歩く・見る・食べる・そして少し考える・・・

近所を歩く、遠くの町を歩く、見たこと食べたこと、感じたことを思いつくままに・・・。おじさんのひとりごと

“15歳の志願兵” ① 後の祭りで夏川結衣

2010年09月03日 | テレビの話し
このドラマだけは、以前に録りだめしていたものではなく、8月15日に“NHKスペシャル終戦特集ドラマ”として放送されたものを録画し、数日後の深夜に観たのです。こういうドラマは、やはり、深夜に観た方がよいのです。

このドラマは“全国屈指の進学校・旧制愛知一中”であった実話に基づいているそうで、原作本は「積乱雲の彼方に」、著者はこのドラマで描かれる昭和18年の「総決起事件」に3年生の時15歳で遭遇した当事者だそうです。

ドラマの内容・制作意図についてはNHKのHPから転載します。

   ※太平洋戦争末期、昭和18年(1943年)7月5日。愛知一中の決起集会で、
    全校生徒700人が戦争に行くことを決めた。エリート中学生のこの決断は
    大々的に報道され、全国の少年たちの心を戦場へと突き動かした。だが
    その裏には、中学生を戦場に送ることによって兵士不足を解消したい軍部
    の思惑があった。
    軍部が学校に圧力をかけ、中学生を「軍国少年」に変えていった真実が今、
    明らかになる。
    戦争に飲み込まれていく少年たちの青春、夢や友情、そして、少年たちを
    戦場へ送らざるを得なかった教師や親達の苦悩や葛藤、時代に翻弄されて
    いく人間たちを鮮烈に、詩情豊かに描いていく。
    戦後65年目を迎える2010年のNHKスペシャル終戦特集ドラマ。


少年達は時代に翻弄され、“祖国と大君”のため、自らの夢を捨て、命を捧げた、尊くも、悲しい“犠牲者”だと思います。

戦争の時代は、彼らの親の世代がつくったものであり、彼らの意志で選択した訳ではありません。そこが、とても、とても、悲しいのです。

戦場に我が子を送り出し、涙した親たちは、その責任をどこに向けているのか、政府に、軍部に、国家体制に、抽象的な時代の流れに・・・・・・で、いいのでしょうか?

それで、ドラマですが、冒頭に主役の少年(作者の友人)の口から、

“日本軍はいつまでも日露戦争の白兵突撃の勝利に拘らず、今こそ長い歴史に学ぶべき“と云わせているのです。

このあたりの話は、これまで見たり聞いたりした、当時の軍国少年とは、かなり異なっていたのです。やはり、かなりのエリートなのです。

決起集会で、卒業生である配属将校が、

・・・・・・「米国の学徒すらも戦っている時に、安閑と教科書を開いていてよいのか!

鬼畜米英に対して誇れるものは質である、物量に対して質的優位である!

大本営発表に対して懐疑心を抱く者に、君に敵に勝つ方策があるか問いたい、答えられない知識であれば、そんなものは迷信と同じだ、そのような知識で敵を倒すことはできない、国を救うことはできない!

国家なくして個人の学識など何の役にもたたない!

祖国の窮状を救わんが為、決戦の空へ、地へ、海へ向かうものである、潔く散りゆくものである死して悠久の大義に生きるものである!

日本人の誇りは我々の死に方にこそある、それを日本人の精神と呼ばなくともよい、一中の精神でよい、生まれた家の、己の精神でよい!

今こそ、各々の名刀という精神を研き、皆で忠国の道を志し、軍神の大義に徹しなければならない、敵に遅れをとってはならない! 急げッ! 起てッ! 愛知一中の学徒諸君よッ!」・・・・・・

これは、もう、四の五の言っている状況ではないのです。状況は今更なのです。生徒の心は揺さぶられます、起ち上がらない訳にはいきません。

私が、もし、その場に居たら、もう直ぐに起ち上がり、身を震わせ、拳を振りあげ、鬼畜米英に戦いを挑む決意を大声で叫んだかも・・・・・・。

だから、怖いのです、どうにも、こうにも、ならないのです。あの頃、あのような場で、面と向かって配属将校のアジテーションに反論することなど、ふつうの人は考えないし、考えたとしてもできないのです。

“おかしいなァ? 何か変だなァ?”と、みんなが思っていても、世の中は、表面的には何も、“おかしくも、変でもなく”回っていくのです。

後で、“おかしかった、変だった”と気が付いたとしても、もう、それは、後の祭りなのです。 

それで、夏川結衣ですが、最近、とても、いいおんな、いい女優に、なりました。


夫を、息子を、戦場に送り出し亡くし、たったひとり残された母親役、とてもよかったです。


「遠回りの雨」以来、とても、とても、気になるのです。1968年の生まれですから、今年で42歳でしようか、これからがとても楽しみです。


長くなったので、ここで一旦おわりにします、次回に続きます。


それでは、また来週。

コメント
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