
樫の木の上でアテナとアポロンの2神が話し合っている。今日は両軍を休ませよう、と。
その神意がトロイアの予言者ヘレノスに伝わり、彼がヘクトルに進言する。禿鷲の姿となって見護るアテナとアポロン。
ヘクトルがギリシア軍に申し出る。ギリシア一の勇士よ、私に戦いを挑んでもらいたい!
けれども、シーン…… ギリシアの武将たちは誰もが勇将ヘクトルを怖れて、名乗り出ない。
老将ネストルが味方の不甲斐なさを嘆いて、激しく叱責した。情けない! 私の若かった頃はこんなではなかった! なら年寄りの私が戦うまでだ!
ネストルというのは、人間3世代分の長命を与えられた老人で、海神ポセイドンを祖父に持ち、その昔にはイアソン率いるアルゴー船の遠征にも参加した英雄。今では老いさばらえ、戦士として戦うことはできないにも関わらず、トロイア戦争には息子アンティロコスとともに参戦、長老としてアガメムノンを補佐した。
このネストル老人、何かにつけて、儂の若かった頃は……と過去の武勲の自慢話を始める。このときも昔話を持ち出して説教したのだが、するとさすがに、武勇の諸将らが名乗りを挙げて立ち上がった。
で、籤を引くと、アキレウスに次ぐギリシアの英雄、巨漢の大アイアスに決まる。
ヘクトルと大アイアス、槍で突き、楯で防ぐの一騎打ち。勝負がつかないまま日没を迎え、勝敗は引き分けに終わった。
両将は互いに武勇を称え合い、武具を交換して別れ、自陣へと戻る。後に大アイアスが自害したのは、このときヘクトルから受け取った剣によってだった。
To be continued...
画像は、フェッラーリ「ヘクトルとアンドロマケの別れ」。
ルカ・フェッラーリ(Luca Ferrari, 1605-1654, Italian)
Previous / Next
Bear's Paw -ギリシャ神話あれこれ-