オーディオ用の電源タップを一個新たに調達した。もっとも、これはオーディオシステムのためではなくテレビ用だ。新居に引っ越してから買ったテレビは、画質は良いが音は悪い。いずれはアンプとスピーカーを揃えてサウンドのグレードアップを図る予定で(もっとも、5.1chみたいな大仰な仕掛けを導入する気はないが ^^;)、今回の買い物はその下準備みたいなものだ。
いくらテレビ用といっても、ホームセンター等に売っている安価なものは見栄えが悪いので買いたくない。かといって家電店のオーディオコーナーに並べられた“有名メーカー品”は高すぎる。以前利用したネット通販業者にまた頼もうかとも思ったが、それらの製品に使われている重くて太い業務用ケーブルは狭いスペースでは取り回しに苦労する。他に適当なものはないのかと思ってネット上を探し回っていたところ目に付いたのが、福岡市城南区に居を構えるオーディオ工房「音のエジソン」で作っている電源タップある。
さっそく足を運んで買い求めた。もちろん、テレビに接続する前にオーディオシステムに実装して手持ちのタップとの“聴き比べ”を敢行。かねてより私は電源タップによる音の変化は電源ケーブルよりかなり少ないと思っている。今回も同様で、びっくりするほどの違いはない。しかし、明らかに音は異なる。
私が常用している電源タップはOYAIDEのOCB-DXsである。そこで「音のエジソン」のタップに替えてみると、音像が太くなり音場もほんの少し広がった。重心が中低音寄りになり、安定感も増す。しかし、音の粒立ちやスピード感はOCB-DXsの方が上だ。やはり専門メーカーの製品はオーディオファンが喜びそうな“味付け”を心得ていると思った。
だが、正直言って両者に決定的な差があるとは思えない。OCB-DXsが定価ベースでは2万7千円であるのに対し、「音のエジソン」のタップは1万3千円であることを勘案すると、コストパフォーマンスに関しては後者に軍配が上がる。
また、「音のエジソン」のタップにはホスピタルグレードのパーツやロジウムメッキ処理などのマニアックな“仕掛け”は搭載されていない。どう見ても、使われているのは通常の電気宅内工事用の部品ばかりだ(プラグも3ピンではない)。逆に言えば“普通の部品”で構成されているからこそ、クセのないサウンドが出てくるのだと思う。
その他の特徴としては、ブレーカーが付いていること。安全面を考慮した結果だろうが、見た目は面白い。木製の筐体も外見の大きさを感じさせず、リビングに置いても違和感はないだろう。
さて、「音のエジソン」はタップだけではなくアンプやスピーカー、そしてレコードプレーヤー用のカートリッジも作っているという、いわばガレージメーカーでもある(特にカートリッジは海外展開も手広くやっているそうだ)。当然のことながら、店に足を運んだ際にその自社製システムも試聴させてもらった。その感想は次回のアーティクルにて述べる。