ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績 [6月6日(金)~6月8日(日)]

2014-06-10 23:09:25 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 横浜シネマ・ジャック&ベティで6月7日「北朝鮮強制収容所に生まれて」は、先週記したように脱北者の方や北朝鮮難民救援基金副理事長佐伯浩明さんのトークがありました。朝早い上映なのに100人を超える盛況。脱北者の方は意外でしたが若い女性。こういう集会ではやはりマスクをかけています。「そうしなければならない危険性」があるということです。
 シネマ・ジャック&ベティでは6月20日まで「チスル」も上映。明日あたり行ってくるかな。

 「グランド・ブダペスト・ホテル」は期待通り! 映画の快楽だなー。<映画生活>のレビューでは「期待外れ」という人もいますが・・・。細かなところにユーモアが散りばめられているし、絵本のような色使いはなんとなく中島哲也監督を思い浮かべました。(6月27日公開の4年ぶりの新作「渇き」はどうなんだろうな?)
 懸案だった「アクト・オブ・キリング」もシネマ・ジャック&ベティでの最終日にやっと鑑賞。自分でも思いがけない感想は、彼らのようなごろつき人殺し集団もそれが権力により「正義」として保証が受けられれば正規軍の兵士とさして変わらない存在に思えてくるということ。つまり国家権力の保証がなければ軍隊は殺人集団となんら変わらないのです。1つ前の記事で韓国の顕忠日のことを書きましたが、比較してみるのも意味があるのでは・・・。

 「朝鮮日報」の「封切映画 ぴったり10字評」は6月6日久しぶりに掲載。8本分もあるゾ。(ハングル文も訳文も10字です。)

  
  [左] 「オール・ユー・ニード・イズ・キル」死中にこそ生が!賢い男。★★★☆ 「ハイヒール」包丁捨てれば星あげる。★★☆ 「コングレス」私の想像の主人は私だ。 ★★★☆ 「リスボンに誘われて」人生を変える魔法の力。★★★
  [右] 「泣く男」入場料が惜しくて泣く? ★★ 「Vara:祝福」神は最も低き所に臨む。★★★ 「レディアクション! 暴力映画」生きはいいがまだ未熟 ★★☆ 「シベリアン・エデュケーション」マルコビッチを観よう! ★★★
 ※「Vara:祝福」はブータン映画で、昨年の釜山映画祭の開幕作。「レディアクション! 暴力映画」は3作品によるオムニバスの韓国アクション。犯罪者のコミュニティーで育った少年の青春時代を描いたイタリア映画「シベリアン・エデュケーション」については→コチラ参照。

           ★★★ Daumの人気順位(6月10日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①窓から逃げた100歳老人  9.6(22)
②賢い解法(韓国)  9.6(27)
③お父さんのEメール(韓国)  9.3(20)
④10分(韓国)  9.2(89)
⑤シザーハンズ  9.2(287)
⑥ミスター・ピーボディ&シャーマン  9.0(74)
⑦ハン・ゴンジュ(韓国)  8.9(269)
⑧全民目撃  8.9(43)
⑨最後まで行く(韓国)  8.7(708)
⑩デタッチメント  8.6(80)

 新登場は①「窓から逃げた100歳老人」だけです。昨年来ヨーロッパ各国でベストセラーになっているスウェーデンの作家ヨナス・ヨナソンの同名デビュー作が原作です。日本語訳も今月末刊行予定とか。タイトルの通り100歳の老人が老人ホームから脱け出して・・・、というと、昨今よく報じられている認知症のおじいさんの徘徊問題かと思ってしまいます。しかし、この物語の主人公アランさんの場合は徘徊とはいっても全世界レベル。強盗から盗んだ金を持って逃げまくり、武装ギャングと戦ったり(!)しながらインドネシアに行っちゃったり・・・。こうした100歳老人の冒険とともに、10代の頃から爆弾作りの名人だった彼の現代史と深く関わってきた人生も描かれます。それも1930年代以降の約半世紀、直接彼が親交を結んだ(?)主な人物は、歴代の米国大統領、フランコ、スターリン、ヒトラー、金日成、毛沢東、ドゴール等々。またオッペンハイマーへの彼の助言がマンハッタン計画を成功に導いた(!)、ということは、つまり日本にも関わってくるというわけです。いやはや、キテレツなホラ話のようで、これはおもしろそう。韓国題は「창문넘어 도망친 100세 노인」。日本公開は11月だそうです。

     【専門家による順位】

①グランド・ブダペスト・ホテル  7.8(7)
②ハン・ゴンジュ(韓国)  7.3(6)
③X-MEN:フューチャー&パスト  7.1(7)
④her/世界でひとつの彼女  7.0(6)
⑤ブランカニエベス  7.0(3)
⑥バックコーラスの歌姫〈ディーバ〉たち  6.8(5)
⑦シャトルコック(韓国)  6.7(4)
⑧10分(韓国)  6.6(3)
⑨賢い解法(韓国)  6.5(4)
⑨最後まで行く(韓国)  6.5(4)
⑨スティルライフ  6.5(4)
⑨コングレス  6.5(4)

 今回の新登場は⑨「スティルライフ」と⑨「コングレス」の2作品です。
 ⑨「スティルライフ」は、昨年の第70回ヴェネチア映画祭オリゾンティ部門で最優秀監督賞(ウンベルト・パゾリーニ)を受賞、またレイキャビク国際映画祭では最優秀作品賞に輝いたイギリス・イタリア合作の作品です。ロンドン市内のギリシャ正教の埋葬所で働くジョンの仕事は、孤独のうちに亡くなった人の近親者や友人を探し、最良のお別れを設定すること。しかし、その仕事が廃止されることになります。ジョンの最後の仕事となったクライアントはアル中男のビリー。ジョンは彼の友人を探してイギリス中を周るのですが、その間ジョン自身も自らの人生を取り戻していきます・・・。韓国題は「스틸 라이프」。日本公開は年内、ってホント?
 ⑨「コングレス」は、イスラエル・ドイツ・ポーランド・フランス・ベルギー・ルクセンブルグ6ヵ国によるアニメ+実写作品。監督はあの「戦場でワルツを」のアリ・フォルマン監督。原作は「ソラリスの陽のもとに」等で知られるSF作家スタニスワフ・レムの「泰平ヨンの未来学会議」です。物語の始まりは、ハリウッド女優ロビン・ライト(本人役で出演)が大手製作スタジオから彼女の肉体情報をスキャンしてデジタル化し、20年間自由に使えるようにするというオファーと受けるというもの。彼女はそれを承諾し、巨額の報酬を受け取ります。そしてスタジオは自由に彼女を完璧に再現し、自由に映画を作っていきます。つまり、スタジオはこの技術で実際の役者なしで自由に映画を作れるようになったのです。そして20年後の世界。契約が切れたロビン・ライトが訪れた架空の街で次世代の映画についての会議(コングレス)が開かれます。そこで提案されたさらに新しい映画作りとは・・・。昔スキャンされた彼女の姿はこれからもスクリーン上で再生産され続けるようですが、そこにいる年老いたロビン・ライトに気付く人はいません。ちょっと不可思議な感じの予告編は→コチラ。・・・この作品、今年3月の<東京アニメワールドフェスティバル2014>で上映されていたのですね。一般公開は未定かな? 今月末の<フランス映画祭2014>で上映されるかとも思いましたが、ありませんでした。韓国題は「더 콩그레스」です。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[6月6日(金)~6月8日(日)] ★★★

         桜坂洋原作、トム・クルーズ主演の「オール・ユー・ニード・イズ・キル」が初登場でトップ。

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・オール・ユー・ニード・イズ・キル・・6/04・・・・・・・・・・1,267,235 ・・・・・・1,971,843 ・・・・・・・16,610・・・・・・・・801
2(2)・・最後まで行く(韓国)・・・・・・・・・・・5/29・・・・・・・・・・・・495,224・・・・・・・1,540,635 ・・・・・・・12,096・・・・・・・・542
3(1)・・X-MEN:フューチャー&パスト・・5/22・・・・・・・・・・・・436,315 ・・・・・・・3,956,975・・・・・・・31,864・・・・・・・・535
4(3)・・マレフィセント ・・・・・・・・・・・・・・・・5/29・・・・・・・・・・・・342,171・・・・・・・1,093,687 ・・・・・・・・8,469・・・・・・・・524
5(12)・・泣く男(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・6/04・・・・・・・・・・・・236,148・・・・・・・・・472,627 ・・・・・・・・3,899・・・・・・・・480
6(28)・・ハイヒール(韓国)・・・・・・・・・・・・6/04・・・・・・・・・・・・129,026・・・・・・・・・227,567 ・・・・・・・・1,863・・・・・・・・372
7(6)・・ルパン三世 VS 名探偵コナン・・5/29・・・・・・・・・・・・・74,368・・・・・・・・・207,860 ・・・・・・・・1,467・・・・・・・・259
            THE MOVIE(日本)
8(4)・・オキュラス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/29・・・・・・・・・・・・・41,249・・・・・・・・・257,034 ・・・・・・・・1,954・・・・・・・・150
9(7)・・her/世界でひとつの彼女 ・・・・5/22・・・・・・・・・・・・・31,897・・・・・・・・・216,201 ・・・・・・・・1,761・・・・・・・・・72
10(新)・・ブラッキーとカヌート ・・・・・・・・6/04・・・・・・・・・・・・・14,406 ・・・・・・・・・・24,412・・・・・・・・・・176・・・・・・・・111
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は1・5・6・10位の4作品です。
 1位「オール・ユー・ニード・イズ・キル」はトム・クルーズ主演のアクション。映画の原題は「Edge of Tomorrow」で韓国題も同じく「엣지 오브 투모로우」なのに、この日本題は何故?と思ったら、桜坂洋の同名SF小説がモトなんだそうで・・・。知らんかったワ。敵と戦う任務を課せられた主人公が、戦闘中、不可思議なタイムループの世界に囚われていく、というお話。日本公開は7月4日です。
 5位「泣く男」は「チャン・ドンゴンが9年ぶりのアクションに挑戦した話題作」というふれ込みなんですけどね。ターゲットを狙ったものの失敗をしてしまったコン(ジャン・ドンゴン)に、組織は再び命令を下す。コンは最後のターゲットを探しに韓国に向かう。一方、夫と娘との幸せな人生を一夜で失った上、痴呆になった母の世話をしながら暮らすファンドマネージャーの女モギョン(キム・ミニ)は、酒と薬に浸りつつ働いている。そんな彼女に、ある日娘の死に隠された真実を教えてやるという男が近づいてくる・・・。失うもののない男と、あとがない女性は、それぞれの崖っぷちで出会った・・・。原題は「우는 남자」です。
 6位「ハイヒール」も韓国のアクション。タイトルがハイヒールだから「10人の泥棒たち」のチョン・ジヒョンのようなおねーさんが登場するかと思ったらさにあらずなんですね。主人公の刑事ジウク(チャ・スンウォン)は警察はもちろん、巨大犯罪組織のなかでもその名が知られるほどの凄腕なのですが、なんと彼の心の中に女性になりたいという願望があって、その本当に望む姿で生きていこうとするのですが・・・。チャ・スンウォン、てなわけで女装して強力なアクション演技をするのか~。ふーむ・・・。原題は「하이힐」です。
 10位「ブラッキーとカヌート」(仮)はスペイン・イタリア・フランスの合作3Dアニメ。主人公ブラッキーは好奇心の強い黒羊。お洒落オオカミ、おとぼけクモ、ブルドッグ先生、カウボーイ子馬、まだら雌牛等々の友人たちと平和な動物農場で暮らしていますが、ちょっと危ない目標ができてしまいます。それは月世界旅行! しかしロケット探しの旅でブラッキーの前に立ちはだかった怪物ピンキー、って一体何だ? 韓国題は「마이 블랭키」。日本公開はなさそうだなー。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・her/世界でひとつの彼女 ・・・・・・・・・5/22・・・・・・・・・・・・・31,897・・・・・・・・・・・・・216,201・・・・・・・1,761・・・・・・・・・72
2(4)・・リスボンに誘われて ・・・・・・・・・・・・・・・6/05・・・・・・・・・・・・・11,090・・・・・・・・・・・・・・17,870 ・・・・・・・・142・・・・・・・・・48
3(5)・・冬の前に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/29・・・・・・・・・・・・・・1,645 ・・・・・・・・・・・・・・・7,147 ・・・・・・・・・54・・・・・・・・・20
4(新)・・スティルライフ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/05・・・・・・・・・・・・・・1,509・・・・・・・・・・・・・・・・2,231・・・・・・・・・・16・・・・・・・・・17
5(新)・・慕情・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1972-12-09 ・・・・・・・・・・・・・・・746 ・・・・・・・・・・・・・・10,788・・・・・・・・・・21・・・・・・・・・・1

 4・5位の2作品が新登場です。
 4位「スティルライフ」については上述しました。
 5位「慕情」はいうまでもなく旧作の再上映です。