漢字語のハングル表記にある程度なれてくると、ハングルを見るとその音に相当する漢字が浮かんできます。もちろん、「생」だとたいていは「生」でたまに「省・牲」がある程度ですが、「성」の場合は「性・成・城・誠・盛・姓・星・聖・声・省」といろいろ。
※省は省略の場合は생략反省の場合は반성
しかし、ハングル2字の漢字語だと、その組み合わせから妥当と思われる熟語に絞られ、それが複数あっても、大体は前後の文脈から自然に正しい言葉が導き出されます。
ところが、たまに間違った答えが思いついてしまって、場合によっては誤りに気づかないままになってしまうこともあります。
※「연패」が連覇かと思ったら連敗だったとか、間違いやすい同音異義の漢字語については、本ブログ2010年12月8日の記事<これは楽しい(?)韓国語クイズ>参照。
以前、韓国紙の広告ページに「금호」という大きな文字がありました。社名のようで、私ヌルボの頭に浮かんだ漢字は「金虎」。虎は韓国ではおなじみの動物だし、何の疑問も感じませんでした。さらに、「韓国人の場合はこういうハングルを見て金の虎とかイメージしないのかな?」などと考えたりもしていました。
韓国の企業グループに錦湖石油化学等の錦湖(금호)グループというのがあることを知ったのは、そのずっと後のことです。これを知らなければ、当然ずっと誤解したままでしたね。
※景福宮の東側には錦湖美術館もあります。
※同じ금호で「琴湖」という漢字の地名があることも知りました。
さて、今回このテーマで書いているのは、直接的には最近読んだ金英夏(キム・ヨンハ)の小説「光の帝国」中で誤訳を見つけたからです。
この翻訳では、漢江が漢河になっていたり、鍾路(チョンノ)が鐘路と表記されている上ジョンロとルビをつけていたり、歌手のキム・ゴンモの表記をキム・コンモとしたりと、首を傾げた箇所がいくつかあり、韓国国旗の太極旗を泰国旗(!)としている大ミスもありました。(泰国(태국)だとタイになっちゃいます。太極(태극)とはスペルも違うのに・・・。)
そして一見気づきにくい、次の場合も明らかな誤りです。(80年代半ば、主人公の通う延世大学のサークル室(政治経済研究室)の描写です。)
壁には、仮面をつけて踊る男を彫ったオ・ユン(呉潤)の木版画と、シン・ドンヨプ(申東曄)の詩『金剛』が並んでかけられていた。
申東曄(1930~69)は扶余出身の詩人です。
で、彼の有名な叙事詩「금강(クムガン)」は、漢字で書くと『金剛』ではなく『錦江』なんですね。
錦江は、本ブログ2009年12月4日の記事<韓国・朝鮮の川いろいろ>にも記しましたが、一昨年あたりから政治的な争点とされてきた4大河川のひとつです。
叙事詩「錦江」は、唐と組んだ新羅が百済・高句麗を亡ぼし、清と日本に膝を屈する李王朝に東学が反抗の兵を挙げ、・・・という歴史を描きつつ、アメリカに従属している現代韓国の状況を批判した民族主義的な民衆詩です。
「금강(クムガン)」というと、韓国・朝鮮に多少なりとも知識のある人なら金剛山(금강산)をまず連想するのが自然でしょう。だからかえってミスリードされてしまいがちです。翻訳者はその国についての幅広い知識が必要、といってもあらゆる分野について知っているわけではないのは当然。しかしこの場合は一応確かめてみればわかるレベルと思われますが、どうでしょうか?
※省は省略の場合は생략反省の場合は반성
しかし、ハングル2字の漢字語だと、その組み合わせから妥当と思われる熟語に絞られ、それが複数あっても、大体は前後の文脈から自然に正しい言葉が導き出されます。
ところが、たまに間違った答えが思いついてしまって、場合によっては誤りに気づかないままになってしまうこともあります。
※「연패」が連覇かと思ったら連敗だったとか、間違いやすい同音異義の漢字語については、本ブログ2010年12月8日の記事<これは楽しい(?)韓国語クイズ>参照。
以前、韓国紙の広告ページに「금호」という大きな文字がありました。社名のようで、私ヌルボの頭に浮かんだ漢字は「金虎」。虎は韓国ではおなじみの動物だし、何の疑問も感じませんでした。さらに、「韓国人の場合はこういうハングルを見て金の虎とかイメージしないのかな?」などと考えたりもしていました。
韓国の企業グループに錦湖石油化学等の錦湖(금호)グループというのがあることを知ったのは、そのずっと後のことです。これを知らなければ、当然ずっと誤解したままでしたね。
※景福宮の東側には錦湖美術館もあります。
※同じ금호で「琴湖」という漢字の地名があることも知りました。
さて、今回このテーマで書いているのは、直接的には最近読んだ金英夏(キム・ヨンハ)の小説「光の帝国」中で誤訳を見つけたからです。
この翻訳では、漢江が漢河になっていたり、鍾路(チョンノ)が鐘路と表記されている上ジョンロとルビをつけていたり、歌手のキム・ゴンモの表記をキム・コンモとしたりと、首を傾げた箇所がいくつかあり、韓国国旗の太極旗を泰国旗(!)としている大ミスもありました。(泰国(태국)だとタイになっちゃいます。太極(태극)とはスペルも違うのに・・・。)
そして一見気づきにくい、次の場合も明らかな誤りです。(80年代半ば、主人公の通う延世大学のサークル室(政治経済研究室)の描写です。)
壁には、仮面をつけて踊る男を彫ったオ・ユン(呉潤)の木版画と、シン・ドンヨプ(申東曄)の詩『金剛』が並んでかけられていた。
申東曄(1930~69)は扶余出身の詩人です。
で、彼の有名な叙事詩「금강(クムガン)」は、漢字で書くと『金剛』ではなく『錦江』なんですね。
錦江は、本ブログ2009年12月4日の記事<韓国・朝鮮の川いろいろ>にも記しましたが、一昨年あたりから政治的な争点とされてきた4大河川のひとつです。
叙事詩「錦江」は、唐と組んだ新羅が百済・高句麗を亡ぼし、清と日本に膝を屈する李王朝に東学が反抗の兵を挙げ、・・・という歴史を描きつつ、アメリカに従属している現代韓国の状況を批判した民族主義的な民衆詩です。
「금강(クムガン)」というと、韓国・朝鮮に多少なりとも知識のある人なら金剛山(금강산)をまず連想するのが自然でしょう。だからかえってミスリードされてしまいがちです。翻訳者はその国についての幅広い知識が必要、といってもあらゆる分野について知っているわけではないのは当然。しかしこの場合は一応確かめてみればわかるレベルと思われますが、どうでしょうか?