ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績 [5月30日(金)~6月1日(日)]

2014-06-03 23:23:57 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 主演のオスカー・アイザックは歌も雰囲気もよかったし、キャリー・マリガンはやっぱり魅力的だったし、何よりも60年代のフォークのテイストが懐かしく思い出されたし・・・というのは昨日観た「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」のこと。しかし、今回はっきり認識したのは、「自分にはコーエン兄弟は合わない」ということ。思えば最初に観た「バートン・フィンク」からそうだったなー。この記事の<DAUM映画 専門家による順位>ではこのところ1位を続けているし、このランキングと自分の好みはわりと共通しているんですけどねー・・・。

 もう1つ。ドイツ映画「おじいちゃんの里帰り」はドイツへ移住したトルコ人一家の家族史で、心和む描き方をしているが、背景を考えるといろいろ深い。ラストの方で「労働力を呼んだが、来たのは人間だった」という印象的な言葉が出てきます。いくつものブログ記事でも書きとめられているこの言葉は、スイス人作家のマックス・フリッシュによるものとのことです。(「労働力」同様、「兵力」なんかも人間なんだな、ふと思いました。)

 横浜シネマ・ジャック&ベティで6月7~13日「北朝鮮強制収容所に生まれて」上映。初日の上映(09:45〜11:30)後、脱北者の方のトーク[+コメンテーター:佐伯浩明さん(北朝鮮難民救援基金 副理事長)]があります。ぜひお越しください。
 同映画館では6月7~20日には「チスル」も上映されます。私ヌルボ、2度目観に行くつもりです。

 6月28日からスパイク・リー監督「オールド・ボーイ」公開。あのパク・チャヌク監督の同名韓国映画のリメイク。何がどう変わっているか、ちょっと楽しみ。

 韓国映画以外で楽しみな近日公開作は今週6日(金)からの「グランド・ブダペスト・ホテル」。あ、そういえば「アクト・オブ・キリング」まだ観てなかった!

 「朝鮮日報」掲載の「封切映画 ぴったり10字評」は5月23日以降は出ていません。

           ★★★ Daumの人気順位(6月3日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①賢い解法(韓国)  9.7(22)
②10分(韓国)  9.4(83)
③お父さんのEメール(韓国)  9.3(20)
④シザーハンズ  9.2(286)
⑤ミスター・ピーボディ&シャーマン  9.0(74)
⑥全民目撃  9.0(39)
⑦ハン・ゴンジュ(韓国)  8.9(267)
⑧最後まで行く(韓国)  8.8(450)
⑨ルパン三世 VS 名探偵コナン THE MOVIE(日本)  8.6(34)
⑩her/世界でひとつの彼女  8.7(178)

 ①⑥⑨の3作品が新登場です。
 ①「賢い解法」は、メディアの問題を取り上げた韓国のドキュメンタリー。今年2月国境なき記者団が発表した<2014年報道の自由指数>では韓国は2011年以来42位→44位→50位→57位と連続して落ち込んできています。
 (※日本は11位→12位→53位→59位で、この2年は韓国より下! 原発関係報道への不信と昨年12月の特定秘密保護法成立が下落の大きな理由。)
 韓国では、国家情報院のスパイ操作事件、北の無人機事件、最近ではセウォル号沈没事故等々でマスコミの報道姿勢が問題とされてきました。ジャーナリズムに対する不信が高まる中、事実の隠蔽や記事の捏造等が取沙汰されています。このドキュメンタリーは進歩陣営の立場から<朝中東>(朝鮮日報・中央日報・東亜日報)の3大保守紙をはじめとするマスコミ、政府、企業間の三角同盟の実体を解明し、未来に向けての解決策を模索する、というもののようです。原題は「슬기로운 해법」です。
 ⑥「全民目撃」(仮)は香港の人気俳優郭富城(アーロン・コック)が主演する中国の法廷サスペンス。「富二代」と呼ばれる富裕層の子女が殺人容疑で逮捕され、その父親と弁護士、検事が法廷で争ううちに意外な事実が明らかになる・・・。基本的にエンターテイメントですが、今の中国の社会問題を連想させる要素も垣間見られるそうです。これが2作目の非行(フェイ・シン)監督に対する評価は高く、注目されているようです。韓国題は「침묵의 목격자(沈黙の目撃者)」です。日本公開は未定のようです。これは観てみたいな。
 ⑨「ルパン三世 VS 名探偵コナン THE MOVIE」は日本では昨年12月公開。韓国題は「극장판 루팡 3세 VS 명탐정 코난」です。

     【専門家による順位】

①インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌  8.8(7)
②グランド・ブダペスト・ホテル  7.8(7)
③ハン・ゴンジュ(韓国)  7.3(6)
④X-MEN:フューチャー&パスト  7.1(6)
⑤her/世界でひとつの彼女  7.0(6)
⑥ブランカニエベス  7.0(3)
⑦バックコーラスの歌姫〈ディーバ〉たち  6.8(5)
⑧シャトルコック(韓国)  6.7(4)
⑨10分(韓国)  6.6(3)
⑩賢い解法(韓国)  6.5(4)
⑩最後まで行く(韓国)  6.5(4)

 新登場は⑧と、⑩の2作品の計4作品です。
 ⑧「シャトルコック」は女性監督イ・ユビンの長編デビュー作。再婚した両親が交通事故で亡くなり、保険金でなんとか生きてきた姉ウンジュ(コン・イェジ)、兄ミンジェ(イ・ジュスン)、弟ウンホ(キム・テヨン)の3人。しかしある日ウンジュ)が全財産の1億ウォンを持って姿を消してしまいます。ミンジェは動画サイトでウンジュに似た女性を見つけ、彼女を探そうとおんぼろ車に乗り、後をたどりますが、ウンホもこっそり後部座席に乗っていました。ソウルを出発した彼らは、新津、瑞山、全州、そして最終目的地の南海へ。はたして彼らは姉と会えるのか・・・? 原題は「셔틀콕」です。
 ⑩「賢い解法」は前述しました。
 ⑩「最後まで行く」は韓国のアクション。母親の葬式の日、急な連絡を受けて警察署へと向かった刑事コ・ゴンス(イ・ソンギュ)。妻の離婚通報等々も重なってストレス爆発直前のゴンスはなんと事故って人を轢き殺してしまいます。後戻りできない状況で彼は死体を母親の棺の中に死体を隠します。警察で行方不明とひき逃げ事件の捜査が開始されると、ゴンスは隠蔽に努めます。そんなある日、事件のすべてを知っている正体不明の目撃者バク・チャンミン(チョ•ジヌン)が登場し、目的を隠したままゴンスを脅迫します。絶体絶命に陥った刑事の最後の反撃とは!? 原題は「끝까지 간다」です。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[5月30日(金)~6月1日(日)] ★★★

         「X-MEN:フューチャー&パスト」が2週連続トップ。

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・X-MEN:フューチャー&パスト・・5/22・・・・・・・・・・・・834,343 ・・・・・・・3,105,216 ・・・・・・・25,257・・・・・・・・834
2(14)・・最後まで行く(韓国)・・・・・・・・・・5/29・・・・・・・・・・・・538,396・・・・・・・・・644,566 ・・・・・・・・5,105・・・・・・・・645
3(新)・・マレフィセント ・・・・・・・・・・・・・・・5/29・・・・・・・・・・・・431,861・・・・・・・・・488,853 ・・・・・・・・3,884・・・・・・・・554
4(新)・・オキュラス・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/29・・・・・・・・・・・・136,204・・・・・・・・・163,770 ・・・・・・・・1,259・・・・・・・・336
5(2)・・人間中毒(韓国)・・・・・・・・・・・・・・5/14 ・・・・・・・・・・・・・91,056・・・・・・・1,375,854 ・・・・・・・10,807・・・・・・・・372
6(49)・・ルパン三世 VS 名探偵コナン・・5/29・・・・・・・・・・・・88,932・・・・・・・・・・94,587 ・・・・・・・・・・666・・・・・・・・327
            THE MOVIE(日本)
7(8)・・her/世界でひとつの彼女 ・・・・5/22・・・・・・・・・・・・・47,423・・・・・・・・・147,815 ・・・・・・・・1,201・・・・・・・・142
8(3)・・標的(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/30・・・・・・・・・・・・・13,261・・・・・・・2,836,927 ・・・・・・・22,223・・・・・・・・172
9(4)・・トランセンデンス・・・・・・・・・・・・・・5/14・・・・・・・・・・・・・・8,871・・・・・・・・・689,930 ・・・・・・・・5,434・・・・・・・・105
10(6)・・逆鱗(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・4/30 ・・・・・・・・・・・・・8,804 ・・・・・・・3,839,326 ・・・・・・・29,820・・・・・・・・115
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回も「X-MEN:フューチャー&パスト」がトップで、2・3位は健闘といえる数字かどうか・・・。以下はパッとせず。
 今回の新登場は2・3・4・6位の4作品です。
 2位「最後まで行く」は、前述しました。
 3位「マレフィセント」は、ディズニーアニメ「眠れる森の美女」の続編、といってもアニメではなく実写版。オーロラ姫に呪いをかける邪悪な妖精マレフィセントにフォーカスを当てたところがミソか。彼女の知られざる過去と秘密に迫る!ということです。韓国題は「말레피센트」。日本公開は7月5日です。
 4位「オキュラス」はアメリカの心理ホラー。両親と幸せに暮らしていた姉ケイリー(13歳)と弟ティム(10歳)の人生は、父親が骨董の鏡を手に入れてから大きく狂わされます。鏡のある書斎に閉じこもりがちになる父は次第に家族と疎遠になり、夫の浮気を疑う母は精神を病んでいく。そして壮絶な事件が・・・。11年後、殺人の罪で施設に入っていたティムが退所を許されると、ケイリーは「あの鏡」を入手します。そして事件が鏡のせいで起きたことを証明し、弟の罪を晴らそうと、空き家となった実家に鏡を持ち込むのですが・・・。韓国題は「오큘러스」。日本公開は未定です。
 6位「ルパン三世 VS 名探偵コナン THE MOVIE」は前述の通りです。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・her/世界でひとつの彼女 ・・・・・・・・・5/22・・・・・・・・・・・・・47,423・・・・・・・・・・・・・147,815・・・・・・・1,201・・・・・・・・142
2(2)・・ロスト・ボディ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/22・・・・・・・・・・・・・・3,242・・・・・・・・・・・・・・66,102・・・・・・・・・496・・・・・・・・・32
3(新)・・私のライムオレンジの木 ・・・・・・・・・・5/29・・・・・・・・・・・・・・2,609・・・・・・・・・・・・・・・3,602 ・・・・・・・・・・24・・・・・・・・・47
4(新)・・リスボンに誘われて ・・・・・・・・・・・・・・6/05・・・・・・・・・・・・・・2,173・・・・・・・・・・・・・・・3,359 ・・・・・・・・・・24・・・・・・・・・・9
5(新)・・冬の前に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/29・・・・・・・・・・・・・・2,042・・・・・・・・・・・・・・・3,158 ・・・・・・・・・・23・・・・・・・・・22

 3~5位の3作品が新登場です。あ、旧作の再上映が入ってないのは久しぶり。といってもその下を見ると6位「草原の輝き(초원의 빛)」、9位「掠奪された七人の花嫁(7인의 신부)」、10位「愛情物語(애심)」とずらっと出てきますが・・・。
 3位「私のライムオレンジの木」はブラジル映画。ブラジルの作家ヴァスコンセロスによる同名の児童文学の名作が原作。英題は「My Sweet Orange Tree」ですが、32ヵ国で刊行されたというこの本については、本ブログ過去記事(→コチラ)でも書いたように、韓国では「나의 라임 오렌지 나무(私のライムオレンジの木)」の書名でロングセラーになっていて、この映画のタイトルもそうなっています。(日本では1974年「わんぱく天使」という書名で角川文庫から刊行されています。) 主人公のゼゼは、貧しい工場労働者一家の5人中4番目の少年。話し相手のオレンジの木に自分の夢を語ったりしています。ある日車にイタズラをしたことをきっかけに知り合ったポルトゥガおじさんにいろんなことを教わるようになるのですが・・・。というわけで、<DAUM映画>のレビュー(→コチラ)を見ると、8人中3人は原作を読んだ人でした。「原作の感動そのまま!」等。→<海から始まる!?>の記事によると、児童向け映画を対象とした<ズリーン国際映画祭2013>で最高賞を獲得したそうです。また→コチラのブログ記事でよると、この映画のこととともに、この作品が演劇として日本で上演されたこと等が書かれています。ぜひ日本でも公開してほしいものです。
 4位「リスボンに誘われて」はスイス・ポルトガル合作のスリラー&ロマンスというか何というか・・・。全世界で発行部数400万部を突破したというスイスの作家パスカル・メルシエの小説「リスボンへの夜行列車」の映画化作品です。(日本でも早川書房から刊行。) 主人公はスイスの高校の古典文献学教師ライムント(ジェレミー・アイアンズ)。ある朝吊り橋から飛び降りようとする謎めいたポルトガル人女性を助けるのですが、彼女が残した本に挟まれていたリスボン行きの切符を届けようと駅へ走り、衝動的に夜行列車に飛び乗ってしまいます。車中で読んだ本に心を奪われた彼は、リスボンで作者のアマデウを訪ねるのですが・・・。原作本は「哲学小説」とのふれ込みですが、それでもこの発行部数だから娯楽性もあるのか? 図書館にもあるし、読んでみるかな? 韓国題は「리스본행 야간열차(リスボン行夜間列車)」。日本では今秋ル・シネマで公開、っていかにもだなー。
 5位「冬の前に」は、「ずっとあなたを愛してる」のフィリップ・クローデル監督作品。成功した神経外科医ポールと妻のルーシーは邸宅住まいの、人も羨む暮らしぶり。ところがある日から匿名でバラの花束が配達され始める。ポールはよく見かける若いルーかなと思ううちに彼女の不思議な魅力に陥ってゆき、夫婦生活で自分は本当の姿だったのだろうかとという疑問までも抱くに至った時、ルーの姿は突然消えてしまう・・・。機内でコレを観た人の感想(→コチラ)だと、「アナ雪」とか「(500日)のサマー」等7作の中で1番よかったそうです。しかし日本公開は未定のようです。韓国題はなぜか「차가운 장미(冷たいバラ)」。

            
     【韓国の漫画本「私のライムオレンジの木」(イ・ヒジェ作・画)】
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