元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「スーパー・ハイスクール・ギャング」

2008-11-25 06:29:10 | 映画の感想(さ行)
 94年作品。主人公の高校生は若戸大橋の近くのダルマ船の中に住んでいるのだが、通っている学校は福岡市内の福岡第一高校である。近くにあるという実家は熊本県の黒川温泉の旅館であり、バイト先は大分県の城島高原で、少し自転車を飛ばせば阿蘇に着く。また、近所には鹿児島の吹上浜があり、そこから筑豊のボタ山も見える・・・・。

 このようなほとんど無茶苦茶な地理的設定からして失笑もの。まあ、映画の中での話だし、地元の者だけが観るものでもないからいいんだけどね。これが“九州を拠点に邦画界に旋風を起こす”という地方誘導型のプロジェクトの産物だったのだから、少し考え込んでしまう。

 ともあれ、製作当初は九州発の映画として地元先行ロードショーされた作品である。プロデューサーは「パンツの穴」「熱海殺人事件」などの松本廣。製作は博昇興産という地元の企業グループ。小説家を目指している落ちこぼれ高校生が、幼なじみの少女の“空を飛んでみたい”という一言にノセられて、仲間と一緒に軽飛行機作りに奮闘する話。森脇道の同名小説の映画化で、監督は「いとしのエリー」などの佐藤雅道。

 正直言って、あまり上等ではない映画だ。設定は面白そうだが、演出が圧倒的にヘタ。主人公たちがどうして飛行機作りに邁進するのか、その理由付けが不十分だし、人物描写も表面的でキャラクターが“立って”いない。行きあたりばったりの展開が目立つし、余計な描写も少なくない。一般公募されたキャストは素質はいいんだけど(特にヒロイン役の古賀文絵と不良少年に扮する高市直亮は共に悪くはない)、それが映画自体の面白さにはつながらないもどかしさを感じる。

 もっと実力のある監督を起用できなかったものか。フィルムの質かどうかは知らないが、やたら粗くて暗い画面にも興醒めだ。地方から映画を発信しようというこの企画は大いに結構ながら、その製作意図だけでは評価できないのも当然であろう。

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