鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

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お気に入りその1851~鬼平犯科帳パート113

2019-11-04 12:20:51 | 鬼平
今回のお気に入りは、鬼平犯科帳パート113です。

大のお気に入りの鬼平犯科帳。
今回は第8巻です。

「用心棒」
見かけは強そうだが実は弱い軍兵衛が商家の用心棒の職を得ます。
盗賊の襲撃を受けますが、平蔵の活躍で用心棒家業を続けることができるようになります。
平蔵が「1年も通えば強くなる」と剣術道場通いを命ずるところであっさり物語は終わります。
多少物足りないエンディングですが、それは続編への布石。
再登場を楽しみにしています。
軍兵衛が用心棒の職を得たのも、平蔵からチャンスを与えられたのも、その真っ直ぐな性分が見込まれたからです。
彼は同僚に罪を着せられ藩を追放されたにもかかわらず、大きく道を踏み外さずに生きてきました。
逆境に直面したときにその人の真価が問われることや、道を踏み外さずに生きる者にしか助力を申し出る者は現れないということでしょう。

「あきれた奴」
平蔵があきれるほどの豪胆な部下が登場します。
捕らえた賊を自身の判断で逃がし、賊の仲間を追わせたのです。
もし逃がした賊が戻らなければ自身が腹を切らなくてはなりません。
部下の本気が賊をも本気にしたということでしょうが、そこまで人を信じることができるでしょうか?
自分には無理かな・・・。

「明神の次郎吉」
人は悪いことも良いこともするものである。
ということを地で行く次郎吉。
人を殺めない本格の盗賊を続けながら、困っている人を助けずにはいられません。
旅の途中で斃れた僧侶を看取り、遺品の届け先を訪ねるところから物語は始まります。
次郎吉の人柄を知るおまさが平蔵に目で訴えるシーン。
平蔵が「おまさに愛想をつかれるようなことをしたことは一度もなかったはずだぜ」と返すとことはしびれます。
事件解決後は「遠島の中でもより軽い刑を処せられるであろう」。
「情けは人の為ならず」という言葉通り、善行は誰かが見ていて、思わぬところから助力があるという良い例でしょう。

「流星」
内容を知っているだけに読み始めるのが辛い物語です。
盗賊改メの家族が刺客に斬殺される凶行が続きます。
恨みを持つ者が平蔵を苦しめる策に出たのです。
自衛を強めると見回りが弱くなるというジレンマにも悩まされますが、京極様の心配りで自衛には他の組が派遣されます。
そして小さなほころびから平蔵の大逆転が始まります。
刺客2人は、平蔵に返り討ちに合いますが、とどめを刺してもらえず、苦しみぬいて死にます。
卑劣な手段を使った者への残酷なまでの仕打ち。
それは仲間や家族を奪われた者たちの気持ちを汲んでのことであるとともに盗賊どもへの見せしめでした。
葵小僧を取り調べせずに成敗したときと同じで、これも一種の大岡裁きといえましょう。

「白と黒」


「あきらめきれずに」
ついに左馬之助が女房をもらいます。
その女は、男に見初められ駆け落ちしたが、男が盗賊と知り、逃げ戻った女でした。
あの真っ直ぐな男は、訳を知りつつ何も言わずに受け入れるでしょうから、まさに適任。

さて一念発起して読み始めた割にはサラサラ読み進み、気が付けば1/3を読み終えていました。
そんなに重く考えず、思い立ったときに読み返していいのだ、ということが判りました。
これからも“人とは”とか“人の世とは”などについて繰り返し学びたいと思います。

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