ノリコは、遣り手の女性社長だ。
若い頃には病院の栄養士をしていたのだが、いつの間にか事務長をやっていると思ったら、今では独立して介護福祉関係の会社を経営している。
「ねえ、ねえ、ねえ、いつも中学の同級会ばかりじゃない?
また、6年1組のクラス会、やろうよ!」
「うん、いいんじゃない。小木先生招待して!」と、
きぬが賛成する。
「みつおくんも来れるよね?」と、ノリコは話をふる。
「ああ、オレはいつだってOKさ!」
「ミノルっち、音頭とってよ。」
「よし、段取っぺ。ついでに、山口も呼んだらいいんでねえが?」
「そうねえ、恩師には違いないもんねえ。
ご夫婦お揃いで、来てもらおうか?
そういえば、昔、
山口のこと、みんなでいじめたことあったよねえ。」
「あった、あった。誰が最初に、いじめたんだ? みつおだろ?」
「オ、オレじゃねえよ。そういうミノルじゃねえのか?」
「あたしさぁ、・・・
前にも6年1組のクラス会やったじゃない。
あの時、うちのダンナに会場まで送ってもらったのよ。
着いたら、会場にダンナが居るじゃない。
今、別れたばかりなのに、どうしてここに居るのって思ったよ。
そしたらねえ、小木先生だったの。白髪の感じなんかもそっくりでさぁ、
最初から似てるって思ってたけど、これほどそっくりだとは驚いちゃった。
あたし、初恋を引きずったまま、結婚しちゃったんだなあって思った。」
と、舌を出した。
ノリコ、そうだったのか・・・・
私にだって、似たような想いがある。
いや、きっと、他のみんなにだってあるはずだ。
男子にだって、あるはずだ。
私たちには、小木先生の最初の教え子だっていう誇りがある。