人はどれほど増えるのでしょうか? 逆に林業は大変だなあと思った人が多いかも・・・。
 「シンプル・シモン」でハッピーに笑ってた人、あのシモンと彼女の今後について何か心配だな、と思いませんか? やはり冷静に考えると、アスペルガー症候群の当人と、その家族や周囲の人たちは大変だなあと思わざるをえません。

 あ、今回も韓国映画のことを書かなかった・・・。

 5月12日の「朝鮮日報」に久しぶりに「封切映画 ぴったり10字評」が・・・。しかし3作品だけとはちょっと寂しい。

        
  「デタッチメント」誰も見棄てられぬよう・・・。★★★ 「はちみつ色のユン」見棄てられても希望が。★★★☆ 「エンパイア・ステート」月給取りの曖昧な逸脱。★★☆ 

           ★★★ Daumの人気順位(5月13日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①儀軌 8日間の祝祭 3D(韓国)  9.8(24)
②10分(韓国)  9.6(20)
③弁護人(韓国)  9.5(30541)
④あなたを抱きしめる日まで  9.1(53)
⑤リバー・ランズ・スルー・イット  9.1(122)
⑥ミスター・ピーボディ&シャーマン  9.1(67)
⑦怪しい彼女(韓国)  9.0(2829)
⑧ハン・ゴンジュ(韓国)  9.0(24)
⑨ベルとセバスチャン  8.9(59)
⑩舟を編む(日本)  8.9(53)

 今回の初登場は②「10分」だけです。放送局のPDをめざすホチャン(ベク・ジョンファン)は、まもなく地方に移転する公共機関・韓国コンテンツセンターの6ヵ月インターン社員として入社します。正社員に負けないよう雑務はもちろん、夜勤の部署や週末登山まで同行して誠実さを認められます。ある日突然職員の求人公示が出ると、部長や労組支部長の強い勧めもあり、ホチャンも受験をします。オフィスの社員はすでに彼の採用を当然視して、ホチャンもPD試験の準備資料までガールフレンドに渡して、結果を楽しみに待ちます。ところが、あらま、これどういうこと? コネでとんでもない女性職員が入社したのです! 労組支部長は組合次元で問題にすると言い、他の社員たちも落下傘降下の新入りに非協力的であると思っていたのですが・・・。正規職と非正規職の差がこのようなことだったのか! その新入りは驚くべき親和力でオフィスの雰囲気を牛耳るし、ホチャンは自分がただのインターンだったことがひしひしとわかってきます。さらに悪いことはさらに続き・・・。で、このタイトルの「10分」とは、最後の方でホチャンが自らの運命を決める重要な決定を迫られるのですが、その制限時間のこと。・・・というわけで、コメディではありますが、韓国社会の重い現実をそのまま反映した作品で、とくに同じ悩みを抱える若者にとっては可笑しくも悲しい物語です。(観た人の感想等、→1つ前の記事で書きました。)この作品はイ・ヨンスン監督の檀国大映画コンテンツ専門大学院の卒業作品で、2013年釜山国際映画祭で国際映画評論家協会賞とKNN観客賞を受賞し、今年のプジョル国際アジア映画祭では長編映画コンペティション部門の大賞を受賞と、高評価を得ています。私ヌルボ、これはぜひ観たい!

     【専門家による順位】

①インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌  8.8(7)
②ゼロ・グラビティ  8.2(5)
③罪の手ざわり(中国・日本)  8.1(8)
④ミヒャエル・コールハース  8.0(4)
④ミス・ヴァイオレンス  8.0(4)
⑥グランド・ブダペスト・ホテル  7.8(7)
⑦萬神(韓国)  7.7(4)
⑧そして父になる(日本)  7.6(6)
⑨物語る私たち  7.4(5)
⑩キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー  7.3(6)
⑩ハン・ゴンジュ(韓国)    7.3(6)

 前週と順位・評点とも全く同じです。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[5月9日(金)~11日(日)] ★★★

         「逆鱗」が2週連続トップ

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・逆鱗(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/30 ・・・・・・・・・・・581,028 ・・・・・・・3,214,558 ・・・・・・・25,102・・・・・・・・876
2(3)・・標的(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/30 ・・・・・・・・・・・553,400 ・・・・・・・2,042,001 ・・・・・・・16,106・・・・・・・・716
3(2)・・アメイジング・スパイダーマン2・・4/23 ・・・・・・・・・・・346,250 ・・・・・・・3,946,113 ・・・・・・・33,080・・・・・・・・687
4(4)・・リオ2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/01・・・・・・・・・・・・104,600・・・・・・・・・654,187 ・・・・・・・・4,480・・・・・・・・403
5(新)・・ラスト・ベガス・・・・・・・・・・・・・・・・5/08・・・・・・・・・・・・・90,536 ・・・・・・・・114,406 ・・・・・・・・・・896・・・・・・・・349
6(5)・・ミスター・ピーボディ&シャーマン・・4/24・・・・・・・・・・・・38,438・・・・・・・・・355,728 ・・・・・・・・2,640・・・・・・・・223
7(6)・・グランド・ブダペスト・ホテル ・・・3/20・・・・・・・・・・・・・・14,244・・・・・・・・・745,785 ・・・・・・・・5,786・・・・・・・・・80
8(8)・・ハン・ゴンジュ(韓国) ・・・・・・・・・4/17・・・・・・・・・・・・・・11,236 ・・・・・・・・210,625 ・・・・・・・・1,672・・・・・・・・112
9(7)・・キャプテン・アメリカ/ ・・・・・・・・3/26・・・・・・・・・・・・・・・9,481・・・・・・・3,958,749 ・・・・・・・31,676・・・・・・・・・48
           ウィンター・ソルジャー
10(10)・・ル・ウィークエンド・・・・・・・・・・5/01・・・・・・・・・・・・・・・5,327・・・・・・・・・・19,995・・・・・・・・・・・161・・・・・・・・・36
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 沈没事故の影響もそれなりに薄らいできたか? しかし黄金週間(←韓国でも)ということを考えると完全回復には至ってないようです。「逆鱗」「標的」と1・2位に韓国映画が並んだのは久しぶり。
 今回の新登場は5位「ラスト・ベガス」だけとはめずらしい! それにしても、「グランド・ブダペスト・ホテル」の行きの長さは特筆もの。どこまで続く? 日本公開は6月6日。待ち遠しいなー。
 5位「ラスト・ベガス」は、マイケル・ダグラス、ロバート・デ・ニーロ、モーガン・フリーマン、ケヴィン・クラインが集結したハートフル・コメディということで、日本公開5月24日。すでに諸情報が流されているので、内容紹介は省略します。韓国題は「라스트베가스」です。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・ル・ウィークエンド・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/01・・・・・・・・・・・・・・5,327・・・・・・・・・・・・・・19,995・・・・・・・・・161・・・・・・・・・36
2(13)・・デタッチメント ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/08・・・・・・・・・・・・・・3,552・・・・・・・・・・・・・・・5,564・・・・・・・・・・41・・・・・・・・・37
3(2)・・パガニーニ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/23 ・・・・・・・・・・・・・2,736・・・・・・・・・・・・・・33,176・・・・・・・・・246・・・・・・・・・18
       愛と狂気のヴァイオリニスト
4(新)・・007/危機一発・・・・・・・・・・・・・1973/9/21 ・・・・・・・・・・・・・1,834・・・・・・・・・・・・・・・6,112・・・・・・・・・・12・・・・・・・・・・1
5(新)・・はちみつ色のユン(ベルギー・仏・スイス・韓)・・5/08・・・・・・1,586・・・・・・・・・・・・・・・2,039・・・・・・・・・・15・・・・・・・・・48

 新登場は2・4・5位の3作品です。
 2位「デタッチメント」は2011年の東京国際映画祭上映作ですが、日本ではその後一般公開はされていません。荒れた高校に赴任した代理教師はやる気のない生徒やモンスター・ペアレンツを相手にストレスが溜まるばかり。そんな中、重大な事件も起こったりして・・・と、現代アメリカの教育現場の実態が描かれます。韓国題は「디태치먼트」。
 3位「007/危機一発」、今回の再上映はこの作品。第1作の「ゴールド・フィンガー」といい、第2作のこの作品の「ロシアより愛をこめて」といい、主題歌が印象的でしたねー。あら、韓国での公開は10年遅れ? 韓国題は「007 제2편:위기일발(007 第2編:危機一発)」です。
 5位「はちみつ色のユン」は、1971年国際養子としてベルギーに渡った監督自身が、アニメを主体に自らの過去を辿ります。日本では2012年に公開され、私ヌルボも観た感想等を過去記事(→コチラ)で書きました。1年半遅れて韓国でも公開、その反応が気になるところですが、<DAUM映画>のネチズン評点を見ると平均9.4の高評価。「率直」という言葉が目につきました。専門家の評点は6.0~7.0ですが、「恥ずかしく、ありがたい」というコメントにちょっと注目。韓国題は「피부색깔=꿀색(肌の色=はちみつ色)」です。


最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
はちみつ色のユン (ソウル一市民)
2014-05-13 20:53:35
 今朝のKBS「アッチム・マダン」に「はちみつ色のユン」の原作者が出ておりました(アニメ版はフランス人との共作なんですね)。今回の公開は、監督の来韓にあわせたものなのか、あるいはその反対なのか…どちらなんでしょうね。
 番組のなかでしきりと実の親(まだ見つかっていないようですが)に対して「うらんでいないと伝えたい」と繰り返していました。同じ韓国系養子の女性と結婚して、この映画で使われている歌を歌っている女の子供もいるそうですが、今も韓国語が話せない(難しいので、と言っていましたが)とか、「韓国の歌は知っていますか」という問いに対して、かろうじて「映画でも使っているアリラン」と苦しげに答えたりしているところなどを見ていると、当然ながら複雑な思いを抱えているようでした(そのせいかどうか、見た目も年齢に比べてかなり老けて見えました)。

 このJungという漫画家の過去の著作を見ると、「怪談」とか「ヤスダ(安田?)」、「キヨテル(清輝?)」といった題名の、日本を題材にした漫画を描いているようです(それぞれの詳しい内容はよく分りませんが、「キヨテル」は仏アマゾンで見ると忍者の話のようです)。

 http://www.amazon.fr/Kwaidan-Int%C3%A9grale-Yee-Kun/dp/275601561X/ref=sr_1_13?s=books&ie=UTF8&qid=1399980527&sr=1-13&keywords=Jung
http://www.amazon.fr/Yasuda-1-bombardier-englouti-Jung/dp/2873530057/ref=sr_1_26?s=books&ie=UTF8&qid=1399980578&sr=1-26&keywords=Jung
http://www.amazon.fr/Kyoteru-Vol-1-Jee-Yun/dp/2756003719/ref=sr_1_17?s=books&ie=UTF8&qid=1399980578&sr=1-17&keywords=Jung

 これらについて「アッチム・マダン」で言及されていたかどうか、また、養子問題についてその是非等を巡る突っ込んだ話があったのかどうか、途中から見たので分りませんが、番組(放送局)柄か、韓国向けの発言(韓国人だと初めて分った時には感動したとか、韓国の辛い食べ物を真似てタバスコ(!)を入れたご飯を食べたりしたとか)が満載だったこともあり、そうした「不適切」な話題についての言及はなかったかも知れません(苦笑)。

 どうでもいいことですが、ペンネームがJungとシンプルな上、あのユング(カール・グスタフ)と一緒なので、アマゾンなどで検索すると、ユングと共に、Jungという名を含む韓国系の人の著作がたくさん引っかかってしまい結構面倒です。
返信する
ユン監督 (ヌルボ)
2014-05-14 16:51:27
韓国名がユンなので、尹(Yun)かなと思ったらJungなのですね。

映画の公開に合わせて、その宣伝で来韓したものと思います。
4月末の試写会の際の記者会見がYouTubeにありました。→
http://www.youtube.com/watch?v=ONA4s3BN7Jk

またKBSでは3日夜9時のニュースでも大きく報道したそうです。 →
http://www.funding21.com/project/detail/update/?uid=154

この記事によると
、「OECD諸国の中で唯一、海外養子縁組を送信国」という不名誉を洗浄するには、私たちの社会が私達の力で子供を育てることができるよう本格的な悩みをしなければならないという主旨のニュースでした。
・・・とのことです。
また、1953年から2007年まで国外養子縁組された韓国人は16万1506人だ。しかし、集計していない人が少なくないという点を考慮すると、実際には20万人を超えると見られる。
・・・という数字も記されています。

KBSのニュースもアッチム・マダンも見ることができる(2週間以内)ので、これから見てみます。

この映画の中で語られているように、監督は少年時代ずいぶん日本の忍者に熱中したようで、それがこれまでの漫画作品に反映されているのでしょう。
返信する
ユン監督 (ソウル一市民)
2014-05-14 19:34:53
 夜9時のニュースは見逃しましたので、見てみます。インタビューなどもご紹介ありがとうございました。

 「冬の小鳥」のウニ・ルコント監督もこのユン監督も仏語圏への養子ですが、韓国語を忘れてしまったことは双方に共通しているものの、(確か)9歳で養子となったルコント監督より年齢が幼かった(「アッチム・マダン」では5歳と言っていましたが、満年齢であれば4歳でしょうか)ためか、ユン監督の仏語にはなまりがなく、仏語ネイティヴと言ってもおかしくありません(ルコント監督には独特のなまりが残っています)。
 映画の中でも忍者に関する描写があるんですね。早く見てみたいものです。
返信する

コメントを投稿