製作側は“デートムービーだ”と言っているそうだが。それは明らかに間違い。絶対他人には薦められないシャシンである。この映画に途中退場せず最後まで付き合えるのは“鈴木清順作品の特徴”を熟知した手練れの映画ファンか、あるいは熱狂的なオダギリジョーのファンだけである。いずれも社会的には“超少数派”だ(笑)。何も知らないナイーヴな“ただの映画好き”が観たら、チャチなセットと支離滅裂な筋書き、そして必要以上に大仰なキャストの演技に完璧“引いて”しまうだろう。
ただしそれらを“清順映画の約束事”だと認めてしまえばこっちのものだ。前作「ピストルオペラ」ほどの切れ味はないものの、めくるめく魅惑の“清順ワールド”にどっぷり浸れる2時間弱である。
とにかくキャラクターが濃い。特に由紀さおりが演じる“びるぜん婆々”が強烈。彼女が薬師丸ひろ子扮する“お萩の局”と大々的なバトル(?)を繰り広げた後『びるぜん婆々のマイウェイ』という奇っ怪な曲を歌い上げるまでのシークエンスは、この映画のハイライトと言える。
ヒロイン役のチャン・ツィイーの舌足らずの日本語は可愛いし、平幹二朗、山本太郎、市川実和子、パパイヤ鈴木ら脇役も実に楽しそうにスクリーン上を飛び回る。大島ミチルと白井良明による音楽がめっぽう良く、東京スカパラダイスオーケストラの演奏も快調で、主役二人によるデュエット曲「恋する炭酸水」は今年の邦画界を代表する名曲だ。
そして美空ひばりの“デジタル出演”にはびっくり。過去の映像の合成ではなく、最初からCGで作り上げるという無謀な試み。短いシーンに限定することにより抜群の効果を上げている。今後は版権や肖像権さえクリアできれば、往年の名俳優がデジタルで次々と蘇るのかもしれない(笑)。
ただしそれらを“清順映画の約束事”だと認めてしまえばこっちのものだ。前作「ピストルオペラ」ほどの切れ味はないものの、めくるめく魅惑の“清順ワールド”にどっぷり浸れる2時間弱である。
とにかくキャラクターが濃い。特に由紀さおりが演じる“びるぜん婆々”が強烈。彼女が薬師丸ひろ子扮する“お萩の局”と大々的なバトル(?)を繰り広げた後『びるぜん婆々のマイウェイ』という奇っ怪な曲を歌い上げるまでのシークエンスは、この映画のハイライトと言える。
ヒロイン役のチャン・ツィイーの舌足らずの日本語は可愛いし、平幹二朗、山本太郎、市川実和子、パパイヤ鈴木ら脇役も実に楽しそうにスクリーン上を飛び回る。大島ミチルと白井良明による音楽がめっぽう良く、東京スカパラダイスオーケストラの演奏も快調で、主役二人によるデュエット曲「恋する炭酸水」は今年の邦画界を代表する名曲だ。
そして美空ひばりの“デジタル出演”にはびっくり。過去の映像の合成ではなく、最初からCGで作り上げるという無謀な試み。短いシーンに限定することにより抜群の効果を上げている。今後は版権や肖像権さえクリアできれば、往年の名俳優がデジタルで次々と蘇るのかもしれない(笑)。