Mr.コンティのRising JAPAN

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Miracleeeee Jeeeeeets !!!!!!

2009-05-20 | Football Asia

5月5日夜、私はA-League のサイトを凝視していた。 ACL の第5節 Newcastle Jets 対北京国安戦の動向を見る為に。
せっかく AFC TV と契約をしたのに日本では ACL の試合はこれでは見られない。何の為に契約したのだろう…契約料は安かったけど…..

69分均衡が遂に敗れた。 先制したのはアウェーの北京国安。そして先制ゴールを決めたのは何とオーストラリア人ストライカーの Ryan Griffiths 。 中盤からの王珂のスルーパスに抜け出した Ryan Griffiths がLijubo Milicevic のマークを受ける前に放ったショットはGK Kennedy を破って Jets ゴールに突き刺さった。試合内容は圧倒的に Jets が押していた。ボール支配率だけを見てもここまで Jets 69 に北京は31 だった。それが football と言ってしまえばそれまでだけど….. 
 
                   

2008年2月。 Sydney の Aussie Football Stadium で Central Coast Mariners を Mark Bridge のゴールで1-0 で破り見事に A-League 王者に輝いた Newcastle Jets であったが Jets も Mariners も ACL の出場は翌々シーズンから1年以上待たねばならなかった。 2008年8月15日。 A-League の次のシーズンが開幕。 Jets の開幕戦は約半年前の Grand Final と同じ相手 Central Coast Mariners 。 先制を許しロスタイムに Joel Griffiths のゴールで何とか追い付いたがこのシーズンは Mark Bridge ら主力が抜けた事もあり戦力がダウン。 21試合の全日程を終えて4勝6分11敗。連勝が1回も無く最下位に沈んでしまった。 最終戦の Sydney FC 戦のピッチに立った前のシーズンの Grand Final のメンバーは Adam Griffiths , Ante Covic , Matt Thopmson, Jin-Hyung -Sun , Tarek Elrich そして Adam D’Apuzzo の6名のみであった。 Jade North, Joel Griffiths ら主力はシーズン中にチームを去って行った。それは球団経営の為に主力選手を中国や韓国のチームに売却せねばならないという A-League の深刻な問題の縮図でもあった。 

               

最下位に終わったシーズン終了から1ヵ月半後には ACL に臨まねばならなくなった。  Newcastle Jets の初戦は北京国安とのアウェーゲーム。 ここに一つの因縁がある。北京国安にはかつての Jets のエースストライカー Joel Griffiths が所属しているのだ。 Griffiths 3兄弟と言えば3人ともプロのサッカー選手であると言う事でオーストラリアサッカー界では有名である。Joel の2歳年下の Ryan が昨シーズンより北京国安でプレーしており,兄の Joel が追って入団をしたのだ。そして Joel の双子の兄弟である Adam Griffiths は Newcastle Jets 所属の選手だ。  
そして物議を醸しだしていたたのは Joel がこの試合でプレーするかどうかと言う事だった。 現在 Joel Griffiths は “貸出し”の形で Newcastle から北京に移籍しており契約では Newcastle Jets との試合には出場出来ない事になっているらしい。 
しかし3月10日北京で行われたこの試合には背番号29 を付けて背番号23 の弟 Ryan と共に先発出場。 Jets 関係者を驚かせた。 まぁ契約そのものが怪しかっただろうし、中国のチームが契約をきちんと履行するとも思えないが……..

この試合を 0-2 で落とした Jets はこのACL  Group E では完全なアウトサイダーと思われた。 しかし続く蔚山現代をホームに迎えた第二戦を A-League 終了後に Central Coast Mariners から獲得した Sasho Petrovski の2ゴールで快勝しアウェー、名古屋に乗り込んだグランパス戦をしぶとく 1-1 で引き分け決勝トーナメント進出の可能性が見えてきた。

4月22日、 Newcastle に名古屋グランパスエイトを迎えた 。この日の Jets のメンバーの中で昨シーズンの A-League でレギュラーであったのは Tarel Elrich, Ben Kantarovski, Adam Griffiths そして主将の Matt Thompson の4人。 Adam D’Apuzzo そして Milicevic Ljubo が累積警告で出場停止。 若いFW Broodie Mooy そして A-League 終了後に獲得した元 Adelaide United の主将 Angelo Constanzo 膝の怪我から復帰した Jason Hoffman らを加えたメンバーで臨んだ。 
試合は立ち上がり前節引き分けた事により自信を掴んだ Jets が主導権を握る。 名古屋でのグランパス戦では出場出来なかったイタリア人 FW Vignaroli Fabio が素晴らしいFKを連発するが Constanzo のヘッドはゴールを捉えられない。
名古屋の Magnam と Jets の Fabio がキープレーヤーと思われたが32分には共に怪我の為にピッチから姿を消す。 特にこの ACL から入団したかつて Lazio 等でもプレーをした Fabio は故障を抱えているみたいで前節の名古屋遠征には帯同していなかった。今シーズンの A-League ではどれだけ万全のコンディションで臨めるか首脳陣は心配だろう。 
50分に Davi のクロスをキャッチしようと果敢に飛び出した GK Kennedy であったがバランスを崩しボールに触れなかったが好運にもボールはゴールポストをそれて行った。
そして57分 Thompson のパスが主審の踵に当たりコースが替った所を拾われカウンターを許し、杉本のクロスから小川が Kennedy の左を破るショットを放ちアウェーの名古屋が先制ゴールを挙げた。 
59分に Jets ベンチは Donny De Groot, Hoffma を下げて Sean Rooney, Sasho Petrovski を投入しまず同点を狙う。 そして78分 Petrovski がエリア内の右サイドに侵入。 Bajalica Milos がマークに入ると Petrovski は転倒。すると UAE 人の Ali Hamad Madhad 主審は迷わずペナルティースポットを指した。Milos は右手人差し指を左右に振って抗議するが判定は変わらない。スタンドからは大歓声が沸く。 Petrovski が自らボールをセットしそのPKを蹴るが日本代表GK楢崎が左に倒れこんでセーブ。 8492 人集まった Energy Australia からは失望の声が漏れた。 
それでも引き分ければまだまだ上位2以内に入れる可能性は大いに残されている。 ロングボールを放り込み必死に名古屋ゴールに迫るがそこは J-League で優勝を争うグランパスDFライン。その後ろには更に鉄壁の代表正GK 楢崎が控えている。 結局無得点のまま試合終了のホイッスルを迎える事となった。

                   

しかしまだ彼らに好運はあった。 北京国安がアウェーで蔚山現代に敗れ2位以内の可能性がまだまだ残されたのだ。しかもこの試合で Joel Griffiths が警告を受け累積警告で次戦の Jets 戦には出場が出来なくなったのだ。第4節を終えての勝敗表は下記の通りだった。

名古屋グランパス 4 2 2 0 5 2 +3 8
蔚山現代            4 2 0 2 3 5 -2 6
北京国安            4 1 1 2 2 2 +0 4
Newcastle Jets   4 1 1 2 3 4 -1 4

Joel Grifiths についてはその後の中国超級の山東魯能戦で相手選手に肘を入れ5試合出場停止となってしまったらしい。  Joel は実直なプロ選手だ。 相手選手をわざと傷つける様な選手ではない 北京国安の韓国人 Lee Jong  Soo 監督は彼をかばったのだが.....

" 我々は ACL の数ゲームを戦い相手にプレッシャーを与えプレスをかけピッチ上で優位に立つ事がゲームをコントロールする上で重要だという事を解かっている。 と同時に我々は規律を失わず能力以上の約束事で拘束をせず我々にはまだ次のラウンドに進む可能性があるという確信を持つ事がこのゲームへのアプローチだ。"

Newcastle Jets の Gary van Egmond 監督は次の北京国安戦に向けて攻撃サッカーを示唆した。
“彼ら(北京国安)が容易に主導権を渡すとは考えられない。 しかし先制ゴールがゲームを左右するだろう。そしてファンを沸かせる試合になるだろう。何故ならこのゲームは両チームとも勝利が必要であるからだ。 前にも言ったが多くのアウェーチームがそうである様に忍耐強く守備的に臨んでくるであろう。それを破るのは我々次第だ。 ”

北京戦はイタリア人FWの Fabio Vignoroli が怪我で使えない。 替りに Jobe Wheelhouse が起用されると思われる。
“セットプレーは我々を優位にするところだ。 この条件かでは我々は前に見たとおり重要なプレーとなる。 トレーニングでも Job のFK は良かった。もし彼が起用されたのなら FK を蹴る事となるだろう。 そしてエリアを制圧出来ればサイドの選手が重要となる。 それは左右のMFだけでなく、両サイドバックの選手達も攻撃にからみ、エリア内にクロスを入れ北京に対して優位に立てる空中戦を使う事だ”

このゲームは出場停止だった Ljubo Milcevic そして Adam D’Apuzzo が出場可能となる。
“この二人はフィジカルだけでなく質の高いプレーもする。 そして彼らはリーダーシップも発揮してくれる。名古屋戦の後半はこう言う選手が絶対的に必要であった。 彼ら二人がこのゲームに出場出きる様になり嬉しい。”

また Van Egmond 監督は北京国安の役員達がピッチの状態に着いて公式にクレームした事に就いても言及。
“我々はまさにフラットなピッチの上でプレーしようとしている。問題では無い。雨が降ろうが風が吹こうがピッチがどうであろうが、もし望みの条件でなければそれに合わさねばならない。 しかし現実的にここは勝たねばならない2チームが集う。濡れていようがピッチが荒れていようが共にそれに順応し勝たねばならない。 

                  

この試合のスタメンは北京で行われた試合から Jets が3人、北京国安が5人メンバーが替った。北京はけが人が続出ししかも Joel Griffiths が累積警告で出場できない苦しい台所事情。試合開始からホームの Jets が主導権を握る。 18分には相手DF二人をかわして放ったショットはゴールポスト右にわずかに外れる。 その直後には Jason Hoffman が Jobe Wheelhouse のクロスからヘッドを放つが GK 杨智がクリアー。 すると27分北京国安はカウンターから闫相闯 が低いライナーのシュートを放つがここは GK Kennedy がセーブ。 30分には Petrovski からのクロスを受けた Hoffman が北京国安のDF William Modibo のタックルをかわしてシュートに持ち込むが前に出て来た GK杨智 がブロック。前半を終えてJets のボール支配率は60% を越えていたが先制ゴールは上げられなかった。

後半に入り北京国安はやや攻撃に転じる時間が増えた。50分 MF闫相闯 が郭輝からボールを受け Nikolai Topor Stanley をかわして放ったショットはサイドネットを直撃した。 その後は再び Jets が攻勢に出るがゴールは奪えない。そして69分それまで圧倒的に押されていた北京国安がかつての Jets のエースであった Joel Griffiths の弟 Ryan Griffiths にゴールを決められリードを許した。 

                        

Jets ベン氏は70分に Mooy Broodie をオランダ人 MF De Groot Adrinus に替えてそして76分に Wheelhouse に替えて Kaz Phonek を81分には遂に Mathew Thompson を下げて Rooney Sean をピッチに送り同点そして逆転を狙う。82分には Adam Griffiths がイエローカードを貰いこれで累積警告の為に最終戦の蔚山現代戦は出られなくなった。 

しかしAdam Griffiths は次の試合の事等は考えていなかっただろう。 そして88分遂に Jets が同点に追い付く。  Petorvski が右サイドを突破し更に右サイドを上がった Tarek Elrich にボールを送り自分は中に切れ込む。 そして Elrich から挙げられたクロスをボレーで北京国安ゴールに叩き込んだ。 
大歓声があがる Stadium 。しかし同点ではまだ不十分だ。北京国安も必死の守り。91分には Adam Griffiths が警告を受ける。試合はロスタイム4分を過ぎようとしこのまま終わりかと思われたその瞬間、左からのクロスを中央で受けた Milicevic が右にいた Rooney にボールを出すとそのまま Rooney は左足を振り抜く。アナウンサーが Roooneyyyyy と叫ぶと弾道はゴールネットを直撃し遂に試合をひっくり返した。


                             

狂喜乱舞する観客席と Jets ベンチ。 誰がこう言う筋書きを想像できたであろうか?キックオフの直後にホイッスルが鳴り地獄から生き返った Jets がベスト16入りに前進し、わずか6分前までリードを保っていた北京国安の Group Stage 敗退が決まってしまった。  Unbelievable を連発するアナウンサー。 世界の Football World では Rooney と言えば Manchester United のWayne Rooney を想像するだろうが、 おそらくここしばらくはこのオーストラリア大陸の最大都市シドニーから少し離れた小さな街 Newcastle では Jets の Rooney Sean が語られる事だろう…. 


                        

北京国安 Lee Jong Soo 監督 
この結果には失望している。しかし選手達には満足している。 彼らは全力を尽くした。そしてゲームの間中は最高のパフォーマンスを見せた。前半は何人かの選手達は自信無げにプレーしていた。特にボールコントロールにおいては。 ハーフタイムでは選手達に自信をもてそしてもっと攻撃に専念するようにアドヴァイスをした。 そして彼らはその様にした。しかし ACL と中国超級との掛け持ちは選手達を疲弊させた。

Newcastle Jets  Gray van Egmond 監督
このチームには素晴らしい役者達が何人かいる。 前節の名古屋戦ではこの試合に勝てる、加藤とする選手がいなかった。この日はもっと厳しい状況下にありながら先制を許し逆転勝利を収めた事は有形の財産となった。私はただ本当にハッピーだ。そして彼らが見せた役回りも残った ACL のゲームそして A-League の新シーズンに向けてより改善されるであろ。 まさに地獄からよみがえった Jets その試合は本当にミラクルであった。次節アウェーだが蔚山現代と引き分け以上でグループ2位が決まり決勝トーナメントの1回戦は川崎フロンターレと当たる可能性が出て来た。もしそうなればまた日豪対決が見られる….. と思ったが ACL Group Stage 最終節で川崎フロンターレは浦項スティーラーズに 0-2 で敗れ、 Jets が勝ち抜いた時の相手が川崎だったがこれで等々力競技場での Jets 戦は無くなってしまった。 最終節、 Jets はアウェーでの蔚山現代との対決。引き分け以上で Jets の勝ち抜けが決まるのだが…. 兎に角奇跡が再び起こる事を願う……

名古屋グランパス 5 3 2 0 9 3 +6 11
Newcastle Jets   5 2 1 2 5 5 -0  7
蔚山現代            5 2 0 3 4 9 -5  6
北京国安            5 1 1 3 3 4 -1  4



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