ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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閏(うるう)9月、日本では「171年ぶり」なのに韓国の報道では「182年ぶり」。この違いのわけは?

2014-11-08 10:54:50 | 韓国・朝鮮関係の知識教養(歴史・地理・社会等)
 昨日(11月7日)の夜、桜木町駅近くで満月を見て5日夜のTVニュースを思い出しました。
 今年は旧暦9月の後に閏9月が入っているので、旧暦8月15日の「十五夜(中秋の名月)」と旧暦9月13日の「十三夜」に続いて、閏9月13日の「後の十三夜」まで見られるということで、これは1843年(天保14年)以来実に171年ぶりなのだそうです。そしてその閏9月13日というのが11月5日だったというわけです。(→コチラ参照。)
 5日の夜も月を見たものの、ニュースを見る前だったのでとくに感懐はナシでしたが・・・。

 ところで、ふと浮かんだ疑問がひとつ。
 旧暦は日本だけでなく、中国・韓国・台湾・ベトナム等東アジアで今も広く用いられ、旧正月などはそれらの国々の方が盛大に祝われています。
 では、旧暦の決め方は各国共通なのか? とするとどこの誰(どんな組織)が決定権を持っているのか? 共通でないとすると、国によって旧正月の日付が異なることもあるということか?
 ・・・という疑問です。
 これをその場に居合わせた人たちに話すと、「昔から天文は権力者の司るところだから・・・」とか「やっぱり本家の中国が・・・」という流れで、次のような会話がなされている可能性もあるのではという話まで出されました。(って、言ったのは私ヌルボなんですけど。)

 習近平「明年的春节,让我们决定在这一天。」(来年の春節はこの日にしましょ。)
 朴槿恵「예, 알겠습니다. 일본에는 비밀이에요.」(はい、わかりました。日本には内緒ですよ。)

 そこでハンパではない記憶力の持ち主のF氏、「「天地明察」によると・・・」と語りだしたのは渋川春海の貞享暦について。つまりは江戸時代の日本独自の暦法や、日本・中国の経度の違いによる誤差等々のこと。
 帰宅後ウィキベディアの旧暦・旧正月の項目等々で調べてみてわかったことは次の通りです。

・今の日本の旧暦は、1844年に寛政暦から改暦された天保暦である。しかし正式な暦ではないため国立天文台をはじめ公的機関では管理していない。(海上保安庁海洋情報部では2010年まで新暦旧暦の対照表を公表していた。) 
・中国では1644年時憲暦が定められ、清(台湾・モンゴルを含む)と李氏朝鮮で用いられた。春節の日取り決定の関係上現在も公的管理が行われている。
・モンゴルでは現在時憲暦はほとんど用いられず、インドが起源の時輪暦を修正した暦が民間で広く使われている。
・ベトナムの旧暦はベトナム標準時を使うため、日付は中国等と異なることがある。
・したがって、日本・中国(&台湾・韓国)・ベトナム・モンゴルでは旧正月の日付が異なる年がある。


 ちなみに韓国語では閏月のことを「윤달(ユンダル)」といいます。(※閏年は「윤년」と漢字の音読そのままで、閏月も「윤월」とも言いますがふつうは「윤달」。)
 で、今回の閏9月というのは韓国等でも同じようにあるのかな、と思ってこれも調べてみました。
 すると、韓国でもこの閏9月(윤 9월)のことがニュースになっていました。→「東亜日報」(韓国語)
 しかしその見出しは182년 만의 윤 9월, 윤달의 ‘오해와 진실’(182年ぶりの閏9月、閏月の「誤解と真実」)」となっていて、日本の報道の171年とは数字が違います。これは上述のような中国と日本の暦法の違いによるものと思われます。
 ※「東亜日報」の記事内容は閏月に関わる結婚や移葬等の民俗についてのものですが、ほぼ同じ内容の「世界日報」のコラム(日本語)がありました。→コチラ

 やはりこのようなところでも、東アジア各国の中国との地理的距離だけでなく、政治的・文化的距離といったものが表われていることがわかったという次第です。
コメント
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