Home United vs South China 30th April
昨年浦和 REDS がAsia Champions Leagueのタイトルを勝ち取ったおかげで日本国内でもよやくアジアのクラブ選手権にスポットが当たる様になった。 これまでアジアのクラブチーム間の国際公式戦は「アジアクラブ選手権」(各国リーグ戦優勝チームによる大会)「アジアカップウィナーズカップ」(各国主要カップ戦優勝チームによる大会)と、この2大会の優勝チームが更にアジアナンバーワンの座をかけて争った「アジアスーパーカップ」の3大会があったが、これを統合して2002-03 年シーズンに「AFCチャンピオンズリーグ」として再スタートした。しかし、その第1回大会は実力差の開きや発展途上国の代表チームが出場を辞退するケースも多く、大会の質の低下を懸念する声もあったため、AFCではチャンピオンズリーグの出場枠をAFCクラブチームランキングの上位14カ国に絞り、同ランク15位~28位の国・地域のリーグ戦・カップ戦の優勝28チームにこのAFCカップの出場権を与えることとした。
現在は10カ国から20チームを西3組、東2組(4チームが3組、3チームが2組)の5つのグループに分けて2回総当り・ホーム・アンド・アウェーで対戦し、各組1位の5チームと第2位のチームの中で上位3チームを含めた8チームが決勝トーナメント進出。 決勝トーナメント 8チームによるホーム・アンド・アウェー戦で覇者を決める。現在西地区がバーレーン、レバノン、インド、オマーンヨルダン、イエメンの6カ国12チームが東地区がシンガポール、マレーシア、香港そしてモルディブ共和国の4カ国8チームがこの大会に出場権が与えられている。そしてここシンガポールからは Home United と SAFFC の2チームが参加している。
4月30日。マレーシアからシンガポールに戻る。再び赤道に近いシンガポールの暑さと湿度に閉口しながら何とか仕事を終えてAFC Cup 観戦に向かう。この日は S- League で2位につけている Home United が香港の South China を迎えた。これまでHome United は4戦全勝。この試合に勝ってベスト8進出に大きく前進したいところだった。一方の香港 South China はモルディブの Victory SC に引分た以外はマレーシアの Kedah D.A.F.A. に連敗そして3月にホームで行われたHome United 戦でも敗れこの時点で既に予選落ちが決まっていた。しかし意地は見せてくれると “期待して” 会場に向かった……
会場となったJalan Besar Stadium はYoung Lions の本拠地。先週観戦した Gombak vs SAFFC戦でも使われた競技場。その時には気付かなかったが、ピッチは人口芝だった。どうも奇麗に絨毯の様に整備されていると思った….. この AFC Cup では Home United , SAFFC 共にホームゲームは本来のホームグラウンドでなく全てこの Jalan Besar Stadium が使われた。ここの競技場は市内の中心部に近く比較的にアクセスが良いが理由かもしれないが対戦相手を慣れない人工芝の上で迎え撃つと言う方策か?? ただ香港の2チーム、 South China もKitchee もホームゲームは Mogkok Stadium。これもアクセスの良さ等を考慮してか?シンガポールも香港も国土が狭いのでどのチームがどこでやってもホームゲームか?
4日前、瀬戸春樹率いるBalestier Khalsa にシーズン初勝利を献上した Home United 。その時のスタメンから3人の選手が入れ替わっている。Balestier Khalsa 戦ではベンチから外れたレギュラー選手DF Rosman SulaimanはFW のIndra Sahdan, カメルーン人DF Valery Hiek の3人は揃ってスタメン入り。Balestier Khalsa 戦で先発出場を果たした若い Ar-Araromsowa は登録を外れていた。
両者は3月11日に香港の Mongkok Stadium で対戦しその時はアウェーのHome United が 3-2 で激戦を制した。この時2ゴールを挙げたのがブラジル人MF Oliveira 。しかし Oliveira もこの試合の登録から外れていた。近くに座る御夫婦に尋ねると御主人が “ Oliveira は累積警告で出場停止”と丁寧に教えてくれた。またタイ人 MF Komprom Jaroonpong が1度もこの AFC Cup ではベンチ登録すらされていない。外国人枠の問題か……..??
その3月の試合のスタメンを調べると主将のDF Shunmugham Subramani こそこのホームゲームのスタメンに名を連ねているが、シンガポール代表GK Lionel Lewis をはじめ5人の選手が入れ替わっている。
一方のSouth China。 7人の選手が3月のHome United 戦のスタメンから入れ替わった。そして3日前の Hong Kong First Division League の Convoy Sun Hei戦で 4-1と快勝したがその時のスタメンでこの試合のスタメンで起用されたのは二人だけだった。それは既に決勝トーナメント進出の可能性が無くなっている事が寄与しているか? GKは中国人の Chan Chun Yu でなく香港人の Chung Ho Yin。 4バックのDF陣は左サイドが中国人DF のDeng Jing Huang, CB はブラジル人の CRIS Alves Pereira と Can Wai Ho。ブラジル人の CRIS は前の Home United 戦でも先週の Chung Ho Yin 戦でもスタメン出場。この選手が守備の要か??右サイドバックが Lai Man Fei. 両サイドバックは3月の Home United 戦では途中出場だった。ボランチは主将の Yeung Ching Kwong と 中国人MF のFan Wei jun 。この二人は2列目の右に Chung Ho Yin 戦でスタメン出場した Chan Wai Ho, 左が Yip Chi Ho 。 Yip は3月の試合ではフル出場。そして2トップが Cheng Siu Wai とブラジル人のSchutz Tales 。Cheng Siu Wai は3月の試合では途中出場ながら2ゴールを決めている。
Schutz Tales は2006年のシーズンからそれまでしばし続いていた South China の “純中華主義“の禁を破って契約された選手でかつてはブラジルのボタフォゴ、アトレティコミネイロ、グレミオでもプレーをした経歴がある。 Chung Ho Yin 戦では途中出場ながら2得点。それが認められてかこの試合ではスタメンに抜擢された。他の Chung Ho Yin 戦にスタメン出場したブラジル人選手 Itaparica, Maxwell そして Detinho の3人はこの遠征に参加していなかった。
試合は立ち上がりからアウェーの South China が積極的に前に出て来る。2分には FW S.W. Cheng が左から中に切れ込んでドリブルシュート。6分にはオーバーラップで上がった左サイドの J.H. Deng に W.H. Chan のスルーパスが通りチャンスとなるがシュートには至らない。South China は S.W. Cheng がやや下がって C. H. Chan とC.H. Yio の3人が1トップ気味となった Schutz の後ろに並ぶ。 そして右サイドをサイドバックのJ.H.Deng と MF のC.H. Chan が突破して行く。特にMFの C.H.Chanはドリブルに自信を持っている様だ。17分にはこの C.H.Chan のドリブル突破から入れたクロスに S.W.Cheng が走り込んで撃ったシュートは惜しくもポストの左に外れた。立ち上がりロングパスとカウンター攻撃に終始していた Home United は20分過ぎからようやくボールを繋ぎだす。 Hiek Valery が右サイドに回って来て C.H.Chan のドリブルをストップし前線の Ludovick に送りそのままタッチライン沿いを疾走する。 Ludovik は右に走っている Hiek にボールを送りそのまま Hiek はネアーサイドを狙ってミドルを放つが地を這うようなライナーは僅かにポストの右に外れる。 自陣左サイドのケアーにカメルーン人MFの Hiek が右から回ってきたか??
そして30分、FW Indra Daud が左サイドから入れたライナーのクロスを South China DF W.H. Chan の前に出て来てボールを受けた Shahril Ishak がワントラップしてゴールに蹴り込み Home United に先制ゴールが生まれた。Indra の素早いゴール前での動きであった。
先制ゴールを境に South China の脚が止まって来た。中盤を支配され頼みの C.H.Chan のドリブルも相手MF,DFの網に引っ掛かる様になって来た。 やはりシンガポールの天候が影響したか。何しろ前の週にここで会った香港在住の顧客が“シンガポールは暑い…” と言っていたから…..それが狙いで Home United は序盤スローペースだったのか?37分にはHiek Valery がS.W. Cheng に倒されてFKを得る。 Hiek が直接FKを狙うがここはGK H.Y.Chung がナイスセーブし追加点はならなかった。40分には Indra Daud がゴール前で頑張りCKを貰うと Shi Jia Yi が上げたCKに Indra が飛び込むがそのヘッドは僅かにバーを越えた。
South China はたまらずMF左のC.H.Chan と MF右の C.H.Yipのポジションを入れ替えた。それでも展開は変わらない。Home United は左サイドでは MF Ishak Shahrilと FW の Indra Daud がそして右サイドは Shi Jiayi の動き良い。 South China はW.J.Fan, C.K. Yeung のボランチの二人がもっと攻撃に絡みたいところだが…..
そして前半終了のホイッスルが鳴った。 拍手で迎えられる Home United そして South China イレブンには地元のサポーター達からは “ He~y Liverpool !! “ と野次が飛ぶ。彼らのユニフォームは Liverpool のデザインを基調にしているのか?? 香港、シンガポール共に最も人気のあるリーグは English Premiership だ。この時点では UEFA Champions League ではまだ Liverpool は残っていたが、South Chinaは…..
香港のサッカーと言えば思い出すのがワールドカップアルゼンチン大会予選。シンガポールで開催された1次予選では地元シンガポールを決勝で降し最終予選に進出した。しかしイラン、韓国、クウェート、オーストラリア相手に8戦全敗で日程を終えた。次のスペインワールドカップ予選では地元開催の1次予選で中国、北朝鮮、日本と同じ組に入り最終予選には進めめなかったが4年後のメキシコ大会予選では郭家明監督が指揮する香港代表は健闘を見せて1次予選の工人体育場で行われた中国との最終戦ではアウェーながら中国を2-1 で破る番狂わせを起こし東地区準決勝にまで進出した。決勝ゴールを決めた顧錦輝は帰国時に啓徳空港でもみくちゃにされていたところを専門誌で見た。この中国戦の勝利が最後の快挙だったのかも知れない。準決勝では森ジャパンに敗れている。次のイタリアワールドカップ予選では4年前と同じ郭家明氏が指揮を取り、前のワールドカップ予選メンバーを顧錦輝を含め6人擁して臨んだが日本、インドネシアと共に北朝鮮の軍門に降り1次予選で姿を消したが、この香港戦で2分けに終わった横山ジャパンは北朝鮮の後塵を拝する事となった。以降最終予選にまで進出出来ず、今行われているワールドカップ予選も既に姿を消している。しかしプロ化は日本よりもずっと早く、1970年代には South China そしてSeiko SA と言うクラブチームが既にプロ化されており1979年には当時韓国のエースストライカーであった金在漢が Seiko に入団した。そして70年代には後に“たけしのスポーツ大将”や芸能人サッカーチームに助っ人として出場していた元読売クラブのカルロスが香港でもプレーしていた。昔の香港を少し知るだけに“もう少し頑張れ無いかなぁ….” と思うのだが
後半に入ると South China は前線を少し変えて来た。 MF の C.H.Yip を上げて Schutz と2トップを組ませ、2列目を左から C.H.Chan, C.K.Yeng そしてS.W.Cheng を並べる。DFラインを左サイドバックの J.H.Deng を中盤に上げて3バックにする。 攻撃の枚数が増えたせいか South China の攻勢が続いた。開始早々 C.H.Yip がシュートを放ち GK Lionel Lewis がブロックするとそのリバウンドを C.K.Yeng が撃つがこれはLewis の正面に。48分には C.H.Yip が Jantan Juma をかわしてシュートを放つがこれもGK正面。49分にスローインを受けたC.H.Chan が中に切れ込んで撃ったシュートはサイドネット。 62分には Cris Alves Pereira を下げてWong Chin Hung が投入される。 South China は攻める時間が長くはなったがFW Schutz へのラストパスが足下へ行くパスばかりなので相手DF陣に読まれてしまう。70分にはドリブルに切れが無くなって来た C.H.Chan を下げて Lee Chi Ho を入れる。そしてC.H.Wong をDFラインに戻し再びDFラインを4バックに戻す。サイド攻撃をもう一度強化してと言う思惑だったのだろうが74分に Home United が追加点を挙げる。 Ishak Shahril が Lee Cho Ho をかわして右サイドから入れたクロスを Indra Daud が決めた。 この失点は South China には堪えたと思った。
しかしここから試合が動き出す。77分に J.H.Deng を下げ P.T.Man を入れ、DFラインを P.T.Man, M.F.Lai そしてW.H.Chan の3バックに戻し中盤を厚くする。そして79分 C.K.Yeng , Schutz と繋いで C.H.Lee が放ったシュートはCKに。そのCK から Schutz がキープし中に走り込んだ C.K.Yeung が Home United ゴールに蹴り込み1点を返した。初めてこの試合 Tales Schutz が仕事をした瞬間だった。あと10分以上残っている。C.H.Wong が左からC.K.Yeung が右から切れ込んでくる。82分 Lee Chi Ho が左サイドからドリブルで切れ込み Jantan Juma をかわして放ったシュートはGK正面を突いた。South China は同点を目指し動きが速くなる。
しかし試合を決めたのは Home United カメルーン人FWの Kengne Ludovick 。力強いドリブルから87分には途中出場の Mohamed Farook, 88分には Sharil Ishak の連続ゴールを演出。チームの AFC Cup ベスト8進出を決定づけた。 最後は助っ人外人の力の差が出たか?これはJリーグでも欧州でも同じ事だろう。でも South China はアジアの伝統クラブとしてもう少し頑張ってほしかったし、これからも巻き返してほしいんだけどなぁ……..
同日行われた他の AFC Cup 戦で S.A.F.F.C. が香港の Kitchee をアウェーで1-0 で降し、こちらもほぼベスト8進出を決めた。 この試合には深澤、新井と言った日本人選手も出場している。AFC Cup では開設から4大会西アジア勢が決勝戦のカードを独占し続けている。今年は新井や深澤を決勝戦で観られるだろうか.......
もう一つのアジアのクラブ選手権 AFC Cup にも日本人選手がいる。 そしてここにもサッカーはある。
翌朝私はバンコックに旅立った……………….
気温が少しでも下がっている事を祈って……….
あまり知られていませんが実は香港には奥寺より2年早く1975年に我が国初のプロサッカー選手が誕生してます。
その名は佐田繁理
彼は台湾大学に入学した2年後、香港プロリーグの「東方足球隊」に入団し約1年間在籍してました。
100m走が11秒台の俊足でポジションは左ウィングでした。
尚、現在の彼の職業は芸能事務所「さだ企画」の代表取締役社長。
彼はあの歌手のさだまさしの弟です。
(妹は同じく歌手の佐田玲子)
ちなみに彼は大学在学中には在日華僑と勘違いされて台湾のフル代表にも選出されたこぼれ話もあります。
(のちに台湾協会が彼の国籍を確認したので代表の試合には出場はしてません)
さだまさしの名曲「案山子」は留学中の弟を思って作った曲だそうです。
この時代の香港リーグはアジアでも結構早くプロ化されて外国人選手が在籍している中でプロ契約しているのだからある意味スゴイ出来事だと思います。
今年のACLのグループリーグも大詰めを迎えてますがとても意外なのが韓国勢があと1節を残して全滅した事です。
去年の浦和が城南一和との準決勝での壮絶な死闘がまるで遠い出来事のように思えるほどの不振です。
Jリーグのチームは一昨年まではKリーグのチームを大の苦手にしておりACLでの対戦成績でも大幅に負け越してましたが、昨年の浦和と川崎の活躍でかなり盛り返し今年までの対Kリーグチームとの通算対戦成績はほぼ五分に近づいたはずです。
大韓サッカー協会(KFA)の日本語ホームページを見たのですが選手層が薄く国内の日程とのやりくりに苦労したのが主因みたいです。
選手層も薄いため期待していた主力選手が負傷するとその影響がモロに出たみたいです。
またチームとしても国際経験が不足とも書かれてました。
また興味深いのがKリーグがプレーオフ制度を採用しているので本当に強いチームが出場をしていないのも原因なのではとも書かれてました。
(ちなみに浦項は昨季リーグ戦で5位ながらプレーオフで優勝し、カップ戦王者であるFA杯覇者として出場した全南にいたってはリーグ戦は昨季10位です)
日本はここ2年は上手い具合に国内の上位チームが出てますが、天皇杯優勝チームは実質的に2年前シーズンの王者なので一昨年のヴェルディのようにJ2チームの出場の再現はいつでも起きる可能性はありますので決して他人事では有りませんが・・・
ただこれより酷いのが日本のプロ野球の現行のシステムだと思います。
なにせ勝率5割以下の3位チームでも日本一(もしかしたらアジア王者)にもなれるのですから。
またKリーグの事務総長の方のインタビューでは浦和のようなビッグクラブの存在を大変羨ましがってました。
韓国は日本以上に中央集権の国なので地域密着の概念が薄くクラブも企業主体なのでビッグクラブが生まれにくいとも述べてました。
(地域対立はスゴイですけど)
ただ時間はかかるが水原三星とFCソウルにその可能性を秘めていると語っておりJリーグからそのノウハウを貪欲に学ぶ姿勢を感じました。
やはり”アジアの虎”は転んでもタダでは起きないですね。
来年のシーズンからACLが大幅に改革され強国のクラブが多数出場し隣国とのライバル対決が増えるので力関係がどうなるのかとても注目です。