本日、BSプレミアムで放送された「キャパが愛した三人の女」を録画で観ました。
見つめました、黙りました、固まりました、考えました。
見終わって、小さく、長く、静かに、ため息をもらしました。
ロバート・キャパ、スペイン内戦、日中戦争、第二次大戦、第一次中東戦争、最期は1954年5月25日、第一次インドシナ戦争に従軍、戦場で地雷により爆死、享年40歳。
キャパは、それなりに知っていたのですが、以前、NHKスペシャルで放送された、“崩れ落ちる兵士”
の“謎解き”ドキュメンタリー以来、彼のことが、とても気になっていました。
「崩れ落ちる兵士の謎解き」と「キャパが愛した三人の女」この二つの番組をつなげて観ると、それなりに、キャパに近づいた気がしてくるのです。
結論を言ってしまえば、タイトルにあるように、ロバート・キャパは、恋人ゲルダが創り上げた写真家なのだと思いました。そして、そのことを“アンドレ”は生涯ひきずって生きたのです。
20歳の男“アンドレ・フリードマン”と
24歳の女“ゲルタ・ポホリレ”
ともにユダヤ人の二人。戦争の時代、パリで巡り会い、愛し合い、写真家として成功することを夢見て“ロバート・キャパ”を創ったのです。
キャパになった“アンドレ”
ゲルダ・タローになった“ポホリレ”、プロデューサーは年上の女ゲルダです。因みに“タロー”は当時パリに居てアンドレと親交のあった“あの芸術は爆発だぁ!の岡本太郎”からとったそうです。
“Nスペ”では、戦場カメラマンのキャパが描かれ、“三人の女”では、キャパの恋が描かれ、どちらにも、背後に、深く、重く、“ゲルタ・ポホリレ”の存在を感じさせるのでした。
キャパは、生涯、ゲルダを忘れることなく愛し続けていたと、たぶん、アンドレにとって、ゲルダが“初めて”の“女”だったのです。
“Nスペ”での、“崩れ落ちる兵士”は、戦闘中に銃撃を受けた瞬間ではなく、演習中に脚を滑らせ転んだ瞬間で、撮影はキャパではなくゲルダだったとの結論でした。
でも、しかし、“崩れ落ちる兵士”は反ファシズムの象徴となり、生涯キャパは、“二重の偽り”と、“ゲルダへの愛”との狭間に苦しんでいたと・・・・・・思うのです。
それで、あの大女優“イングリッド・バーグマン”との恋なのです。
大戦直後のパリ、大女優と著名なカメラマンとの恋、バーグマンは一夜にしてキャパに恋してしまい、キャパは断ったのですが、プロポーズまでされたそうです。まったく知りませんでした。
キャパは、かなり、かなり、女性に“もてた”そうで、口説くこともなく、自然に振る舞っているだけで、女性はみんなキャパに恋してしまったそうです。
何故、どうして、大女優まで虜にするほどの魅力が? そして、恋はしても、決して結婚はしなかったのか?
答えは、“二重の偽り”と“ゲルダへの愛”が、そうさせたと思います。
戦場での恐怖と緊張、戦場を離れての酒と女。
地位も、名誉も、金も、愛も、そして、命さえも、欲することなく生きる。
“二重の偽り”と“ゲルダへの愛”、苦しみを抱きつつ、苦しみから逃れつつ、今を生きるキャパ。
こんな、思惑も、打算も、駆け引きもなく、自然に明るく振る舞う男を、女は放って置く筈はないのです。男から見ても魅力的に映ります。
キャパ自身、そんな自分を離れた位置から眺め楽しんでいたのかも?
キャパは、戦場で悲劇的な最期を予想し、そして、その事で、過去の苦しみから解き放たれ、ゲルダへの愛が結実すると、そう思い続けていたのかも知れません。
戦争の時代の、悲劇的で、劇的で、そして、最期は、見方によっては、とても、とても、ハッピーな終わり方だったのかも?
戦争の時代は、魔力的で、魅力的で、濃密で、ドラマチックで、だから、とても、とても、恐ろしく危険なのです。
それなりに満たされた人間は、こころの片隅に、不幸願望を抱いているような、でも、しかし、現実に不幸になると、それは、それで耐えられないのです。
まあ、そんな、あれや、これやを「キャパが愛した3人の女」を観て思ったのでした。
それで、更新は大型連休でお休みと記したばかりですが、見終わって直ぐに感想を書き綴らないと忘れてしまうのと、区切りとして書かないと、次の録画番組が見られないので、こんな結果になりました。
これまで録画した番組がかなり溜まっているので、もしかしたら、また、更新したりするかも? まぁ、何たって、その時の気分次第なのです。
それにしても、キャパは魅力的でした。
そして、“愛した女”の番組進行の若き女性カメラマンも魅力的でした。
恋人もカメラマンで、キャパとゲルダに似ているのです。でも、二人は戦場カメラマンではありません。
それでは、また。
最新の画像[もっと見る]
- 姫路旅行の航空券・ホテルの予約をしました! 航空券のネット予約は不安がいっぱい! 3週間前
- 高齢者講習・認知機能検査は無事合格 ! 1ヶ月前
- ボケ防止に! 何処か遠くへ! 旅に出よう! 行くぞ! 待ってろ! 姫路城! 1ヶ月前
- 『百万本のバラ物語』で "加藤登紀子" で "ほろ酔いコンサート" で!ほろ苦い想いで! 3ヶ月前
- 都知事選は石丸伸二君が勝ちました ! 蓮舫君は賞味期限切れ ! 4ヶ月前
- "光る君 へ" ⑯ 伊周一派の追放は詮子と倫子の謀略でした! 女が時代を動かしていた ! 5ヶ月前
- "光る君 へ" ⑯ 伊周一派の追放は詮子と倫子の謀略でした! 女が時代を動かしていた ! 5ヶ月前
- "光る君 へ" ⑯ 伊周一派の追放は詮子と倫子の謀略でした! 女が時代を動かしていた ! 5ヶ月前
- 小池百合子さん都知事選の三選出馬 は断念します ! 5ヶ月前
- " 光る君 へ" ⑮ 清少納言で " ファーストサマーウィカ " は全国区 ! そして大の里優勝 ! 5ヶ月前
「テレビの話し」カテゴリの最新記事
- 『珈琲屋の人々』最終回 ⑤ ささやかな幸福?・・・ラストはこの世とあの世を結ぶ桜の...
- 「珈琲屋の人々」④-2 スケート場って何処に?原作者 池永陽のノスタルジー?
- 「珈琲屋の人々④ 大切なひと」知っていながら知らないふりの冬子!
- 「珈琲屋の人々 ③ 恋までの距離」顔立ちが不幸を連想させる?木村多江!
- 「珈琲屋の人々」②ー2 変わる?変える?変わって見える?それでも冬子の旦那はワ...
- 「珈琲屋の人々 ② ひとりじゃない!」 尾張屋はそば屋で!和菓子屋は伊勢屋!変わ...
- 「珈琲屋の人々」① 殺人犯は善人!被害者は悪人!人は触れあう相手によって変わる!
- 松本清張「天城越え」!川端康成「伊豆の踊子」!対立の構図!
- スカーレット!そろそろ舞台を信楽に移せ!
- それでムロツヨシで!古田新太で!田中圭!なかなかやねじゃん!で『Iターン』の...