Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

国立競技場にて A3 Champions Cup

2006-08-17 | Football Asia
かつて五輪予選やワールドカップ予選の殆ど、そして外国のクラブチームや代表チームが来日した際によく国際試合が開催された国立競技場。 今や横浜、埼玉を初め他の都市の方が近代的な競技場を持つようになり、サッカーの国際試合の開催数はすっかり減ってしまった。 しかし、天皇杯の決勝や全国高校サッカーの準決勝戦以上はここで開催され、“聖地”国立競技場のステータスは変らない。
90年代の初めまで“日本サッカー後援会”と言う会があり個人なら年間1口1万円支払えば、国際試合等日本サッカー協会の主催する試合を無料観戦出来た。 Jリーグ発足前の日本リーグ時代。国立競技場でもよく試合は開催され、1989年2月に今の川淵キャプテン、明石家さんまさんが音頭をとって“たのむさかい満員の国立で日本リーグの選手達に試合さしたってぇなぁ”と言うスローガンで無料券を大量放出し国立を満員にさせた事があった。そしてJSL最後の試合となった1992年4月の日産自動車対読売クラブの試合には少なくとも半分以上、3万人近くの観客動員があったと思う。今はもう何もしまなくても代表の試合であればここはほぼ満員になり、Jリーグの試合でも数万人単位の観客が動員される。
また“聖地”という面ではサッカーのみならず、陸上競技やラグビー等のメジャーな試合はここで開催される。
私も大学時代、2度インカレに出場したがそれは国立競技場で開催され、ここに試合観戦に来ると当時を思い出さずにいられない。 
先日(と言ってももう1週間以上前)開催された第4回A3チャンピオンズカップの観戦に久々に国立競技場を訪れた。日本リーグ時代からJリーグが発足し、何度も足を運んだ国立。しかし、客の入りは日本リーグ時代なみであった。その分、ゆったりとスペースが取れて、牧歌的な80年代のサッカーを懐古することが出来た。 
今回で4回目となるA3チャンピオンズカップ。参加クラブは大連実徳(中国) 蔚山現代(韓国)そしてガンバとジェフ。 日本勢は第1回大会で鹿島アントラーズが優勝以来、低迷が続いている。代表レベルではアジアでもトップだがクラブレベルではAFCチャンピオンズリーグでもさっぱりだ。問題は派遣チームの選出方法と大会への力の入れ方だ。 今シーズンはガンバ大阪と東京ヴェルディが出場したが、ヴェルディが天皇杯で優勝したのは実質2004年のシーズンだ。昨年は2部落ちするほどの低迷振り。今年の元日に天皇杯優勝の美酒を味わった浦和レッズのAFCチャンピオンズリーグ出場は来年まで待たねばならない。また我が愛する京都パープルサンガは天皇杯で優勝した時はこの大会には出場させて貰えなかった。
また大会への力のいれかたが中東勢とは比較にならない。彼らはオーナーの豊富な資金力を元に欧州のクラブで燻っている選手を大金で連れてくる。大会3連覇を狙うサウジアラビアのアル=イテハードはボルトン所属のメキシコ代表のエースストライカー、ハレド=ボルヘッティの獲得交渉を始めている。ただボルヘッティは先のワールドカップでは不調で出場試合は2試合(イラン戦、アルゼンチン戦)でノーゴール。そして戒律の厳しい酒も飲めないサウジで陽気なメキシカンが生活に馴染めるかな?
第一試合はガンバ大阪対大連実徳。 大連こそ中国で最もサッカーの盛んな街と地元の人は豪語するが、外れてはいないらしい。 1989年横浜スタジアムで当時のJSLチーム、全日空が大連選抜と親善試合を行ったのと観戦に言った事がある。全日空には前田、モネールそして現五輪監督の反町がいた。大連市のある遼寧省からはこの年のワールドカップ予選には6人の代表選手を輩出していた。特徴は身長が高い事だった。そしてプレーが激しく、試合終盤にはモネール、ピッコリといったアルゼンチン選手と激しくやりあっていた。中国Cリーグ優勝8回を誇る大連実徳も特徴は体格とスピード。身長180cm以上の選手が並ぶ。それでも五輪代表候補の劉宇は8月7日北京で行われた日本との試合に備えて来日していなかった。その五輪チームの賣秀全監督はかつてこの日の対戦相手ガンバ大阪に所属していた。なんだか歴史と言うか巡り合わせを感じる。そして今年のAFCチャンピオンズリーグではこの両者は同じグループで対戦をしておりガンバはホームで勝ったが ( 3-0 ) アウェィでは破れている ( 0-2 ) そしてこのグループから準々決勝に進出したのは韓国の全北モータースだった。
試合は開始からガンバペース。左から家長、幡戸がチャンスを作る。7分にはアウベスがシュート、11分には遠藤のシュートがバーに当たるがいずれも左の崩しから。7月29日の2-2で引分けた福岡戦からDF宮本、MF加地のワールドカップ出場組それに二川が外れてベンチだ。その分ワールドカップで出番の無かった遠藤が張り切っているようだ。そしてあっさりと先制点がガンバに生まれた。ペナルティエリアからやや出た右サイドの位置で得たFKを家長が入れると山口智がドンピシャでヘディングしそのままゴール。大連のDF陣は全員が184cm以上だが177cmの山口にあっさりと合わされてしまった。更に2分後右サイドを家長が突破し上げたクロスにアウベスが頭で合わせて追加点。大連の選手の動きが悪いのか?ガンバの動きが早いのか?25分には遠藤のパスを受けた家長がダイレクトで中に入れて幡戸が頭で狙うがこれはGK正面。昨年のワールドユースでもいいプレーを見せた家長の今後に期待を抱かせる動きだ。でもU-21 の北京遠征には選ばれなくていいのかな?“ガンバの14番(家長)とのマッチアップを楽しみにしている”と大会プログラムに述べていた王聖は家長を捕まえ切れない。26分に大連はようやくFKからそのリバウンドを張耀坤がヘッドで狙い、ファミリー席に陣取った大連サポーターを沸かせた。張耀坤は4月のAFCチャンピオンズリーグのガンバ戦で得点を決めた選手だ。大連の先発メンバーはMF権磊以外は全て身長180cm以上。一方のガンバはシジクレイが187cmで他は180cm未満の選手ばかりだ。大連はもっと高さを生かせばと思うが、その前に起点となる選手が見当たらない。大連にもブルガリア人MFヤンコビッチ、セヴィリア人FWのバンテリッチといった外国人がおり、彼らはボールキープ力はあるのだがその後、他の選手の寄せや動きが皆無なのでそこから先に繋がらない。その後もガンバの攻勢は続き、27分にアグベスが速攻に入ると振り切られた趙旭日がたまらずジャージを引っ張りファウル。そのFKを遠藤が直接狙うがわずかにポストの上。34分には寺田からボールを受けた幡戸が俊足を生かしてドリブルシュートを放つなどガンバサポーター達の歓声があがるシーンが続く。かれらはこの試合のために関西から来たのかな?次の試合は見て帰るのかな?そしてそのままスコアは動かず前半が終わった。私はこの試合は第二試合でジェフのホーム側と自由席のバックスタンドで観戦していた。既に数十人のジェフサポーター達がこの試合を観戦しており、私の後ろには初老のおばぁさん2人組が熱心に試合を見ていた。訊けばジェフのサポーターらしく、同じ年代のお友達も後で合流するとの事。彼女達の選手達の見る目は“孫の活躍を見守る目”の様に見られ、これも地域密着をモットーとしたJリーグの理念が根付いたその結果かもしれない。ハーフタイム中に大連のサポーター達がこちらのゴール裏席に大挙してやって来た。そしてゴールの真後ろに陣取ろうとするのだがそこには先乗りで来ていたジェフのサポーター達数人がいた。そこで日本語を話す大連のサポーターと協議をし、ジェフサポーターのリーダーと思しき人が“この試合終了までここを大連のサポーターに使ってもらいますから場所を空けてください。彼らは試合後すみやかにここを空けてくれることを約束してくれました。”と拡声器で場所を一時譲る事を承諾した事、そして場所を空ける事を他のサポーター達に要請した。大連のサポーター達と黄色のレプリカを着たジェフのサポーター達が握手をしたり一緒に写真を撮影したりしている。すばらしい日中友好のシーンだ。大連サポーターに訊いたら半分くらいは大連からやってきた留学生で日本語も流暢だ。後ろのおばぁさん達も“場所を貸してあげるから次のジェフの試合には負けて貰う様にお願いしないと。”と笑いながら言っておられる。私はいつか中国の国内リーグを観戦したいと思っている。きっと多くの観客で地元チームのチャンスには独特の“うぉぉぉぉ~っ”と言う歓声が湧き上がるだろう。そんな雰囲気を見てみたいと思っていた。しかし、上海から来日している知人に訊くと“中国の国内リーグは一時八百長が横行しており多くの選手がそれに関わっていた。それに連座していた選手が今もプレーしている。だから試合を見に行く人は激減している”と教えてくれた。2年後の北京五輪のサッカーについても“選手達は自分を亀田の様に思っている。”と比喩する。それは“自分は何でも出来ると思っている。ボクシングからそれでもかまわないがサッカーはそうはいかない。だからばらばらだ。”と。選手達のコメントから聞こえてくる言葉の端々からそういうニュアンスが受け取れるのはさすがネィティブだ。これくらい中国語を私も理解できれば、もっと人生も開けてくるだろうに...... 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿