ギリシャ神話あれこれ:オデュッセウス帰還-魔女キルケ(続)

 
 オデュッセウスは剣と弓矢を携えて、エウリュロコスに案内するよう言う。が、エウリュロコスのほうはすっかり怖気づいて、仲間を見捨てて島を出よう、とオデュッセウスを掻き口説く。
 やむをえん。オデュッセウスは一人、キルケの館へと向かう。その途中……

 伝令神ヘルメスが現われて、キルケの妖術に対する助言と、魔除けの薬草をオデュッセウスに与えてくれる。
 キルケの館に着くと、キルケは先の一隊と同じようにオデュッセウスを招き入れ、薬入りの黄金の杯を勧める。そして、オデュッセウスがそれを一気に飲み干すのを待って、杖で叩く。さあ、豚になって仲間と一緒に豚小屋で寝ておいで!

 が、魔除けの薬草のおかげで魔法は効かない。オデュッセウスは素早く剣を抜き放ち、キルケに踊りかかって突きつける。キルケはオデュッセウスの足許にひれ伏し、膝にすがりつきながら、涙を流して誘惑してくる。
 私の魔法を破ったとなれば、あなたはオデュッセウスに違いない。あなたをもてなすよう、ヘルメス神に言われている。さあ、寝台へおいでなさい。

 ここは、仲間を解放するためにも拒むわけにはいかない。だが、裸になって、無防備なところへ男の精気を抜かれるのも困る。
 オデュッセウスはヘルメス神の助言のとおりに、二度と自分に危害を加えないと、キルケに誓いを立てさせる。で、誓約の後には、お互いをより深く知り合うために寝台へ……

 ……こんなんでいいんだろうか。

 To be continued...

 画像は、シュトゥック「キルケに扮するティラ・ドゥリュー」。
  フランツ・フォン・シュトゥック(Franz von Stuck, 1863-1928, German)

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