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近所を歩く、遠くの町を歩く、見たこと食べたこと、感じたことを思いつくままに・・・。おじさんのひとりごと

成瀬巳喜男の『めし』で原節子を観る・・・その7 怒りの信三

2013年09月12日 | 原節子
先日の続きです。

東京へ行くと云って大阪を出て来た三千代ですが、実は実家は東京ではなく、神奈川県の横浜市だったのです。それも、横浜市の外れですぐ隣は川崎市なのでした。

それで、横浜市にある南武線の矢向駅近くにある、今は母と妹夫婦が営む洋品店に里帰りしたのです。その辺の話しは、「その2」で書いたのですが、「その3」以降、話しが前後し、いろいろと、とっちらかってしまいました。

それで、実家に滞在して、どの位?日数が経過したのかは、画面からは判り辛いのですが、推測としては、2、3日と云う様子ではなく、4、5日? いや、一週間は過ぎていると思います。

横浜の実家に戻り、それなりに現実の厳しさをい知り、夫、初之輔に、反省?を込めた手紙を書き、しかし、自分から折れる事には納得出来ず、迷いに迷って投函を直前で断念。

そんな処に、あのお騒がせ娘の里子が転がり込み、そして物語は動き出すのです。


里子は、
「今夜はここに泊めて頂く」
「映画観て遅くなったって、世田谷へ帰った方が早かったんじゃないの」
「お父様に叱られちゃたの、今朝、大阪の芳太郎さんから手紙が来たのよ、男名前の手紙が来たと云うだけで、不良あつかいなんですもの、ヤケ起こしたくなっちゃう」

ここで、妹の婿さん信三が、
「里子さんがヤケ起こしたところで、この世の中、ビクともするもんじゃ無いな」
「わたし世の中をビックリさせようと思ってヤケ起こしてるんじゃ無いわ」
「そりゃ~、そうだ、無闇に起こされちゃ傍が迷惑だ」
「じゃ、私ここに泊まっちゃいけませんの」

止めに入る三千代、妹の婿さんは、さらに厳しい一言、
「だけど、感情をベタつかせて、他人に無意識に迷惑を掛ける人間は大嫌いだな」
「感情をベタつかせるって、どんなこと」
「里子ちゃん、失礼よ、そんな口の利き方」
「失礼なのは、信三さんよ、寂しかったから、何処へ行くあてが無かったから、ここえ来たんだわ」
「だから、みんな、丁重に扱ってますよ」
「わたし、これから世田谷へ帰ります」
母親が割って入って
「何ですかね、信三さん、娘さんに少し乱暴ですよ」
「僕は親切で云ってるつもりなんですがね、言い過ぎならば誤ります」

三千代は、信三の発言を明らかに、自分にも向けられている、と思うのでした。

その場は収まり、母、三千代、里子の三人が一部屋で一緒に寝ることに、母と妹が押し入れから布団を出そうとすると、信三からトドメの一言、

「布団ぐらい、女の人達なんだから敷けるでしょ、お母さんがする事ありません、お母さんも、光子も、一日働いているんですから、泊まりたい人は自分で布団を敷くことです」

この一言に、母も、妹も、


三千代も、里子も、ビックリ、呆然。


慌てて、布団を敷く三千代と里子。


信三の言葉に、結婚とか、夫婦とか、女の幸福とか、夢や希望とか、不満とか、迷いとか、そろそろ結論を出すタイムリミットが近づいた感じ、自分なりの答えを出そうと。


それにしても、信三さん、婿養子にしては、なかなか強気です。「里子さんがヤケ起こしたところで、この世の中、ビクともするもんじゃ無いな」は、かなり、嫌みな発言です。

信三の怒りは、明らかに、実家に帰って来て、ブラブラしている三千代へ向けられたものです。里子は翌朝にでも帰るが、いつ帰るのか分からない三千代。夫の立場として許せないのです。

三千代も、大阪での里子と、実家での自分が、あまり変わらない存在と、あれっ?もしかして?と気付いたのです。でも、しかし、だからと云って、このまま、自分の方から折れていくのは・・・、それでは、とても、気持ちが収まらないのです。

それなりの手紙をよこすとか、迎えに来るとか、夫、新之輔が何らかの行動を起こすべきだと、でも、この状態が長期化すると、お互いが引くに引けなくなるし・・・・・・。

前回、次回でお終いと書きましたが、またも、ダラダラ書き散らしてしまいました。後は、どうなる事やら、成り行きに任せる事にします。

それでは、また。





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