ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [12月21日(金)~12月23日(日)]

2018-12-25 23:08:58 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸先週に続き、<映画祭 朝鮮半島と私たち>で初めて観た作品について。
 「血と骨」は、予備知識なしで観たら相当衝撃を受けたかも。私ヌルボ、梁石日の原作小説ではなく、そのモトとなった自伝「修羅に生きる」(講談社現代新書)を読んだのが1995年だったか・・・。その印象が強烈だった分映画の感動は減殺されたものの、物語の舞台の大阪市東成区の在日朝鮮人の集住地域の往時のようすが再現されていたりして興味深く観ました。家並みの前の通りに<大成通一丁目>という停車場があるのは、後で調べたら1969年に廃されたに市電の停車場だったのですね。
 金大中事件を題材とした「KT」について、作品紹介担当の学生さんが「この事件のことを初めて知りました」と言っていたのは、生まれる25年ほどの前の、おそらく高校までの授業でもたぶん習ってないことなので無理もないというべきか・・・。私ヌルボ、これも映画は初めてですが、原作の中薗英助「拉致 知られざる金大中事件」(現代教養文庫)でずいぶん前に読みました。<ドキュメンタリーノベル>となっているのは、不明なところは想像で補っているということだったか? しかし、映画を観ると「ホンマカイナ?」という箇所がわんさか。上映終了後脚本の荒井晴彦さん(←「止められるか、俺たちを」で藤原季節が演じていた)のトークがありましたが、本作では「脚本があまり反映されなかった」というのはかなり知られた話のようで、「ずっと(阪本順治監督と)ケンカしてましたよ」とか「脚本家やめようかとも思った(笑)」等々語っていました。「諜報機関がピストルを使うわけないだろ」とも。(ごもっとも。) もちろん、荒井さんも政治的素材を娯楽作品に仕上げるに際して架空の女性を登場させたりしているわけで、その時点ですでに史実からは相当離れているので、この映画を観て「真相はこうだったのですね」と言ったという韓国人のような大誤解はしないよう要注意です。
 あ、細かいところですが、韓国の一等書記官役(?)だかでピカ一悪役俳優パク・ソンウンが出演してましたね。
 上記2作品とも観てよかったですが、「原作vs映画は、8割以上は原作の勝ち」というヌルボ仮説はやっぱり正しいと思いました。
▸「血と骨」でちょっと記憶に残ったのは音楽でした。控え目ながらも確かな存在感がある・・・。後で岩代太郎さんの作曲ということを知りました。(やっぱり、ね。) たまたま図書館に「映画音楽 太郎主義」という彼の著書があったので読んでみると、実におもしろい! 映画音楽の歴史的推移(近年は昔ほど音楽が<主張>しなくなったとか)、映画製作過程のどの時点で音楽を入れるかとか、セリフと音楽が重なることを避ける(久石譲など)か否かとか、監督による違いとか、とくに今世紀になってからの電子機器の発達に伴う映画音楽作りの変貌とか、国による違いとか実に多岐にわたって記されています。で、前の約3分の1は、ご自身の子供時代から芸大を経てプロの作曲家になるまでの歩み。実に盛沢山で、映画と音楽に関心のある方にはぜひオススメの本です。そういえば、今年1月に観たドキュメンタリー「すばらしき映画音楽たち」も岩代さんが尊敬するジョン・ウィリアムズをはじめ現代の代表的な映画音楽の作曲家を撮った大変興味深いものでした。

▸箱根の強羅なんて何十年ぶりだったかな?・・・というのは先週の宿泊忘年会のこと。帰ってからも二日酔い等で映画鑑賞はムリ。昨日は所用で神田に行った帰り、日本橋まで歩いて初めてTOHOシネマズ日本橋まで行ったものの、目当ての「アリー/ スター誕生」は40分前でほとんど残席ナシ。日を替えてやっぱりIMAXで観ようということにしました。
 ただ、明後日から徳島に帰省の予定だし、今年中に観るのはキツイかも。他にも今年中に観たい映画はいくつかあるし・・・。
 なお、今年はこれまで観た映画は計96本。昨年は101本だったからほぼ同じ。あと6日間でどこまでいくか?

         ★★★ NAVERの人気順位(12月25日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(-) イツァーク  9.62(8)
②(1) 僕のワンダフル・ライフ  9.54(1,261)
③(2) ボヘミアン・ラプソディ  9.51(33,040)
④(3) ハンター・キラー  9.47(1,809)
⑤(4) ポーランドに行った子供たち(韓国)  9.42(473)
⑥(-) 劇場版ポケットモンスター みんなの物語(日本)  9.35(262)
⑦(-) 大人になれば(韓国)  9.32(44)
⑧(6) 人生フルーツ(日本)  9.31(275)
⑨(-) 家の時間(韓国)  9.20(46)
⑩(-) スパイダーマン:スパイダーバース  9.18(3,033)

 ①⑥⑦の3作品が新登場です。
 ①「イツァーク」(仮)は、グラミー15回受賞に輝く現代の代表的なヴァイオリニスト、イツァーク・パールマンの足跡と彼の音楽についての、アメリカ・イスラエル合作のドキュメンタリー。イスラエル生まれですが、両親はポーランドから移住したユダヤ系の理髪師とのこと。(あの「シンドラーのリスト」の主題曲を演奏したのもそんな経緯からか?) 彼が障碍者であることは広く知られています。3歳の頃ラジオでヴァイオリンの演奏を聴いて感動し、間もなくレッスンを受けるようになったのですが、4歳の時ポリオに罹って、下半身が利かなくなってしまったのです。しかし彼はくじけずヴァイオリンを続け、イスラエルの小さな町から世界有数の舞台に上がるまでになりました。そんな身体的限界まで克服したイツァーク・パールマンの音楽の贈り物が盛り込まれたドキュメンタリーです。韓国題は「이차크의 행복한 바이올린(イツァークの幸福なヴァイオリン)」(あ、韓国語だと<イチャク>か)。私ヌルボ、ぜひ観たいのですが日本公開は未定のようです。
 ⑥「劇場版ポケットモンスター みんなの物語」、日本から5ヵ月遅れで韓国でも公開。私ヌルボは観てないし語る資格もありませんが、今作も韓国で好評。けっこうなことでございます。韓国題は「극장판 포켓몬스터 모두의 이야기」。
 ⑦「大人になれば」は、韓国のドキュメンタリー。チャン・ヘヨンは、18年ぶりに再会した1つ年下の妹チャン・ヘジョンと共に暮らすことを決意しました。発育障害のあるヘジョンは、13歳の時に障害者施設に送られ、人里離れた山の頂上の建物でそれまで会ったことのない人たちと18年の間、家族と離れて暮らしてきました。ヘヨンはヘジョンを施設から引き取り、一緒に暮らすことにします。ヘヨンは、自分の人生では想像もしなかったことが妹の生活の中ではふつうに起こっていたことに気づきます。「ヘジョン、なんで私の目を見ないの?」。「お姉さんはなんで毎日私にやらせるの?」。すべてのことが急にヘヨンの決心に合わせて変わるものではありません。ちゃんとやっていけると思っていたのに、いざ2人暮らしを始めるとキツい瞬間もしばしば。妹と一緒に暮らしていくとすると自分の人生は完全に新しく始めなければならないと思うと・・・。2人は結局は離れて生きなければならない運命なのでしょうか? 原題は「어른이 되면」です。

     【記者・評論家による順位】

①(2) ROMA/ローマ  8.80(5)
②(4) エクス・リブリス ニューヨーク公共図書館  8.50(2)
③(6) スパイダーマン:スパイダーバース  8.25(8)
④(7) ファントム・スレッド  8.22(9)
⑤(10) 天堂の夜と霧(韓国)  8.00(2)
⑥(-) 希望の灯り  7.75(4)
⑦(-) マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白(韓・仏)  7.60(5)
⑦(-) タリーと私の秘密の時間  7.60(5)
⑨(-) アリー/ スター誕生  7.43(7)
⑩(-) カメラを止めるな!(日本)  7.14(7)

 今回の新登場はありません。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績12月21日(金)~12月23日(日) ★★★

         海のヒーローを主人公にしたアクション「アクアマン」が1位に

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・アクアマン ・・・・・・・・・・・・・・・・12/19・・・・・・・・・・966,257 ・・・・・・1,250,078・・・・・・・11,266・・・・・・1,272
2(14)・・麻薬王(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・12/19・・・・・・・・・・755,696 ・・・・・・1,210,337・・・・・・・10,638・・・・・・1,286
3(6)・・スウィング・キッズ(韓国) ・・・・・12/19 ・・・・・・・・・371,484・・・・・・・・661,228・・・・・・・・5,480 ・・・・・・・983
4(1)・・ボヘミアン・ラプソディ ・・・・・・10/31・・・・・・・・・・305,753 ・・・・・・8,502,077・・・・・・・73,830 ・・・・・・・747
5(27)・・グリンチ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/19・・・・・・・・・・162,931・・・・・・・・199,387・・・・・・・・1,508 ・・・・・・・724
6(新)・・映画クレヨンしんちゃん ・・・・12/19・・・・・・・・・・100,844・・・・・・・・112,539・・・・・・・・・・882・・・・・・・489
       爆盛!カンフーボーイズ ~拉麺大乱~(日本)
7(35)・・劇場版ポケットモンスター・・・12/19・・・・・・・・・・・74,513・・・・・・・・・87,077 ・・・・・・・・・677・・・・・・・493
       みんなの物語(日本)
8(4)・・スパイダーマン・・・・・・・・・・・・・・12/12・・・・・・・・・・・63,604・・・・・・・・541,802・・・・・・・・4,485・・・・・・・287
       :スパイダーバース
9(2)・・国家不渡りの日(韓国) ・・・・・・・・11/28・・・・・・・・・・・37,566 ・・・・・・3,723,373・・・・・・・30,653 ・・・・・・・285
10(5)・・くるみ割り人形と秘密の王国・・12/06・・・・・・・・・・27,432・・・・・・・・471,625・・・・・・・・3,826 ・・・・・・・142
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 新登場は1・2・5・6・7位の5作品です。
 1位「アクアマン」は、「ジャスティス・リーグ」にも登場したアクアマンを主人公にしたアメリカのSFアクション。あらゆる海の生物を操り、たくましい身体でワイルドに戦うアクアマンの冒険を描いた作品。アクアマンことアーサー・カリー(ジェイソン・モモア)は海底王国アトランティスの末裔でしたが、人間として育てられます。しかしある日、彼は未知の文明を持ったアトランティス帝国が人類の支配を狙っていることを知ります。アクアマンは地上と海どちらの側につくか葛藤しますが・・・。韓国題は「아쿠아맨」。日本公開は来年2月8日です。
 2位「麻薬王」は、韓国のドラマ。麻薬も輸出すれば愛国だと言われていた1970年代の韓国。下級の密輸業者だったイ・ドゥサム(ソン・ガンホ)は、偶然に麻薬の密輸に加担することになり、麻薬の製造と流通業に本能的に目覚め、この世界に飛び込みます。鋭い眼力と速い危機対処能力、持ち前の器用さで一気に麻薬業界を掌握したイ・ドゥサムに、事業の手腕が優れたロビイストのキム・ジョンア(ペ・ドゥナ)が合流します。彼が作った麻薬には<メイドインコリア>というブランドが付けられます。ついには、イ・ドゥサムは韓国を越えてアジアに勢力を拡大し、白色の黄金の時代を開くことになります。一方、麻薬によって世界はだんだん不安になり始めると、疾走するドゥサムを注視する人、キム・イング(チョ・ジョンソク)が動き出します・・・。原題は「마약왕」です。
 5位「グリンチ」は、日本でも12月14日公開されているので、内容紹介は省略します。韓国題は「그린치」です。
 6位「映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ ~拉麺大乱~」については、ポケモン同様私ヌルボに語る資格全然ナシ、なのでコメントは省略します。韓国題は「극장판 짱구는 못말려: 아뵤! 쿵후 보이즈 ~라면 대란~」です。<爆盛!>部分が<아뵤!(アビョー!>となってますが、カンフーの掛け声かな?
 7位「劇場版ポケットモンスター みんなの物語」については上述しました。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(4)・・人生フルーツ(日本) ・・・・・・・・・・・・12/06 ・・・・・・・・・・4,652・・・・・・・・・22,463 ・・・・・・・・・・171 ・・・・・・・・・46
2(3)・・ゴッホ~最期の手紙~・・・・・・・・・・12/13 ・・・・・・・・・・2,916・・・・・・・・・15,119 ・・・・・・・・・・130 ・・・・・・・・・37
3(38)・・メアリーの総て・・・・・・・・・・・・・・・12/20 ・・・・・・・・・・2,428・・・・・・・・・・4,178 ・・・・・・・・・・・37 ・・・・・・・・・37
4(22)・・ザ・パーティ・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/20 ・・・・・・・・・・2,062・・・・・・・・・・3,237 ・・・・・・・・・・・28 ・・・・・・・・・30
5(35)・・イツァーク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/20 ・・・・・・・・・・1,867・・・・・・・・・・3,199 ・・・・・・・・・・・25 ・・・・・・・・・25

 3・4・5位の3作品が新登場です。
 3位「メアリーの総て」は、日本でも12月15日公開されているので、説明省略。韓国題は「메리 셸리: 프랑켄슈타인의 탄생(メアリー・シェリー:フランケンシュタインの誕生)」です。
 4位「ザ・パーティ」(仮)は、イギリスのコメディ&ドラマ。保健福祉部長官(日本の厚生労働大臣に相当)任命を祝うために友人を招待したジャネット(クリスティン・スコット・トーマス)。なぜか無気力に見える彼女の夫ビル(ティモシー・スポール)。シニシストのエイプリル(パトリシア・クラークソン)と決別直前のボーイフレンド、ゴフリード(ブルーノ・ガンツ)、そしてフェミニストのマーサと恋人のジニー、銀行家のトムまで7人のゲストたちが71分間に及ぶ暴露戦を繰り広げます。予測不可能ディナーパーティーの結末ははたして・・・。なお、この7人の話の中だけに出てくる8人目の女性(美魔女?)マリアンがキーパースンなのかな? コメディというよりも、かなりブラックな風味があるようです。韓国題は「더 파티」。日本公開は未定のようです。
 5位「イツァーク」については上述しました。