五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

戸隠に

2016年11月06日 | 第2章 五感と体感
戸隠に2016年11月6日

日本の聖地を巡る旅は、同時に謡曲の謡跡を巡る旅なのです。いつしか聖地を巡るのと謡跡を巡る目的が一緒になり益々旅が面白くなってきています。
今回は、一泊二日で戸隠を巡りました。
地図で見ると謡曲「紅葉狩り」に登場する鬼女伝説を持つ鬼無里(きなさ)は、戸隠山に近いのですが、山が深く、とても一日で巡る事の出来る場所で無い事が解り、結局2日間掛けて戸隠神社と鬼無里を歩きました。
1日目は戸隠神社奥の院~中社を参拝し、奥の院までの山道のような階段をひたすら上りました。戸が切り立つような山の姿はまさしく名の通り「戸隠」のようです。ブナやカラマツの原生林と樹齢数百年の杉の参道は、修験の雰囲気が強く、神の息を吹きかけられたような混じりの無い空気の中、黙々と歩く事50分。若い人たちに次々と抜かされながらも徐々に近づく戸隠山を何度も見上げ、心動かされながら奥の院まで辿り着きました。
バスの時間を計算しながら二時間で往復し、バスで山を下り、今度は中社を参拝。戸隠の新蕎麦を頂き、お腹も満たされ、山を降りました。
長野駅前から戸隠神社奥社入口まではバスでおよそ一時間です。

2日目は、午前中は善光寺参り。「牛に引かれて善光寺」が「山に住むお婆さんが川で洗濯をしていたら、牛がやってきて、洗っていた手ぬぐいが牛の角に引っ掛かり、ひたすら60キロ走って追いかけたら、そこが善光寺だった」との意味を始めて知り、牛にに優雅に引かれて善光寺を参る話だとばかり思っていただけに何だか可笑しくて、お婆さんを走らせる無茶ぶりな仏様に親しみを感じました。
鬼無里は、午後のバスで向かいました。一時間から二時間に一本のワンマンバスに乗り、着いた所は、見事な山の中。バス停の上にある鬼無里神社の境内に立つと、戸隠山が異様な形で姿を現しました。畏れとも恐れとも云える様な鳥肌が立ち、鬼無里の鬼の伝説が現在にまで至っているようで、時代と時間が凝縮されたような感覚に陥り、言葉にするにはもう少し時間がかかりそうです。
鬼無里は、西に白馬、北に戸隠 東に長野という場所に在り、それだけではなく、フォッサマグナでもあるので、地質的にも大変興味深く、鬼女伝説だけでなく、地質学の博物館、そして古道の分岐点としての分水嶺的な役割を担っていた事も知り、謡曲「紅葉狩り」を超えた興味が沸々と湧いてくるのでした。
明治までは、麻の産地ということもあり、大きな蔵を持つ家も多く見受けられました。「鬼女」の存在と縄文の時代から知恵と情報を持って暮らしてきた人々と蝦夷征伐と大いに関係がありそうだということが想像され、山深い場所とは思えないくらいの鉾を持ち、祭儀を行っていた事も知り、現在も5月3日には一台の鉾を出し、盛大な祭りが取り行われているそうで、一度訪れてみたいものです。都に匹敵する寺社を備えた村の配置は、鬼女伝説と豊かな豪農と情報の分岐点という条件が絡み合っている証であるようにも思います。
鬼無里村を歩くうちに、ふと近江や伊賀、東北の平泉を思い出しました。
昨年末に訪れた韓国のへそと言われる古寺とも重なりました。
昔々の人々が、どちらの方向に落ち伸びれば命が救われるか、、、、その選択に迫られる分岐点には、きっと色々な人々が潜んでいたのだろうとも想像がつきます。
やはり、そのような所には必ず忍の術を持つ者が住んでいたし、忍者の村があったりします。
想像の妄想が広がりすぎて、夕暮れのバス停まで急ぎ足。。。
暗くなったら真っ暗です。何とか夕暮れギリギリの時間にバスに乗る事ができ、無事に長野駅に辿り着きました。
勿論、新幹線に乗る前に、再び蕎麦を頂き、満腹な巡礼の旅は終わったのでした。

「紅葉狩り」には深い深い古の物語が潜んでいるのです。


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江戸表具を愛する会作品展示
場所:銀座プロムナードギャラリー 「銀座三越~東銀座地下道のショーウィンドーギャラリー」にて
日程:10月15日土曜日午後~11月13日土曜日午前
私は、子供の晴れ着古裂でしつらえた掛け軸を展示。会のテーマで仕立てた掛け軸も展示中。
銀ブラついでにご覧くださいませ。


表導会 50展
11月14日日曜日午後~11月24日日曜日16時まで
有楽町&銀座 東京交通会館の一階ギャラリー パールルーム

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勉強会予定:
ユースフルライフ研究所 公開講座
11月1日火曜日 腰越勉強会
11月15日つつじヶ丘勉強会


NPOキュールの勉強会
11月18日金曜日 東急セミナーBE雪谷大塚校
11月25日金曜日 東急セミナーBEたまプラーザ校









コメント
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