ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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問題を解く楽しさがぜ~んぜんない2015センター試験「韓国語」は、ただむずかしいだけだった・・・。

2015-01-19 23:45:30 | 韓国語あれこれ
 私ヌルボ、2010年1月から毎年センター試験の韓国語の問題に挑戦してきました。自分の韓国語学習及び問題分析のためです。
 また、それらについて毎年ブログ記事を書いてきました。あ、昨年は載せなかったか。
 一応、各記事は次の通りです。内容は見出しでおよそ見当がつく、かな?

・2010年→<センター試験韓国語の平均点148点。 難易度はかなり高いが・・・>
・2011年→<修能の「日本語」-正解がわからないぞ~ センター試験の「韓国語」-むずかしいぞ~>
・2012年[その1]→<センター試験の韓国語の難易度について - 難しいのか? 簡単なのか? これは難しいぞ・・・>
・2012年[その2]→<センター試験の韓国語の難易度について[2] - 韓国人が苦手な問題も出題されているとか・・・>
・2013年[その1]→<やっぱりゼロから始めた高校生にはむずかしい問題レベル>
・2013年[その2]→<発音問題は重箱の隅から2題だけ>

 そして今回もやってみました。問題&正答は→コチラからダウンロードできます。
 出題傾向や難易度はこれまでと大きくは変わらないのですが、年々むずかしくなる傾向はまだ続いているようです。
 ヌルボの韓国語レベルについては、以前次のように書きました。
 「正直に申しますと、韓国語能力試験の方は5級(最低1級から最高6級まである)の真ん中くらい、ハングル検定試験(最低5級から最高1級まで)は準2級合格という、つまり<上級の下>といった程度。」 ←これが6年ほど前(?)で、以後少しはレベルアップはしているはずですが最高レベルはまだまだといったところ。一応韓国語の本は(わからない単語はあっても)読めるし、TVニュース等の内容はほぼわかります。
 で、過去数年間のセンター試験韓国語の得点は大体160点くらい。すなわち正答率8割といったところでした。ところが今回は7割がやっとでした。
 どうも近年は韓国語能力試験だと3級、ハングル検定だと4級程度の中級の下レベル」が自信を持って答えられるような問題がほとんどないように思います。

 しかし、私ヌルボが今回言いたいのは、問題の難易度もさることながら、問題を解くおもしろさについてです。
 タイトルには「問題を解く楽しさがぜ~んぜんない」と書きましたが、それどころか「怒りさえ覚えた」というのがホントのところ。(笑)
 べつに出来がよくなかったから言うわけではありません。パズルは簡単すぎてもつまらないし、逆に難解でもおもしろいパズルはいろいろあります。それと同じ、かな?
 たとえば、韓国版センター試験というべき修能試験(大学修学能力試験)の第二外国語中の日本語の問題と比べてみればよくわかります。
2015年1月・センター試験「韓国語」より2014年11月[韓国]修能試験「日本語」より

 このように見映えが全然違います。センター試験の方はめんどうそうな長文だけをピックアップしたわけではありません。大きい問題が全5問あって、その第4問と第5問がこのような長文問題です。修能試験の方はこんな長文問題は全然ありません。
 一見してわかるのは修能試験の方のイラストの多さ。センター試験には皆無です。そのイラストを2つ紹介します。
     

 この修能試験「日本語」の問題については、→コチラの過去記事で少し紹介しました。
 そこでは、出題傾向を次のようにまとめてみました。
[A]会話が多い。・・・上のイラスト(左)のような買い物の場面の他、日常の挨拶や医者との会話等、内容もさまざまです。
[B]韓国人が間違いやすい発音は必出。・・・母音の長短、清音と濁音の区別等で、毎年必ず出題されています。
[C]日本人の生活様式や、日本の伝統文化を説明・紹介するような問題文が多い。・・・これも毎年必ず出題されています。これまでも「寿司」「温泉」「こたつ」「タクシーの乗り方」等が取り上げられました。2015年度は「花見」と「駅弁」の問題です。
[D]日本の街などで見かける掲示物、広報等に関する問題が出る。・・・上のイラスト(右)の銭湯の注意書きのような日本の生活・社会に関係するもの。「のんだら のらない」というポスターもありました。前年は地下鉄の「ひらくドアにご注意!」という貼り紙についての出題でした。
[E]日本語会話というよりも、日本人の会話の特色についての問題文がある。・・・「日本人はよくあいづちをうつ」という問題文が2012年度にありました。(→コチラ。) 今回は「あいまいなことば」についてです。
 そして、これら[A]~[E]の他に、日本のセンター試験や多くの語学検定試験と比較して特筆すべき特色は、昨年にも書きましたが「小説やエッセイ等の読解問題は皆無!」ということ。
 つまりは実用性を重視しているということです。日常会話だけでなく、日本でよく見かける掲示物や、社会的なマナー等、日本への旅行や、仕事・留学等による日本での生活に役立つような内容になっています。

 このような修能試験の日本語と正反対なのがセンター試験の韓国語。
 言語を通じて韓国の生活・社会・文化を知ろうという視点が全然ありません。中級レベルの韓国語学習者でも初めて見るような単語はいくつもある一方、日常的によく使われるような言い回しは少ないようです。
 長文問題の内容も、第4問はある日本人が韓国語に興味を持って学習するようになったきっかけについて。高校時代に来校した釜山の高校生に歓迎の言葉を述べたが通じなかったというものです。しかし、私ヌルボとしては韓国人が日本語に興味を持って学習するようになったきっかけの方が知りたいんじゃないかな?と思います。
 そして第5問は睡眠について。調査によると日本の中高生の半数以上が5~7時間寝ているとか早起きは健康に良いとか・・・という話のどこがおもしろいというのかっ??
 それから、第3問は友人同士3人の会話文といっても、これまたほとんど長文読解問題。あえて全文載せます。


 友人同士3人と、彼らの話に出てくる1人の計4人の間の関係は日本語に訳してもややこしくパズルみたいで、文章自体の難易度はそれほどでもないのに、読解力以外の能力も問うているみたい。おまけに4人の名前がジフン、ジョンヒ、ジホ、ジョンホとは! わざと紛らわしい名前をそろえたとしか思えません!

 1月6日の<ライブドアニュース>に「センター試験の韓国語が意外に難しいと韓国ネットで話題」という見出しで韓国の掲示板を紹介した記事がありました。(→コチラ。) 「1番の問題から早速間違えた」「こんなビミョーな違いをどうやって勉強するっていうんだ?」「韓国の大学入試の日本語はもうちょっと問題に面白みがある」といった感想はヌルボとしては「さもありなん」です。

 以上いろいろ文句を並べましたが、日本と韓国では事情が違うことは承知しています。
 修能試験は受験者総数約60万人中「日本語」を8千人近くが受験するのに対して、センター試験は受験者総数50数万人中「韓国語」は200人足らずの「精鋭」しか受験しません。
 修能試験の「日本語」が英語とは別枠の第2外国語中の1つであるのに対し、センター試験の「韓国語」は英語と同じ外国語の枠に入っています。
 そして、センター試験の「韓国語」は一部で(?)「在日が有利ではないか」との声があったりして、作問者の側はなんとか平均点を低くしようと努めてきたようで、過去記事で書いたように韓国人がむしろ間違いやすい問題を作ったりもしたようです。
 こんなことから、上記のようなおもしろくない、ただむずかしいだけの問題になったともいえるかもしれません。もっとも、昔ヌルボが学校で受けた英語の授業のほとんども英語圏諸国への興味をかきたてるようなものでもありませんでしたが・・・。(この頃はもっと楽しい授業・解くのが楽しい試験問題になってるのかな?)