初期条件のわずかな相違が未来に大きな影響を与えるという意味のカオス理論を題名にしているわりには、結局“誰が考えても理に落ちる結末”をリフレインしているだけであり、その点は不満。まるで出来の悪いロールプレイングゲームのようだ。
しかも“人生をやり直せる能力”を持っていながら、それほど“的確な時点”に移動しているとは思えない。何度も時間をリフレインしたせいで主人公の脳に悪影響が出たこと、彼が父親から受け継いだらしい“悪い遺伝子”、度重なる記憶障害etc.それらモチーフも上手く料理されておらず、映画はあらずもがなのラストを迎えるのみ。
監督・脚本のJ・マッキー・グルーバー&エリック・ブレスは“個人的時間旅行者”という題材だけに満足してしまい、物語の細部を詰めることを怠ったようだ。
ここは時間旅行に関して何か確固としたルールを設けておくとか、あるいは小林泰三の小説「酔歩する男」みたいに限りなくストーリーをごちゃごちゃにして観客を幻惑させるとか、いま一歩の工夫が必要だった。
主演のアシュトン・カッチャーは本国で大人気の若手スターらしいが(最近デミ・ムーアと結婚したらしい ^^;)、なるほど目元が涼しい色男で、日本でもブレイクするかもしれない。対するヒロイン役のエイミー・スマートはかなりの熱演だが、残念ながら御面相が・・・・(爆)。あらためて“アメリカ映画の女優起用の基準”がその他の国とは懸け離れていることを痛感した。
