韓国で約40年もの長い間ステディセラー(長期にわたるベストセラー)として読まれてきた趙世熙(チョ・セヒ)の小説『こびとが打ち上げた小さなボール』は昨年12月刊行されましたが、2月28日夜神保町のチェッコリでその翻訳者・斎藤真理子さんのお話がありました。私ヌルボ、これは聞きに行って良かったです! 多角的な視点からいろんなことを熱を籠めて話されましが、とてもおもしろくためになる内容で、大収穫でした。この映画化作品(1981年)のことも画像資料とともに説明されました。(いつもの)→<輝国山人の韓国映画>に詳述されています。下左は最初の公開時のポスター。右はその一場面です。
→斎藤さんのtwitterにあるようにポスターが「やたらと扇情的な作りになっているのは、目くらましのためだった」と言われています。
公開当時(1981年)は全斗煥による軍事独裁政権下で、70年代の朴正熙時代に続いて小説や音楽等とともに映画に対しても厳しい統制が続いた時代でした。とくにこの原作小説の場合、都市のタルトンネ(月の街)、サントンネ(山の街)と呼ばれた貧民街を舞台に、当時の住民無視の都市再開発の問題や、過酷な労働者の問題を直接的に描いた内容でした。映画化に際してそのような政治・社会問題をまともに描くと検閲に引っかかるので、「扇情的な作りだとまだパスしやすい」という読みがあったようです。(視覚的にファンの興味を引くという意図もあったかもしれませんが・・・。)
この映画に出演したアン・ソンギ氏は「検閲と改変のすさまじさでは一番だった」と言っているそうです。
そして原作ではソウルの都市労働者の物語だったのが映画では西海地方の塩田地帯の物語にすりかえさせられたとのことです。
上はその映画の一場面。今この作品はYouTubeで観られます。(→コチラ。) 大きな難点は日本語字幕ナシということなんですけどね。(笑)
なお、この上のボスターの女優は当時18歳だったクム・ボラ。(下左)
弦の切れたギターをもっているのは原作通りです。そして上右は30年ちょっと後「大長今」に出演していたクム・ボラです。いやあその、何というか・・・。
そういえば、最近観た「奴隷の島 消えた人々」も塩田で非人間的な扱いを受けている労働者の話でした。そのモチーフも2014年に大きく報道された新安塩田奴隷労働事件という実際の事件でした。(→ウィキペディア。) ただ、その事件自体を掘り下げるというのではなく、ミステリーの素材として描かれているに留まっているのは残念。その点は、相当改変されているとはいえ、「小さなボール」の方が勝っていると思います。
それでも、一般的に言って映画作品とその原作小説を比較した場合10中8、9は原作の勝ち。「風と共に去りぬ」も「ベン・ハー」も、ごく最近では韓国映画「お嬢さん」も・・・。例外は「2001年宇宙の旅」と、「私が棄てた女」くらい?・・・、あとすぐには思いつきません。
この「こびとが打ち上げた小さなボール」も、まずは小説を読んでほしいと思います。
→斎藤さんのtwitterにあるようにポスターが「やたらと扇情的な作りになっているのは、目くらましのためだった」と言われています。
公開当時(1981年)は全斗煥による軍事独裁政権下で、70年代の朴正熙時代に続いて小説や音楽等とともに映画に対しても厳しい統制が続いた時代でした。とくにこの原作小説の場合、都市のタルトンネ(月の街)、サントンネ(山の街)と呼ばれた貧民街を舞台に、当時の住民無視の都市再開発の問題や、過酷な労働者の問題を直接的に描いた内容でした。映画化に際してそのような政治・社会問題をまともに描くと検閲に引っかかるので、「扇情的な作りだとまだパスしやすい」という読みがあったようです。(視覚的にファンの興味を引くという意図もあったかもしれませんが・・・。)
この映画に出演したアン・ソンギ氏は「検閲と改変のすさまじさでは一番だった」と言っているそうです。
そして原作ではソウルの都市労働者の物語だったのが映画では西海地方の塩田地帯の物語にすりかえさせられたとのことです。
上はその映画の一場面。今この作品はYouTubeで観られます。(→コチラ。) 大きな難点は日本語字幕ナシということなんですけどね。(笑)
なお、この上のボスターの女優は当時18歳だったクム・ボラ。(下左)
弦の切れたギターをもっているのは原作通りです。そして上右は30年ちょっと後「大長今」に出演していたクム・ボラです。いやあその、何というか・・・。
そういえば、最近観た「奴隷の島 消えた人々」も塩田で非人間的な扱いを受けている労働者の話でした。そのモチーフも2014年に大きく報道された新安塩田奴隷労働事件という実際の事件でした。(→ウィキペディア。) ただ、その事件自体を掘り下げるというのではなく、ミステリーの素材として描かれているに留まっているのは残念。その点は、相当改変されているとはいえ、「小さなボール」の方が勝っていると思います。
それでも、一般的に言って映画作品とその原作小説を比較した場合10中8、9は原作の勝ち。「風と共に去りぬ」も「ベン・ハー」も、ごく最近では韓国映画「お嬢さん」も・・・。例外は「2001年宇宙の旅」と、「私が棄てた女」くらい?・・・、あとすぐには思いつきません。
この「こびとが打ち上げた小さなボール」も、まずは小説を読んでほしいと思います。
1981年に映画化したとの事で是非観たいのでDVDを売って下さい。
残念なことに、「小さなボール」の日本語版DVD及びVHSは発売されていません。
以前福岡市総合図書館で上映されたことがあるそうですが、私は観ていません。したがって、わたしもコチラのYouTube(日本語字幕なし)で観ただけです。 →
https://www.youtube.com/watch?v=wwGES9It_80
この作品については、輝国山人の韓国映画をご参照ください。 →
http://www.hf.rim.or.jp/~t-sanjin/iwonse_ball.html
この作品も含めて、これまで見られなかった、または見る機会のすくない過去の名作をぜひ上映してほしいものです。