新居は築年数では前の住居よりは新しいが、前の住まいと比べると通信環境の配管に関しては何も考えられていない。通信回線のMJがヘンなところに付いていて、しかも壁にケーブルを通す穴がまったく無く、部屋をまたいでLANケーブルを引き回せない。賃貸なので勝手に壁に穴を開けることは出来ず、どうしたものかと思案していたら、職場の同僚がアイデアをくれた。それがPLC(Power Line Communication )という方法である。
通常、有線のLANが構築不能な環境でよく使われるのが無線ルーターである。文字通り信号を無線によって飛ばすシステムだが、これを使っている知人の話だと安定性に問題があるらしい。しかも設定が簡単ではなく、電波が上手く通らない場所では中継器も設置する必要もあり、場合によっては費用がかさむ。これに対して近年脚光を浴びてきたのがこのPLCだという。
PLCは家庭用の屋内電力線をLANケーブルの代わりにしようという仕掛けだ。ルーターの近くにあるコンセントにPLCアダプターを取り付け、パソコン端末等の最寄りのコンセントに同じようにアダプターを差し込む。そしてそれぞれを短いケーブルでルーターやパソコンに繋げば準備OK。面倒な設定も不要で、すぐに稼働が可能となる。もっとも、ブレーカーの区分けがルーター側と端末側とで異なっていたり、電源ノイズが入りやすい環境だと使用が難しくなるらしいが、幸い我が家の場合は問題がなかった。
使用状態はなかなか良好である。通常の有線LANで繋ぐよりは通信速度は遅いが、それでもストレスが溜まらない程度の速さはキープしている。それにしても、単にコンセントに差し込むだけで通信出来てしまうとは(頭では原理は分かっていても)本当に不思議だ。製品は定評のあるPanasonicのモデルを選んだが、各社からも同様の製品はリリースされており、今後は伝送方法として確立されたものになっていくのだろう。場所によっては有線LANとPLCとの併用も考えられる。