何が病的な慈愛で、何が健全な慈愛か、を識別するのは大変です。「人は慈愛を大切にすべきだ」と意識している事例を検討します。慈愛は人の道として重要な理想なのですが、或人の周囲はとても迷惑している事が多いのです。本人が命がけで理想の道を歩んでいこうと努力しているのですが、周囲、特に相手はとても迷惑を感じる場合が多いようです。父親が臨終の時、それぞれ信じる宗教が違う子供たちが、それぞれ信じる宗教から、父親の枕元で色々言うので、やっと手を持ち上げて、手を振り、もう「がちゃがちゃ言わないでくれ」と懇願する話を聞いたことがあります。子供たちは満ち溢れた愛で語りかけるのですが、宗教を持たない父親は多分、ウットオシク思い、必死で手を振ったのでしょう。生き甲斐の心理学では健全な慈愛、と病的な慈愛を、どのように識別するかと言いますと、相手が慈愛だと五感と体感で感じ取れる慈愛を健全な慈愛と解釈しています。こちらが健全な慈愛だと信じて命がけで事を進めても対象である相手が慈愛だと解釈しないでおせっかいだと感じれば、それは慈愛ではありません。心理療法の世界では時々、私はこんなにあの方を愛しているのに、あの方は愛を理解してくれません、とノイローゼになり相談に来ますが、相手の深層を傾聴していくと、迷惑です、の一言で終わりです。愛の定義は神話、民話、宗教、哲学、経済学、政治学、その他の学問で素晴らしい定義をしていますし、それはとても大事なことです。心理療法の世界では患者さんが愛だ、と感じるものが愛なのです。そこからカウンセリングが始まります。患者さんの感じる愛が病的だとしても、時間をかけて、異常な愛と健全な愛の論理療法が開始されますが、生育史が深く関わっていますので、考え方、解釈の仕方を変えていく作業は何年もかかる場合があります。
<自分は何処へ旅しているのだろうか?:104>
自分の生き甲斐を探究されている方々へ:
(1)テキスト「生き甲斐の心理学:ISBN 978-4-9903527-2-1」はアマゾンでもサンパウロ書店でも全国の書店で販売されています。
(2)気楽に広く理論だけを学習したい方は、この私のブログの左記の「カテゴリー」欄をご覧下さい。
その第1章「愛の領域」から11章(カリタス カウンセラーの基本とは)を見ながら思索すると楽しみながら勉強することが出来ます。
(3)この記事は2005年12月10日から2012年4月6日までの約6年間にわたり私が全力投球して系統的に理論を分かりやすく解説した2275回分の記事です。第1章から11章までを日常の言葉を使用ながら書いたものです。貴重な資料ですので是非大事に読んで下さると有難いです。
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