五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

東北の旅・松島

2012年05月02日 | 第2章 五感と体感
出会った人々との会話が印象深い今回の東北旅行でしたが、強く心を突いたのは、津波や原発事故のことでした。

平泉の中尊寺で、膝を庇いながら階段を下りる母に声を掛けてくださった親子三代のご家族は、磐梯山でお寿司屋さんを経営されていらっしゃるそうです。原発事故以来、観光客が少なくなり大変だし、陸前高田に住む親戚が津波で亡くなり、今日は法事の帰りなのだと説明してくださいました。確かに東北道のサービスエリアでは、喪服姿の方々が目につきました。

松島のホテルで夕食を共にした親戚も名取市の単身赴任で住んでいる家は大丈夫でしたが、経営する会社を移転せざる得なくなり便利な青葉区に昨年秋に引っ越し。
名取市の津波被害の様子を聞き、復興のために色々な活動をしていることに希望を感じました。

旅の最終日は、観光を復活させた松島を巡りました。観光船もこの連休ですべてのルートが再開したようです。
松島沿岸は、津波の被害には遭いましたが、他の地域に比べると、屋並みも以前の姿が残っていて、瑞巌寺の参道の杉木立ちもほぼ海水に浸かったそうです。でも枯れた杉は見当たらず、荘厳な風情がそのままの形で守られています。
お店は、一カ月ほど前に再開したところが多いようです。泥をかき出す作業から始まった復興の話を聞かせていただき、観光客は、その話を聞かなければ、何事も無かったかのように思うくらい元に戻っていると言っても良いと思います。

初めて松島を訪れた私は、説明されない限り美しい風景がそのまま残っているように見えました。島々が沿岸を守ったのでしょう。三陸海岸の沿岸を走り、一月に訪れた山元町を考えると、奇跡のように思います。

旅の締めくくりは、松島の五大堂でした。沿岸から赤い橋を二つ渡ると小さな島に御堂が建っています。坂上田村麻呂が建立した御堂です。「よくぞ無事だった!」と称え、しみじみと海を見渡す観光客の姿を見ながら、観光地の醍醐味がこれなのだ、と同じく観光客の私も人の戻った観光地にエールを送りたくなりました。
五大堂で海を眺めながら美味しそうにアイスクリームを食べている真新しい制服を着た中学一年生の男子に「どこから来たの?」と尋ねると、「南相馬から!」と嬉しそうに答えてくれました。どこにでもいる悪ふざけの生徒がケラケラと笑いながら歓談している姿に、私達でなく周りの観光客も「そうか…」と、言葉を詰まらせていたことも、旅の思い出となりました。

陸奥を守ろうとする坂上田村麻呂が、蝦夷征伐の魂の安らぎを祈って清水寺を建立したと聞いています。
東北の地を守り、復興していく若い命に五大堂で出会う事ができたのも何かの縁だと解釈しています。
南相馬の中学生君達、満願の笑顔と楽しくてしょうがない笑い声に、私はとても元気を頂きました。
ありがとう!

ゴールデンウィーク後半にも多くの観光客を期待している東北の観光地。行って、観て、聞いて、話して、感じたことをこうやって伝える人が一人でも多く居るよう願いつつ、私も小さな砂の一粒の呟きとして、何かに繋げていくことができればいいなと思います。

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