ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [6月21日(金)~6月23日(日)]

2019-06-26 18:25:20 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸7月19日から一般劇場公開予定の韓国映画「工作 黒金星と呼ばれた男」を一足先に観てきました。あ、<黒金星>の読みは<ブラック・ヴィーナス>ですよ。(今まで<クロキンボシ>かと思ってた(^^;)。)
 実在の人物をモデルにしたドラマでなかなかおもしろかったです。2018年の大鐘賞で主演男優賞を受賞したファン・ジョンミンイ・ソンミンも好演してます。が、平成生まれの若い人たち(だけじゃない?)にはその時代(90年代から今世紀初頭頃)の北朝鮮と韓国の政治史についての予備知識が必要かも。北朝鮮関係では、1993年NPT(核拡散防止条約)脱退等の核開発をめぐる疑惑と緊張の高まり、金日成死去(1994)以前からの金正日の独裁、90年代後半の<苦難の行軍>と呼ばれる深刻な飢餓等々。韓国関係では97年の大統領選挙での金大中の勝利、2000年6月の平壌での南北首脳会談、そして金大中に続く進歩系の廬武鉉政権の成立等々。あ、韓国の選挙関係ではよく<北風効果>という言葉が出てきますが、興味がある方はクグってみてください。また日本ではほとんど知られていない本作品関係の2005年の史実というのもありました。はっきり書くとネタバレになる恐れもある(?)のでボンヤリと→関連記事のリンクだけ張っておきます。
 ※本作品の韓国公開は昨年の8月4日。その時の→過去記事でけっこう詳しく内容紹介を書きました。
 ついでに、この作品の公式サイトは→コチラ
 なお、この作品を観るにあたっての留意事項は、「史実とフィクションの境界がむずかしい」ということ。もう1点は、基本的に韓国の<進歩系>の側に立脚した作品ということです。

▸25日(火)は朝鮮戦争開戦69年に日。以前はこの時期に関連の国策映画(?)も公開されましたが、現在上映中の作品中にはそれらしいものは見当たらず。進歩系の政権ということがやはり大きいようです。

▸今日26日は、カンプルの漫画(ウェブトゥーン)の実写化作品「26年」の特別上映会がなかのZERO小ホールであると思っていましたが、昨日手帳に転記ミスをしていたことに気づきました。正しくは29日(土)18:30~21:50です。詳細は→コチラ。Netflixで観られるのですが、映画館での鑑賞にこだわる私ヌルボは観ていません。
 そんなわけで今晩の予定が空いたので、これから何を観るか・・・。話題の「主戦場」、実はまだ未見。シネマ・ジャック&ベティで上映中ですが、正直なところ「かったるそう」なのでパス。kino cinema 横浜みなとみらいに行って「旅のおわり世界のはじまり」でも観てくるかなっと。

▸観る映画の事前情報の1つとして「キネマ旬報」の星取表[コメント付き](→コチラ)は有用。今まで立ち読みで済ませてきた人はぜひ。過去データも見られます。

         ★★★ NAVERの人気順位(6月25日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(1) 痛いほど愛する(韓国)  9.71(140)
②(-) 存在のない子供たち[カペナウム]  9.59(2,803)
③(-) ゴーイング・バーティカル  9.51(172)
④(2) アラジン  9.48(15,899)
⑤(4) アベンジャーズ/エンドゲーム  9.39(67,054)
⑥(-) RBG 最強の85才  9.38(168)
⑦(6) ソウニの膝(韓国)  9.35(23)
⑧(5) 教会のお兄さん(韓国)  9.33(1,313)
⑨(-) 15ミニッツ・オブ・ウォー  9.30(10)
⑩(7) ポロロ劇場版 宝島大冒険  9.29(2,359)

 ③と⑨の2作品が新登場です。
 ③「ゴーイング・バーティカル」(仮)は、ロシアで昨2018年大ヒットしたスポーツドラマ。72年ミュンヘン五輪等で活躍したバスケットボールの人気選手セルゲイ・ベロフの自伝に基づいた作品です。
1970年ソ連のバスケットボールの男子国際チームのヘッド・コーチに就任したウラジミールは記者会見で72年ミュンヘン五輪でアメリカを打ち負かすと発言し、新しい技術でトレーニングを開始。1936年のベルリン大会以来無敗を誇るアメリカチームに挑みます。いよいよ本番のオリンピック。勝ち進んだソ連チームの決勝の相手はもちろんアメリカ。ソ連が序盤からリードしますが、終盤アメリカが追い上げて残り30秒の時点でソ連のリードはわずか1点。そして運命の残り3秒・・・。バスケットとかオリンピックに詳しくない人でも「ロシアで大ヒット」というだけで結末の見当はつきますね。しかし実は最後の3秒についてはとてもややこしいことになったのです。詳しくは→コチラの記事参照。なお、この作品ではこの試合のことだけではなく、個々の選手の生活とか民族事情とかいろんなことが描かれているようです。ロシア人だけでなく、ウクライナ・ジョージア・ラトビア・ウズベク等の多様な民族の選手たちで構成されていたとか。韓国題は「쓰리 세컨즈(Three Seconds[3秒])」。日本公開は未定のようです。
 ⑨「15ミニッツ・オブ・ウォー」(仮)は、史実に基づくフランスの戦争アクション&ドラマ。物語の舞台はジブチ、・・・ってどれだけ知られているでしょうか? 東アフリカの、紅海の南側の出口の小さな国で、対岸はイエメンです。時代は1976年。当時はフランスの最後の植民地で、独立運動が高まっていました。そんな中でフランス軍人の子供たちが乗ったスクールバスがソマリアの武装勢力に乗っ取られます。ジブチの即時独立を求める武装勢力との交渉は絶対ダメだとするフランス政府の方針ので、日没までに21人の子供たちを救い出さなければならない最精鋭特殊部隊は、複雑きわまりない政治紛争の中にあって、命を救うためにあえて命令不服従を選択し、息づまる15分の救出作戦に突入します・・・。韓国題は「퍼펙트 타겟(パーフェクト・ターゲット)」ですが、英題をそのまま仮題としました。日本公開は未定です。※ジブチは翌1977年独立。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 寄生虫[パラサイト](韓国)  9.06(16)
②(-) 幸福なラザロ  8.40(5)
③(-) トイ・ストーリー4  8.33(9)
④(2) アニエスによるヴァルダ  8.00(6)
⑤(3) アベンジャーズ/エンドゲーム  7.62(13)
⑥(4) キム君(韓国)  7.57(7)
⑦(5) サスペリア  7.40(5)
⑧(-) 存在のない子供たち[カペナウム]  7.33(9)
⑨(6) チェ 28歳の革命  7.25(4)
⑩(7) ノン・フィクション  7.17(6)

 ②と③の2作品が新登場です。
 ②「幸福なラザロ」は、2018年のカンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞したイタリアのドラマ。日本では4月19日から公開されています。ファンタジーっぽい話かと思ったら、「80年代に実際に起きた詐欺事件から着想した」とのこと。韓国題は「행복한 라짜로」です。観るつもりでいたのに近所での上映を見逃がし、今は東京に行かないと観られないとは、トホホ(泣)。
 ③「トイ・ストーリー4」については後述します。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績6月21日(金)~6月23日(日) ★★★
           9年ぶりのシリーズ新作「トイ・ストーリー4」が1位

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(71)・・トイ・ストーリー4・・・・・・・・・・・6/20 ・・・・・・・・・973,066・・・・・・1,115,627・・・・・・・・・9,884 ・・・・・・1,335
2(2)・・アラジン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/23 ・・・・・・・・・951,444・・・・・・6,799,679・・・・・・・・58,253 ・・・・・・1,226
3(16)・・Long Live the King・・・・・・・・・・・6/19・・・・・・・・・・456,091・・・・・・・680,867・・・・・・・・・5,910・・・・・・・・884
       :木浦の英雄(韓国)
4(2)・・寄生虫[パラサイト](韓国) ・・・・・5/30 ・・・・・・・・・373,062・・・・・・9,094,971・・・・・・・・77,941・・・・・・・・782
5(34)・・ジョン・ウィック:パラベラム・・6/26 ・・・・・・・・69,372 ・・・・・・・・73,141 ・・・・・・・・・・691・・・・・・・・361
6(3)・・メン・イン・ブラック ・・・・・・・・・・6/12・・・・・・・・・・55,271 ・・・・・・・816,388・・・・・・・・・7,193・・・・・・・・497
       :インターナショナル
7(4)・・天路歴程・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/13 ・・・・・・・・・41,493 ・・・・・・・146,086・・・・・・・・・1,122・・・・・・・・235
8(新)・・チャイルド・プレイ・・・・・・・・・・・6/20 ・・・・・・・・・33,093 ・・・・・・・・46,546 ・・・・・・・・・・438・・・・・・・・452
9(6)・・となりのトトロ(日本)・・・・・2001/7/28 ・・・・・・・・・・5,534 ・・・・・・・155,441・・・・・・・・・1,275・・・・・・・・・63
10(8)・・ビリーブ 未来への大逆転・・・・6/13 ・・・・・・・・・・5,319 ・・・・・・・・31,379 ・・・・・・・・・・250・・・・・・・・・39
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は1・3・5・8位の4作品です。
 1位「トイ・ストーリー4」は、アメリカの人気アニメシリーズの9年ぶりの第4作。日本公開も7月12日と迫ってきて、→公式サイト
https://www.disney.co.jp/movie/toy4.html
も当然できているので説明は省略。ただ、フォーキーという新キャラが登場するのですが、この造りがソザツというかなんというか(笑)、ま、そこがミソのようなんですけどね。韓国題は「토이 스토리 4」です。
 3位「Long Live the King:木浦の英雄」は、韓国のドラマ&アクション。巨大組織のボスとしてはばかることなく生きているチャン・セチュル(キム・レウォン)は、反対する人を撤去させる要員として再開発反対デモの現場に行きます。ところが、そこで出会った腹の据わった弁護士カン・ソヒョン(ウォン・ジナ)の一針で彼女が願う「良い人」になろうと心を決めます。そしてある日、偶然バスの墜落事故で全力で市民を救出し、一躍木浦のの英雄として注目され、思いもよらない事件で国会議員に出馬することになります。だんだん市民の心をとらえてセチョルの立場が高まると、三選をねらう反対派の候補チェ・マンス(チェ・グィハ)はセチュルを目の敵にし、彼を阻止するためにセチュルのライバル組織のボス、チョ・グァンチュン(チン・ソンギュ)と手を握って陰謀を企むのですが・・・。原題は「롱 리브 더 킹: 목포 영웅」です。
 8位「ジョン・ウィック:パラベラム」は、キアヌ・リーヴスが最強の殺し屋を演じる人気アクションシリーズの第3作。1400万ドルの賞金首となり、世界中の殺し屋の銃口が彼に向かいます。国際暗殺者連盟の波紋措置が下された彼は、何の保護も受けられないまま危機感が高まる中、結局最後の戦いのためにソフィア(ハル・ベリー)を訪ねて行くのですが・・・。韓国題は「존 윅 3: 파라벨룸」です。
 8位「チャイルド・プレイ」は、1988年に始まるアメリカのホラーシリーズのリブート作。つまり「今作では高性能AI人形へと生まれ変わるなど、過去のシリーズ作品から現代版へと設定を一新させた」という点に注目!だそうです。日本では7月19日公開で、すでに諸情報が流されています。ふーん、<怖カワ>ねー・・・。韓国題は「사탄의 인형(サタンの人形)」です。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・天路歴程 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/13 ・・・・・・・・・41,493 ・・・・・・・146,086・・・・・・・・1,122・・・・・・・・・・235
2(2)・・となりのトトロ(日本) ・・・・・2001/7/28 ・・・・・・・・・・5,534 ・・・・・・・155,441・・・・・・・・1,275・・・・・・・・・・・63
3(4)・・ビリーブ 未来への大逆転 ・・・・・6/13 ・・・・・・・・・・5,319・・・・・・・・31,379・・・・・・・・・・250・・・・・・・・・・・39
4(28)・・ブック・クラブ ・・・・・・・・・・・・・・・6/20 ・・・・・・・・・・4,818・・・・・・・・・7,310・・・・・・・・・・・58・・・・・・・・・・・68
5(5)・・教会のお兄さん(韓国)・・・・・・・・・・5/16 ・・・・・・・・・・2,490 ・・・・・・・・88,274 ・・・・・・・・・716・・・・・・・・・・・26

 4位「ブック・クラブ」(仮)が新登場です。アメリカのコメディ。長年仕事に専念して来たキャリアウーマン仲間のダイアン(ダイアン・キートン)、ヴィヴィアン(ジェーン・フォンダ)、シャロン(キャンディス・バーゲン)、キャロル(メアリー・スティーンバージェン)の4人は月1回の読書会で文学史上の名作を次々と読み進めていきますが、「たまには趣向を変えてみよう」ということでイギリスのE・L・ジェイムズの小説「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」(ハヤカワ文庫所収)を読むことになります。ごく普通の人生を送ってきた彼女たちにとって、マミーポルノとして名高い同作は極めて刺激的でした。それに触発された4人は、単調な自分の人生を変えようと、新たな一歩を踏み出していくのでした・・・。韓国題は「북클럽」です。この女優陣の生年を確認すると、順に1946年・1937年・1946年・1953年か。ジェーン・フォンダは81歳になるんですねー。それでこの映画か、ハッハッハ。ちょっと観てみたい気もするけど、日本公開は未定か?


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2 コメント

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「主戦場」 (yab)
2019-06-30 21:02:08
ヌルボさんがかったるいとおっしゃってた「主戦場」、観てきました。確かにかったるくなるような問いかけを投げかけられた感じでした。

ここ最近の慰安婦問題を巡る政治状況を分かりやすく整理をされていました。
90年代生まれなので、記録の中でしか分からないのですが、当時の慰安婦問題の取り上げ方は今ともまた違ったものだったんでしょうか。

一部出演者のお怒り?の報道でもご存じの通り、欧米の視点なら、この問題の枠組みをあぶり出せる物なのかと感心してしまいました。

ただ、一方で映画をご覧になったジャーナリストの江川紹子さんの批判的な視点も参考になります。
https://twitter.com/amneris84/status/1125752250620530688
ヌルボさんならもしかするとこの立場に共感するかもしれませんね(この視点も左からは結構批判されてはいるようですが…)。

ついでに、僕もブログを始めました。
まだ始めたばかりですが、一応リンク貼ったので、よろしくお願いします。
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ありがとうございました。 (ヌルボ)
2019-07-03 16:19:01
 とても有用なコメントをありがとうございました。
 90年代のお生まれ、ということは、私の教員時代の一番最後の時期の生徒の皆さんの世代で、そのことだけでもちょっと感慨深いものがあります。本ブログのどこらへんに注目して下さったのか・・・。)

 「主戦場」については、次の新しい記事でも少し書いたのでご一読下さい。江川紹子さんのツイートをめぐる議論は初めて読みました。「もしかするとこの立場に共感するかもしれませんね」という点はけっこう当たっているかも・・・(笑)。江川さんはもちろん嫌韓でもなく元慰安婦の皆さんにも理解を示す人だと思いますが、そんな本来<味方>であるはずの人まで向こう側に押しやるような戦い方してちゃダメでしょ、と思います。まあ、それ以前に、論議の前提からして問題多すぎだし、これまで論議されてない論点もたくさんあると私は思っています。たとえば加害者本人、被害者本人に「なりかわって」責任を追及したり謝罪したり反論したりする「自分」はいったい何者なの?というのもそのひとつ。あと書けば長いので、いずれ1つの記事にまとめようとは思うのですが、いつになることやら・・・。
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