カウンセリングの対象となる「不信感」について思索します。現実吟味力が健全ですと、どんな環境の中でも、明るく元気に爽やかに生き抜く事が出来ます。しかし現実吟味力が病的ですと、どんな幸せな環境でも周囲の人々を病的に疑い、周囲の人々も邪眼のその人を避けるので、益々愛の孤独感から、人を信頼しなくなります。こうして悪循環の人生を送る羽目になります。心理療法上、問題になるのは、過去の生育史上、何らかの哀しい出来ごとが重なり、人を疑う事が当然のような人生体験がある場合です。この当然、人を疑う幼児体験を自分がしている、という想いは自分を惨めにしていきますので、大人となっても、その出来ごとを抑圧し、見ないようにして成長するのが普通の人間です。カールロジャースという学者は「三つ子の魂、百までも」という日本の諺のような理論を命題として述べていますが、その理論は「一度幼児時代に形成された傾向は、大人になるにしたがい、強化されていく」法則のようなものを生身の人間は所持しているので、自分の傾向と渇望を恐れなく意識化しておくと、その悪い点は改善されていく、という理論です。自分の生育史での癖、習慣、傾向をしっかりと意識化しておくと、無意識の内に病的な不信感は治りますので、勇気をもって一度、信頼のおける「生き甲斐の心理学」を大事にしているカウンセラーと相談するのも良い方法と思います。一人で改善するのは案外難しいものです。
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