鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその1331~トットてれび

2017-03-01 12:14:23 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、トットてれびです。

やっと「トットてれび」全話を観ることができました。
本放送は、リフォーム工事による仮住まいのため、途中までしか観ることができず、残念に思っていました。
DVDが出てからはチャンネル権が無いため、スキを見て、まさにやっと観ることができたのでした。
・・・、そんな話はどうでもいい。
とにかく面白かったですねぇ。
まさか他局の「徹子の部屋」や「ザ・ベストテン」のセットをそっくりそのままに作って、ドラマの舞台にしてしまうとは思いませんでした。
脚本やキャスティングも、黒柳徹子から見たテレビ創成期を見事に表現していて素晴らしかったです。
やるね、NHK。

特に後半の、向田邦子・渥美清・森繁久彌との交流エピソードは最高でした。
ドラマで向田邦子を演じていたミムラが美しくて、知的で・・・。
とにかくとても魅力的でした。
一年前に読んでいる途中で紛失した「父の詫び状」が先日見つかってからは、ミムラをイメージしながら読みました。
向田さんは、とにかく文章がうまいですね。
その後も「思い出トランプ」を読み、今は「霊長類ヒト科動物図鑑」を読んでいます。

今年そば屋で読んだ雑誌に掲載されていた黒柳と向田和子(邦子の妹)の対談にあった、「毎日のように、ではなく、本当に毎日、向田の家に入り浸っていた」というエピソードがドラマにも登場していました。
その中で向田の美しい肖像写真が一瞬登場しますが、あれを撮影したのは向田が愛したプロカメラマンであり、黒柳が入り浸っていたころは、彼が亡くなった傷心の時期であり、随分姉は救われたと思う、と和子は述べていました。
それを知ってから観たため、あのワンシーンの重要さを強く感じました。

大切なおにいちゃん・渥美清との別れ。
丁寧に作られていて、素敵なシーンの連続でした。
体調の悪い渥美清を爆笑させた黒柳の天然ぶり、今でも大物ぶらずに天然ぶりを発揮しているので、誰もが想像できます。
「おじょうさんはバカですね」といいつつ、上機嫌で旅立ったであろう渥美の姿が想像できました。

老いた森繁久彌を「徹子の部屋」の収録を止めさせて、叱りつけたシーンには驚かされました。
「テレビジョンは楽しくなくてはなりません」
きっぱり言い切ります。
それに応えて「知床旅情」を静かに歌い上げる森繁。
台本で涙を隠しながら番組を進行する徹子。
実に感動的なシーンでした。
森繁の老いを理解しながらも、プロとしての底力を引き出させた、黒柳のプロ根性。
テレビジョンを楽しく見せることに、彼女がどれほど真剣に取り組んでいるかを理解しました。

テレビ創成期に「まっ白」な徹子を採用したNHKプロデューサーの慧眼に敬服します。
大物俳優も、浅草の芸人も、ど素人徹子も、みんなテレビ1年生でした。
そんな人たちと同期として堂々と渡り合った徹子。
これ以上「生き字引」という言葉が似合う人はいないのではないでしょうか?
それなのに大物ぶらない徹子さんを改めて見直しました。

「トットてれび」は、テレビ界のお宝ドラマだと思います。
創成期を知る人も知らない人も、興味深くかつ面白く観ることができたと思います。
実在の有名人物を演じた役者たちは、プレッシャーに押しつぶされそうになりながら演じたようです。
黒柳と満島ひかりの対談がDVDに入っていました。
キャスティングの段階で役者たちが、自分には無理と一度は断ったそう。
観ている方は面白がったり感動したりしていましたが、役者たちは大変な思いをしていたのですね。
原作、脚本、キャスティングが見事。
そしてブロデューサー、ディレクター、役者の制作に臨む姿勢が見事。
テレビ屋の先輩を敬う気持ちが具現化した、そういうドラマだったと思います。


コメント
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