ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画の興行成績 [1月28日(金)~1月30日(日)]と作品紹介 ▶大統領選挙関係の韓国映画2作品 ▶張芸謀監督「One Second」は文革の頃の映画をめぐる物語 ← 日本公開熱烈要望!

2022-02-03 19:48:32 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶今回の記事中、韓国映画ではドラマ「キングメーカー」とドキュメンタリーの「私のローソク革命」(原題は「나의 촛불(私のローソクの火)」)の2作品が1ヵ月余に迫った大統領がらみ。概して韓国の映画界は進歩系で、「キングメーカー」の主人公、ソル・ギョング演じるキム・ウンボムのモデルは金大中とのことです。またドキュメンタリー「私のローソク革命」はタイトルからして進歩性向ですね。社会運動家でもある俳優のキム・ウィソンも登場しているようです。が、文在寅大統領の熱烈支持者である<문빠(ムンパ)>を自称してきた作家の孔枝泳(コン・ジヨン)も1年前からツイートは更新されていないし、以前やはりツイッターで見つけたやはりムンパの人も最後のツイートは1年前だし、大統領就任当初とはかなりフンイキは違ってきてるようかも・・・。

▶注目の外国映画は張芸謀[チャン・イーモウ]監督の最新作「一秒間 - One Second -」です。
 張芸謀監督と言えば今まさに2月4日の北京冬季五輪の開閉会式を直前に控え、総合演出担当の彼にすれば映画どころじゃないでしょう。彼は2004年アテネ五輪の閉会式で4年後の北京五輪への引き継ぎ式の総監督を務め、もちろんその北京オリンピックの開会式・閉会式の総監督を担当しました。そして2018年平昌冬季五輪の閉会式でも今回の北京冬季五輪への引き継ぎ式の総合演出を担当して今に至るわけです。が、五輪関係はTV等のメディアに任せます。
 私ヌルボが初めて中国映画を観てすごく感動したのが謝晋監督の「芙蓉鎮」、そして張芸謀監督作品で最初に観た作品は「紅いコーリャン」で、彼が俳優として出演した作品としては「古井戸」。観たのはどれも80年代末の岩波ホールやユーロスペース(?)で、もう30年以上前のことになります。その後張芸謀監督は大ヒットした「初恋のきた道」や同じく2000年に日本公開の「あの子を探して」以降はそれまで地方の村に住む貧しい庶民のリアルなドラマから一転して「HERO」(2003年日本公開)以降は豪華俳優陣の起用と最新映像技術による映画が目立つようになり、(同様に変わってきた韓国映画同様)「なんだかなー・・・」と思っていましたが、この一秒間 - One Second -」は最初の頃のフンイキが戻ってきたように思われます。
 ストーリーについてはずっと下の紹介記事参照・・・って、いやジツは→コチラのYouTubeが一番手っ取り早いんですけどね(笑)。
     
【 「一秒間 - One Second -」のポスター。この薄汚い女の子と右の女優・劉浩存[リウ・ハオツン]が同一人物とはとても思えません(笑)。】


    ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績1月29日(金)~1月31日(日) ★★★
          6週連続1位の「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」 700万人を超える

【全体】
順位・・・・題名 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(10)・・海賊:鬼の旗(韓国) ・・・・・・・1/26 ・・・・326,541 ・・・・・・・494,166・・・・・・・4,666・・・・1,703
2(22)・・キングメーカー(韓国) ・・・・・1/26 ・・・・173,640 ・・・・・・・263,704・・・・・・・2,477・・・・1,159
3(1)・・スパイダーマン ・・・・・・・・・・・12/15 ・・・・・75,630 ・・・・・7,306,964 ・・・・・73,076・・・・・・680
       :ノー・ウェイ・ホーム
4(2)・・SING/シング・・・・・・・・・・・・・・1/05 ・・・・・41,452・・・・・・・・742,201 ・・・・・・6,836・・・・・・650
       :ネクストステージ
5(新)・・劇場版 こんにちはチャドゥよ・・1/19・・32,701・・・・・・・・・39,238 ・・・・・・・・343 ・・・・・・603
       :済州島の秘密(韓国)
6(5)・・ハウス・オブ・グッチ・・・・・・・・・1/12 ・・・・・・5,376・・・・・・・・120,064・・・・・・・1,184 ・・・・・・・63
7(3)・・特別手荷物[特送](韓国) ・・・・・1/12 ・・・・・・5,070・・・・・・・・427,425・・・・・・・4,048・・・・・・247
8(新)・・人魚の眠る家(日本) ・・・・・・・・1/28 ・・・・・・4,359 ・・・・・・・・・・4,359・・・・・・・・・・38・・・・・・・90
9(9)・・アナザーラウンド・・・・・・・・・・・1/19・・・・・・・3,553 ・・・・・・・・・20,165 ・・・・・・・・186・・・・・・・53
10(6)・・キングスマン・・・・・・・・・・・・・12/22 ・・・・・・3,275・・・・・・1,014,447 ・・・・・10,185・・・・・・・55
       :ファーストエージェント
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 2・5・8位の3作品が新登場です。
 2位「キングメーカー」は韓国のドラマ。世の中が変わるありさまをちっと見てみたいです。世の中を変えるために挑戦する政治家キム・ウンボム(ソル・ギョング)の前に、彼と志を共にしようと選挙戦略家ソ・チャンデ(イ・ソンギュン)がやってきます。劣勢の状況下、ソ・チャンデは誰も想像できなかった選挙戦略を展開し、キム・ウンボムは選挙に続けて勝利し、党を代表する大統領候補にまで上がります。大統領選挙に向けて本格的な歩みが始まり、彼らは当選のために総力を傾けます。そんな中、キム・ウンボムの自宅に仕掛けられた爆発物が爆発する事件が発生し、容疑者としてなんとソ・チャンデの名が上がったのです。ここで両者の関係は新しい局面を迎えることになります・・・。原題は「킹메이커」です。
 5位「劇場版 こんにちはチャドゥよ:済州島の秘密」は韓国のアニメ。10歳の女の子チャドゥは家族旅行で済州島に行きます。ところがそこで出会った良い子で優等生の少女チョンボクが気に食わないのです。とくに親友の男子ユンソクを見つめるそのハート💛の目つきは何よっ!と敵意むき出し。ユンソクをチョンボクが独占すると、怒ったチャドゥは誤ってトルハルバン(お爺さんの石像)を倒してしまい、その拍子に遠い昔封印されたままの呪いが目覚めます。するとドルハルバンから放たれたビームに当たった人は石になって固まってしまい、チャドゥたちは何とかみんなを元の状態に戻そうとしますが・・・。原題は「극장판 안녕 자두야: 제주도의 비밀」です。
 8位「人魚の眠る家」は東野圭吾の原作本の映画化作品ですが私ヌルボは未見。東野圭吾は韓国では日本人作家中の1番人気で、現在でも「虛像の道化師」と「ナミヤ雜貨店の奇蹟」が小説・詩部門のベストセラー30位以内に入っています。映画がベスト10に入るのも当然かも。また「白夜行」「容疑者Xの献身」「さまよう刃」の3作は韓国独自に映画化してるし・・・。2014年公開の韓国版「さまよう刃」は観てその感想等を→コチラや→コチラの過去記事で読んだらとても自分が書いたとは思えなかった・・・。「人魚の眠る家」はミステリーではありませんが、どちらも社会的な問題をテーマとしている点で共通うしていますね。韓国題は「인어가 잠든 집」です。

【独立・芸術映画】
順位 ・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(新)・・人魚の眠る家(日本)・・・・・・・・・・1/28・・・・・・・・・4,359・・・・・・・・4,359 ・・・・・・・・・・・38・・・・・・・・90
2(1)・・アナザーラウンド ・・・・・・・・・・・・1/19・・・・・・・・・3,553・・・・・・・20,165・・・・・・・・・・186 ・・・・・・・53
3(2)・・ドライブ・マイ・カー(日本) ・・・12/23・・・・・・・・・2,287・・・・・・・49,386・・・・・・・・・・466 ・・・・・・・41
4(新)・・一秒間 - One Second - ・・・・・・1/27・・・・・・・・・1,327・・・・・・・・3,348・・・・・・・・・・・29・・・・・・・・42
5(新)・・私のローソク革命(韓国) ・・・・・・2/10・・・・・・・・・・・995・・・・・・・・・・995・・・・・・・・・・・・9・・・・・・・・・2

 4・5位の2作品が新登場です。
 4位「一秒間 - One Second -」は中国のドラマ。冒頭に記したように張芸謀[チャン・イーモウ]監督の最新作です。・・・と言っても2019年2月の第69回ベルリン国際映画祭では「技術的な問題」を理由に上映中止となって話題になり、さらに翌20年11月の第33回中国電影金鶏奨でも上映中止。(しかしその金鶏奨授賞式の前日に中国内でフツーに劇場公開されてます。) どうも、文化大革命時期が背景になっているため中国政府の介入があったのでは?という見方もあるそうですが・・・。
 物語の舞台は1970年代半ばの中国の西北部です。66年に始まった文化大革命がまだ続いていました。主人公は張九声[チャン・ジュシェン](張毅)という男。彼は長い間別れていた娘が劇映画の前に映されるニュースに登場するというをことを知って農場から脱出します。延々と続く砂漠を通り抜け、巡回撮影の場所に着くと映画は終わっていてフィルムの運搬係が食堂で飯を食べている・・・と見ると、なぜか様子を窺っていた乞食みたいな少女(劉浩存)が6巻あるフィルムの1巻を盗んで逃げます。張九声は少女を捕まえフィルムを取り戻し、その間気づかずに運搬係がバイクで向かった次の上映地の村に向かいます。少女も彼の後について行きます。当時映画を観ることは人々にとっては大きな楽しみでした。その村でももちろん同様で、映写技師の范さん(范偉)も村人から厚い信頼を受けていました。そんな彼らの映画に対する思いと共に、張九声と少女のそれぞれの目的が明かされていく・・・のでしょうね? 韓国題は「원 세컨드」。日本公開は未定のようです。
 5位「私のローソク革命」(仮)は韓国のドキュメンタリー。原題は「나의 촛불(私のローソクの火)」ですが、英題「Candlelight Revolution」を訳して仮題としました。2016年秋~冬、ソウルで繰り広げられたローソクデモに世界が注目しました。その日々についてキム・ソンテ[金聖泰]、シム・サンジョン[沈相汀]、ユ・シミン[柳時敏]政治家の政治家、現在大統領候補のユン・ソンニョル[尹錫烈]、ジャーナリストのソン・ソッキ[孫石熙]、最近の映画では「茲山魚譜 チャサンオボ」や「特送」にも出演している俳優で社会運動家でもあるキム・ウィソン[金義聖]等々、政治家その他の人々が秘話を証言します。不正腐敗と国政壟断に対して熱い気持ちと共に街に飛び出し、1,600万もの韓国の市民が声を上げて世の中を変えたその時を憶えています・・・。
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