Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

S League 中国の黒い影

2008-05-11 | Football Asia
東南アジア出張から帰国し1週間。連日の曇天と今日の様な雨天で“寒さ”が堪えて来る。それに会社に行けば机の上は書類の山。更に書類作成と事務処理の毎日。それも大切な仕事なのは判っているが、引き合い顧客と直接対面し仕事の話をして夜は S League の試合を追いかけていた毎日が懐かしい……

あの蒸し暑さが懐かしい今日この頃。 すっかりシンガポールかぶれしてしまった私?だが、アルビレックスや大連そして韓国人で編成した Super Reds と言った“純外国チーム”の参加を認めてリーグの活性化をはかったり国際色豊かなシンガポールならではのS League ではあるが良い話ばかりでは無い。 1996年に発足以来様々な理由で9チームが廃部、統合となって消えて行った。
2006年に1シーズンだけで消えて行った Sporting Afrique と言うチームがあった。シンガポール人選手が1人いたが他はナイジェリア、カメルーン、ガーナそしてサッカーでは珍しいケニア人選手で構成された文字通りアフリカ連合のチームだった。その年にシンガポール訪問した時にアルビレックスとの試合を観戦する事が出来た。現地に在留するアフリカ人らしきサポーター達が熱心にそしてリズミカルに太鼓などの楽器を叩いて応援をしていたが試合はアルビレックスが快勝。想像していたフィジカルの強さが少しは観られたがあまりに個人プレーに頼り過ぎるサッカーで少し失望したのを覚えている。

http://blog.goo.ne.jp/conty1ban/e/84c73bf1bd67c962d5c3fe3e12bf3974

シーズンの成績もぱっとせず5勝9分け16敗11チーム中9位に終わりそしてこの年で解散してしまったい、チーム事情が実に悲惨なものであったと言う事を最近知った。2004年ナイジェリア生まれの Agu Casmir そして Itimi Dickson がシンガポールに帰化し Tiger Cup や SEA Games に代表選手として出場していたのでシンガポール協会はこう言ったチームを S League 入りさせ、アフリカ人選手を誘致して帰化させシンガポール代表に入れる為の一環とみられていた。しかしこのチームは立ち上がりから躓いていた様だった。選手達には月収 SG$1,600 ( 約12万円) が約束されていたらしいが実際にはそこから食費SG$700 ( 約52,500円)そして宿泊費SG$800 ( 約6万円)が天引きされ手取りはたったの SG$100 ( 約7,500円)しか残らなかったと言う事がシーズン中に明るみになった。
食事の内容も粗末な鶏肉とライス、そしてあてがわれた住居も5人から6人が一つの部屋で同居させられていたらしい。アルビレックス発足前から S League には日本人選手がおり、その待遇は“日本人駐在員並”との事だったので月収だけでも Afrique の選手達の3倍から4倍はあったと思う。これでは選手達がかわいそう。いくらシンガポールとは言え1か月7,500円でどんな生活が出来るのだろう…….. シーズン中に選手の一人が英国BBCに現状を“訴え”その事実が明るみになり何とか手取りが SG$300 ( 21,500円 ) そして勝利給などのインセンティブが付く様に待遇が改善された。
http://news.bbc.co.uk/sport2/hi/football/africa/5079434.stm

チームの代表である元テレビ俳優の Collin Chee は“我々は今資金が無い。選手達にはパフォーマンスを上げて Big Club からオファーが来る。それが選手達の動機付け、野心となる。”と言ったそうだが, 協会そして最後は大使館にまで S.O.S. を発信するまで選手達を追い込んだ Chee は責任を感じないのか…………

    


こうして Sproting Afrique は翌年のリーグ加盟が認められないと言う悲しい結末を迎えてしまった。

更に昨年1年限りで S League から消えて行ったチームがある。中国超級リーグにも所属する遼寧FCのサテライトチーム Liaoning Guangyuan Football Club ( 遼寧広原 ) である。2007年のシーズンは12チーム中10位に終わり、2008年は S League 加盟が認められなかったがその理由が中国らしいと言えば中国そのものかもしれない。今でも1995年以来述べ15人の選手役員が処罰されたが S League 最悪のスキャンダルと言われているチーム上げての八百長問題だ。
当初は Zhao Zhipeng が摘発されたが現在は GK Dong Lei 26歳をはじめ、 DF Li Xuebai 30歳Wang Lin 20歳, FW Li Zheng, 26歳Zhao Zhipeng, 26歳, Tong Di 26歳,そしてMF Peng Zhiyi, 22 歳ら7人が八百長に関与したとの事。Wang Lin が4カ月、その他の選手が5カ月の実刑判決が下り、現在もシンガポールで抑留中だ。自らの敗退行為により総額SG$27,950 ( 約210万円)を受け取ったとされている。この判決は1995年当時シンガポールのエースストライカーであった K.Kannan の18か月の実刑判決以来の重い刑らしい。 
そしてこの八百長を選手達に”指示”した Wang Xin 元監督は中国に逃げてしまっておりシンガポールにはもういない。 選手達は監督の指示に従わなければどんな目にあったか…..と語っているらしいが……

   
 

サッカーが賭けの対象になる(日本もそうだけど)東南アジアでは八百長疑惑が絶えないので S League ではそれを監視する委員会 C.P.I.B. ( Corrupt Practices Investigation Bureau : 不正監視局とでもいうのかな?) がある。 C.P.I.B では昨年11月シーズン終了後に疑いのある11選手に尋問をし4選手は疑い無しとされ帰国が認められたが上記の7選手は容疑が晴れない為に拘束が続き年の明けた1月7日のこの八百長を指揮したとされる Wang Xin 前監督が逮捕された。 Wang は2007年のシーズン Tampines rovers ( 0-3) Gombak United ( 1-5, 0-5 ) S.A.F.F.C. ( 1-4 ) そして Geylang United ( 0-3 ) 戦で3点差以上で負ける様に選手達に指示した疑いが浮き彫りになったらしい。そしてアルビレックス戦 ( 0-2 ) も八百長を指示したとの事。  1月22日より Wang Xin は抑留されるも SG$80,000 ( 約600万円 ) の保釈金を払い帰国をしてしまっている。
Wang Xin はシーズン中に9人の選手を ” 不十分なパフォーマンス ” が理由で帰国をさせているが彼らは Wang Xin の”指示”に従わなかったか八百長が知られる事を恐れた為に帰国をさせられたとみられている。シンガポール協会では更なる事実究明の為に Wang Xin が再びシンガポールに来る事と FIFA に今回の7人の選手と Wang Xin を世界的にプレーを禁ずる事を求めて行く方針との事である。シーズン終了後から今もシンガポールに抑留されている7人の選手達は既にシーズン中の蓄えもそこを尽き、判決が決まるまでの11月から3ヶ月間はLiaoning Guangyuan FC の Vice President である Steven Lee 氏から毎週 SG$150 を貰って何とは食いつないでいたらしい。実刑判決が下って衣食が保証されるとは皮肉な話。 

それにしても選手達を残して帰国した Wang Xin は責任を感じているのだろうか?? 中国の国内リーグ Super League でも八百長事件が発覚しかなり人気を落としたらしいがそれを他国にやって来てまでもと言うのがいかにも中国らしい。シンガポールぐらいならと思っていたのだろう……
東南アジアの選手達のサラリーは一般人の平均給与よりは高いだろうがスポーツ選手の現役期間は限りがある。将来に不安を感じて八百長協力に走る選手、役員が後を絶たないらしい。それが代表レベルが上がらないことに寄与しているとも思うが、この Liaoning Guangyuan FC の様によその国に来てまでとは……….

いまや環境問題を含め世界の迷惑国家となった中国だけど、迷惑はそれだけではないらしい。 GNP に対する中国の購買力はついに日本を追い抜いたらしいが、アジア蔑視もどうやら追い抜いたらしい。
今年から S League に参加している大連実徳はこれまで12試合を終えて3勝2分7敗で12チーム中10位。 これまでの戦績は”実力”通りなのか....

   


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
悪い奴ほどよく眠る (中東の太鼓)
2008-05-12 03:43:49
こんばんはコンティさん
サッカーで八百長をするのは野球や相撲と比較すると結構難しそうに思えますが、少ない点数で争う競技の特性やコンタクトスポーツの為、審判の判定が試合に多大な影響を与える事を考えると決して難しくないのかもしれません。
そして人間には美醜両面がある以上、目的遂行の為に禁断の果実を手にしようとする輩がこの世にいても不思議ではありません。
(もちろん正当化は出来ませんが)

一昨年にイタリアサッカー界を震撼させた「カルチョスキャンダル」は結局、目に見えない力で関係したクラブの処分が軽減されました。
主犯格のユベントスのGMのルチアーノ・モッジもたった5年間の活動禁止処分だけです。
彼は政財界に幅広いネットワークがあるのでいつか復権するのかもしれません。
一連の経緯はW杯の優勝によるドサクサ紛れの”恩赦”という感じがしました。

1969年に発生したプロ野球の「黒い霧事件」に対する処分に納得している野球ファンはいるのでしょうか?
事件に関与した選手が何故だかパリーグの選手ばかりですし、逆に在京セリーグ球団の選手が余り事件に関与してません。
あと不思議なのは野球賭博は当時関西を中心に行われていたと言われていたのに何故か阪急の選手は誰も処分されてません。
恐らく事の全貌を詳らかにして関係者を全て処分するとプロ野球の存亡の危機に立たされるのは明白なので都合の良い所で手打ちしたのではと勘繰ってしまいます。
そして犯した罪とは不釣合いの罰(というより極刑)を受けたのが元西鉄の池永正明さんです。
(ちなみに池永さんは刑事事件としては不起訴です)
事の顛末はご存知だと思いますが、激高した世論とマスコミの攻撃を鎮める為に大物選手である池永さんをスケープゴートにされたのは明白です。
ただこの事件の裏には新聞業界の販路拡大戦争の側面もあったので当時のマスコミが正義を振りかざして糾弾した事に少し違和感を感じます。
また当時の球界の力関係(=政治力)なのか分かりませんが、罪を問われなかった選手がいる噂はよく聞きます。
果たしてこれが公正な処分といえるのか疑問に感じます。

池永さんは3年前に処分解除されようやく35年ぶりに復権されました。
いつの世でもどんな競技でも八百長事件は真相が明らかになる事はごく稀でいつもうやむやにされてます。
そして本当の黒幕は厳しい処分をされてない印象があります。
返信する

コメントを投稿