平家物語の数々の名場面の中でも3500人くらいが焼け死んだと言われている平氏焼き討ちの興福寺ですが、その後、源頼朝の庇護のもとに興福寺は勢力を盛り返します。日本文化の伝統の維持にも興福寺は大きな貢献をしています。さて、焼き討ちされて生き残った僧兵が何と山田寺を襲い、人さまが大事にしている薬師如来を略奪し、自分のお寺にすえた事件は有名で、今、興福寺にその略奪した薬師如来の首だけが保存されています。何故、首だけなのでしょう。その首を見ますと、うわーと声がでるくらい驚くと同時に、人間の悪行というか、そのあたりの歴史を想うと、複雑な感情になりだします。興福寺の歴史は人間の光と陰、歴史の表と裏を語り続けます。皆さまも是非、この首をご覧になる時、平家物語とその後の僧兵の山田寺襲撃事件を想いつつ、歴史を思索してみて下さい。これに類似した事、大きくても、小さくても、人というものは自分の生育史を眺めると悪さをしていますので、あまり堂々と人の悪口はひかえたいものです。何だか新約聖書にもこのような戒めがありますが、どの文明にも人間のすることは同じようなものがあり、人の事よりはまずは自分の心の世界を眺めながら修行したいものです。それが健全な生き甲斐を建設してくれるようです。全てを人、社会のせいにするタイプの人は自分の本当の生き甲斐をなかなか見つけられないようです。
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