学問空間

『承久記』『五代帝王物語』『とはずがたり』『増鏡』『太平記』『梅松論』等を素材として中世史と中世文学の中間領域を研究。

緩募─仙台・江厳寺の石母田家墓地について

2015-11-28 | 石母田正の父とその周辺

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2015年11月28日(土)10時20分18秒

この掲示板の投稿を保管しているブログ「学問空間」には閲覧者が多い記事上位10位までを表示してくれる機能があるのですが、一週間ほど前から一昨日まで、「石母田正氏が母に海に突き落とされかけた?」という記事(2014年3月2日付)が10位以内となっていました。
これは石母田五人兄弟の末弟、元衆議院議員(日本共産党)の達(たつ)氏が1968年に書いたエッセイに、共産主義運動に走った次兄の正氏に関して、

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母はたまりかねて、次兄を生まれ故郷の北海道につれて行き、その心をひるがえさせようとしたが、成功せず、ついに青函連絡船で兄を海につきおとして自殺しようと決心した。しかし母にはそれができなかった。
http://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/f19bea7aac2b683a3883575c49695278

とあることについて、達氏の記憶の混乱ではないかと疑念を呈したものですが、いろいろ考えると、これは記憶の混乱ではなく、政治家である達氏が選挙目当てに作った格好良い物語の一部であって、自殺云々は意図的な創作と捉える方が自然ですね。
正氏が実践的な「運動」に関与していたのは東京帝大文学部哲学科に在籍していた3年間だけで、史学科に移ってからは勉強に専念し、卒業後は直ぐに出版社に就職して結婚も早く、表面的にはごく普通の市民でしたから、特高による継続的監視があったとしても、石巻の実家まで、

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特高警察が家のまわりをいつもうろうろし、“国賊、非国民“と、石を投げ込む者もいた。“愛国婦人会長“として、毎日のように紫のたすきをかけて、戦地に他人の息子たちをおくりだす母に、非難の声は集中した。
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というのは話を盛りすぎです。
当時は正氏程度の活動歴の人はいくらでもいて、特高だって人員に限りがありますからね。
ま、それはともかく、石母田家についてそれなりに熱心に調べた私にとって、母親のまつ氏はいったい何年生まれなのだろう、というプチ疑問が未解明のまま残っています。
父親の石母田正輔翁は1861年生まれですが、1908年から1924年までの間に五人兄弟を生んだ母親は、少し(当時としての)婚期に遅れて年の離れた夫と結婚したとして、1885年生まれくらいですかね。
石母田正輔翁の墓は仙台の古刹・江厳寺にあるそうなので、おそらく正輔翁の墓石の裏にはまつ氏の戒名・生没年も彫られているでしょうから、何かの機会に江厳寺付近に行かれる方があれば、探して教えていただけると有難いですね。

「石母田五人兄弟」
https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/3d21499ad28acdbaaa95fb037546497e
「石巻市史 第二十七篇 人物 石母田正輔」
https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/3d19416d66cbc10de95ee69cfc7c0799

「伊達家ゆかりの寺・微笑山江厳寺公式サイト」
http://kouganji.or.jp/index.htm

>筆綾丸さん
>出しゃばりな編集者
優れた本を沢山出している優秀な編集者で、講談社でも有名な人らしいですが、自分の意見をここまで主張するのだったら、やはり責任の主体を明確にしてほしいですね。

※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。

abbreviation 2015/11/27(金) 18:33:26
小太郎さん
『歴史と哲学の対話』は出しゃばりな編集者がいて面白そうですが、まだ入手していません。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E7%A0%94
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8F%BE%E8%B1%A1%E5%AD%A6
西研氏の名を知らず、はじめ、西洋哲学研究所の abbreviation かと思いましたが、西研は abbreviate しようがなく、フッサールの「事象そのものへ」(Zu den Sachen selbst!)というべきなのかもしれませんね。

『第3次世界大戦の罠』は、オマーンやイエメンなどの事情もわかって助かりますね。 

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